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司法書士法人の特定の事件についての業務の制限しほうしょしほうじんのとくていのじけんについてのぎょうむのせいげん

司法書士法 第3章 司法書士法人と司法書士会 過去問で2肢

特定の事件についての業務の制限とは、司法書士法人が、相手方の依頼を受けて裁判書類の作成を行った事件などについて、裁判書類等作成関係業務を行ってはならないという制限です(41条1項)。試験では、この制限が事務所ごとではなく法人単位で及ぶので、従たる事務所で受けた事件の相手方から主たる事務所で受任することもできない点が問われています。

特定の事件についての業務の制限は、個人の司法書士についての22条を法人に置き換えた規定です。41条1項は、法人が裁判書類等作成関係業務を行ってはならない事件として、相手方の依頼を受けて3条1項4号の業務を行った事件(1号)、使用人が相手方から簡裁訴訟代理等関係業務として受任している事件(2号)、社員の半数以上が22条により業務を行えない事件(3号)を挙げています。

一つの法人の看板の下に二つの事務所があり、相手方Bの依頼書に×印
業務の制限は事務所ごとではなく法人単位で及び、従たる事務所で受けた事件の相手方から主たる事務所で受任することもできません
法人単位で制限事務所が違っても不可相手方の書類を作った事件
司法書士法 第41条第1項

司法書士法人は、次に掲げる事件については、裁判書類等作成関係業務を行つてはならない。
一 相手方の依頼を受けて第三条第一項第四号に規定する業務を行つた事件
二 使用人が相手方から簡裁訴訟代理等関係業務に関するものとして受任している事件
三 第二十二条第一項、第二項第一号若しくは第二号又は第三項第一号から第五号までに掲げる事件として社員の半数以上の者が裁判書類等作成関係業務を行つてはならないこととされる事件

制限は法人単位で及び、事務所が違っても相手方の事件は受けられません

41条1項1号の主語は司法書士法人であり、どの事務所で受任したかを区別していません。従たる事務所でAの依頼を受けて裁判所に提出する書類を作成したなら、法人としてその事件の相手方Bから同じ事件の書類作成を受任することはできず、主たる事務所でも受任できません。どの事務所で受けた依頼も、依頼を受けたのは法人そのものです。事務所ごとに社員を常駐させる仕組み(39条)があっても、業務の制限は事務所単位に分かれません。「複数の事務所を有する司法書士法人は,その従たる事務所においてAの依頼を受けて裁判所に提出する書類を作成する業務を行った場合には,その主たる事務所において当該業務に係る事件の相手方であるBから,当該事件に関して裁判所に提出する書類を作成する業務を受任することができない」という肢(R3 午後 問8 エ)は正しい記述です。

41条の各号は、個人についての22条の各号と対応しています

41条1項1号(相手方の依頼を受けて4号業務を行った事件)は個人の22条2項1号に、41条1項2号(使用人が相手方から簡裁訴訟代理等関係業務として受任している事件)は22条2項3号に、41条2項1号から3号まで(簡裁訴訟代理等関係業務で相手方の協議を受けて賛助した事件など)は22条3項1号から3号までに、それぞれ対応しています。個人の規定では「司法書士が」行ったかどうかを、法人の規定では「法人が」行ったかどうかを見ます。法人の規定には、これに加えて社員の半数以上が個人として制限を受ける場合を取り込む号(41条1項3号・3項2号)が置かれています。

司法書士法 第22条第2項第1号

相手方の依頼を受けて第三条第一項第四号に規定する業務を行つた事件

社員の半数以上が個人として制限を受ける事件では、法人も業務を行えません

41条1項3号は、22条1項、2項1号・2号又は3項1号から5号までの事件として、社員の半数以上の者が裁判書類等作成関係業務を行ってはならないとされる事件を挙げています。たとえば、社員の半数以上が公務員として職務上取り扱った事件や、社員の半数以上が前の法人で相手方側の書類作成に関与した事件です。社員の一部だけが個人として制限を受ける場合は、この号には当たらず、法人そのものは業務を行えることがあります。その場合でも、制限を受ける社員自身は22条によりその事件の業務を行えません。

社員四人のうち二人に個人として制限の札が付き、半数以上なら法人も不可と示す黒板
社員の半数以上が個人として制限を受ける事件では、司法書士法人も裁判書類等作成関係業務を行えません
社員の半数以上法人も業務不可一部なら制限社員だけ
司法書士法 第41条第1項第3号

第二十二条第一項、第二項第一号若しくは第二号又は第三項第一号から第五号までに掲げる事件として社員の半数以上の者が裁判書類等作成関係業務を行つてはならないこととされる事件

簡裁訴訟代理等関係業務を行う法人は、簡裁代理そのものにも制限を受けます

41条3項は、簡裁訴訟代理等関係業務を行うことを目的とする法人が、1項各号と2項各号の事件(1号)と、22条1項の事件又は22条4項に規定する事件として特定社員の半数以上が簡裁訴訟代理等関係業務を行ってはならないとされる事件(2号)について、簡裁訴訟代理等関係業務を行ってはならないと定めています。ここでも、受任している事件の相手方からの依頼による他の事件(2項3号)は、依頼者が同意すれば制限が外れます(3項ただし書)。41条2項は、制限を受ける法人に「過去に簡裁訴訟代理等関係業務を行うことを目的としていたもの」を含めているので、定款の目的からこの業務を外した後も、2項の制限は続きます。

司法書士法 第41条第3項

簡裁訴訟代理等関係業務を行うことを目的とする司法書士法人は、次に掲げる事件については、簡裁訴訟代理等関係業務を行つてはならない。ただし、前項第三号に掲げる事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合は、この限りでない。
一 第一項各号及び前項各号に掲げる事件
二 第二十二条第一項に掲げる事件又は同条第四項に規定する同条第二項第一号若しくは第二号若しくは第三項第一号から第五号までに掲げる事件として特定社員の半数以上の者が簡裁訴訟代理等関係業務を行つてはならないこととされる事件

試験ではこう問われる

  1. 法人が従たる事務所でAの依頼により裁判書類を作成した事件について、主たる事務所で相手方Bから書類作成を受任できない(41条1項1号。R3 午後 問8 エ ○)
  2. 社員の半数以上が22条により業務を行えない事件では、法人も裁判書類等作成関係業務を行えない(41条1項3号)
  3. 使用人が相手方から簡裁訴訟代理等関係業務として受任している事件では、法人は裁判書類等作成関係業務を行えない(41条1項2号)
  4. 簡裁訴訟代理等関係業務を目的としていた法人は、目的から外した後も41条2項の制限を受ける(41条2項柱書)
  5. 特定社員の半数以上が簡裁訴訟代理等関係業務を行えない事件では、法人もその業務を行えない(41条3項2号)
  6. 簡裁訴訟代理等関係業務で受任中の事件の相手方からの他の事件は、依頼者の同意があれば受けられる(41条2項3号・ただし書)

この用語が問われた肢

R3 問8 エ正しい

複数の事務所を有する司法書士法人は,その従たる事務所においてAの依頼を受けて裁判所に提出する書類を作成する業務を行った場合には,その主たる事務所において当該業務に係る事件の相手方であるBから,当該事件に関して裁判所に提出する書類を作成する業務を受任することができない。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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