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独立の不服申立てができない裁判の一覧どくりつのふふくもうしたてができないさいばんのいちらん

民事訴訟法 第11章 上訴 過去問で4肢

独立の不服申立てができない裁判とは、法律が不服申立てを禁じている決定・命令や、訴訟指揮・証拠の採否のように、それだけを取り出して抗告することができず、争うなら終局判決に対する上訴の中で争うしかない裁判です(283条)。これに対し、移送・補助参加の許否・文書提出命令の申立てについての決定などは、法律が即時抗告を定めています。

訴訟の途中で出る決定や命令の一つ一つに抗告を許すと、そのたびに手続が止まって、いつまでも判決にたどり着けません。そこで法律は、すぐに争わせる必要がある重要な決定にだけ即時抗告を認め、それ以外の手続の進め方や証拠の採否の判断は、最後の判決に対する控訴の中でまとめて争わせることにしています。また、忌避を認める決定のように、不服を言わせる必要が無いものは不服申立てそのものを禁じています。

裁判所の廊下に二つの窓口がある場面。左の窓口の看板「即時抗告できる」、その下の貼り紙に「移送」「補助参加の許否」「文書提出命令の申立て」「証言拒絶」。右の窓口は閉じていて看板「独立の不服申立てはできない」、貼り紙に「忌避を認める決定」「証拠

法律が不服申立てを禁じている裁判があり、これらは即時抗告も控訴審での審査もできません

終局判決前の裁判は終局判決に対する控訴とともに控訴裁判所の判断を受けますが、不服を申し立てることができない裁判は除かれます(283条)。除斥又は忌避を理由があるとする決定には不服を申し立てることができません(25条4項)。裁判官を外しても当事者の不利益は無く、別の裁判官が審理すれば足りるからです。理由がないとする決定には即時抗告ができます(25条5項)。鑑定人の忌避も同じです(214条3項・4項)。証拠保全の決定には不服を申し立てることができません(238条)。証拠が失われるのを防ぐ緊急の手続だからです。「証拠保全の決定に対しては,不服を申し立てることができない」という肢(R2 午後 問4 ウ)は正しいです。訴訟費用の負担の裁判は独立して控訴できず(282条)、即時抗告もできないので、「訴訟費用の負担の裁判に不服がある者は、その裁判について即時抗告をすることができます」という肢(R5 午後 問3 オ)は誤りです。

  • 除斥・忌避を理由があるとする決定不服申立て不可(25条4項)。理由なしとする決定は即時抗告(25条5項)
  • 鑑定人の忌避を理由があるとする決定不服申立て不可(214条3項)。理由なしは即時抗告(同条4項)
  • 証拠保全の決定不服申立て不可(238条)。却下決定には抗告できる(328条1項)
  • 訴訟費用の負担の裁判独立して控訴できない(282条)
  • 簡裁の反訴による地裁への移送決定不服申立て不可(274条2項)
  • 少額訴訟・法定審理期間訴訟手続の通常移行決定不服申立て不可(373条4項・381条の4第2項)
  • 仮執行に関する控訴審の裁判不服申立て不可(295条本文)

訴訟指揮や証拠の採否、訴えの変更を許さない決定は、終局判決に対する上訴の中で争うしかありません

弁論の併合・分離のような訴訟指揮の裁判は裁判所の裁量に任されたもので、当事者に不服申立権はありません。事件を弁論準備手続に付する裁判も同じで、「当事者は、事件を弁論準備手続に付する裁判に対して即時抗告をすることができる」という肢(R7 午後 問3 ア)は誤りです。証拠の申出を採用するかどうかも裁判所の判断で、証人尋問の申出を却下する決定に即時抗告を認める規定はありません。訴えの変更を許さない決定(143条4項)も、審理の対象を旧請求に絞る中間的な裁判なので独立の上訴はできず、終局判決に対する上訴の中で判断を受けると解されています。文書提出命令の申立てについての決定には即時抗告ができますが(223条7項)、判例は、証拠調べの必要性を欠くことを理由とする却下決定に対しては、必要性があることを理由に即時抗告をすることはできないとしました(最決平成12年3月10日)。必要性の判断は証拠の採否と同じく受訴裁判所に任されているからです。「証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対しては,その必要性があることのみを理由として即時抗告をすることができる」という肢(R3 午後 問4 オ)は誤りです。一方、証拠保全の申立てを却下する決定は、口頭弁論を経ないで訴訟手続に関する申立てを却下した決定に当たるので抗告ができます(328条1項)。

移送・補助参加の許否・文書提出命令の申立てについての決定・証言拒絶の裁判には、法律が即時抗告を定めています

移送の決定と移送の申立てを却下した決定には、即時抗告ができます(21条)。どの裁判所で審理されるかは当事者の利害に大きく関わるからです。補助参加の許否の裁判には、許可にも不許可にも即時抗告ができます(44条3項)。文書提出命令の申立てについての決定には即時抗告ができ(223条7項)、提出義務がないとした却下決定も争えます。証言拒絶の当否についての裁判には、当事者と証人が即時抗告できます(199条2項)。判例は、弁護士法25条1号に違反するとして訴訟代理人の訴訟行為を排除する決定に対し、自らの訴訟代理人の訴訟行為を排除された当事者は即時抗告ができるとしました(最決平成29年10月5日)。

  • 移送の決定・移送申立ての却下決定即時抗告(21条)
  • 除斥・忌避を理由なしとする決定即時抗告(25条5項)
  • 補助参加の許否の裁判即時抗告(44条3項)
  • 文書提出命令の申立てについての決定即時抗告(223条7項)。必要性を欠くとする却下には不可
  • 証言拒絶の当否の裁判当事者・証人が即時抗告(199条2項)
  • 証人の不出頭などへの過料の決定即時抗告(192条2項など)
  • 訴状却下命令・控訴却下決定・更正決定即時抗告(137条3項・287条2項・257条2項)
  • 訴訟代理人の訴訟行為排除決定排除された当事者は即時抗告(最決平成29年10月5日)
会社の資料室の前で、男性(札「第三者(文書の所持者)」)が「文書提出命令」と書かれた書面を受け取っている。少し離れて男性(札「本案の被告」)が「即時抗告状」を手に持って近づこうとしている。先生が裁判官役(札「裁判所」)として間に立ち、手のひ

即時抗告ができるのはその裁判で不利益を受ける者で、裁判所書記官の処分にはまず異議を申し立てます

即時抗告が定められていても、誰でもできるわけではありません。判例は、第三者に対してされた文書提出命令に対し、本案訴訟の当事者で申立人でない者は即時抗告をすることができないとしました(最決平成12年12月14日)。命令を受けて提出を強いられるのは第三者であり、本案の当事者はその命令で直接の不利益を受けないからです。「第三者に対してされた文書提出命令に対し、当該文書提出命令の申立人ではない本案事件の当事者は、即時抗告をすることができる」という肢(R7 午後 問4 イ)は誤りです。訴訟告知は当事者が第三者に訴訟の係属を知らせる行為で裁判ではないので、被告知者がこれを即時抗告で争う手段はありません。訴訟記録の閲覧を拒絶したような裁判所書記官の処分に対する不服は、即時抗告ではなく、その書記官の所属する裁判所への異議の申立てによります(121条)。「訴訟記録の閲覧の請求を拒絶した裁判所書記官の処分に対しては、即時抗告をすることができる」という肢(R4 午後 問2 エ)は誤りです。

民事訴訟法 第283条

(控訴裁判所の判断を受ける裁判)
終局判決前の裁判は、控訴裁判所の判断を受ける。ただし、不服を申し立てることができない裁判及び抗告により不服を申し立てることができる裁判は、この限りでない。

民事訴訟法25条4項・5項

除斥又は忌避を理由があるとする決定に対しては、不服を申し立てることができない。5 除斥又は忌避を理由がないとする決定に対しては、即時抗告をすることができる。

試験ではこう問われる

  1. 証拠保全の決定には不服を申し立てられない(238条。R2 午後 問4 ウ ○)
  2. 訴訟費用の負担の裁判に独立して不服を申し立てられない(282条。R5 午後 問3 オ ×)
  3. 事件を弁論準備手続に付する裁判に即時抗告はできない(R7 午後 問3 ア ×)
  4. 訴訟記録の閲覧を拒絶した書記官の処分には、即時抗告ではなく異議による(121条。R4 午後 問2 エ ×)
  5. 第三者への文書提出命令に、申立人でない本案の当事者は即時抗告できない(最決平成12年12月14日。R7 午後 問4 イ ×)
  6. 必要性を欠くとした文書提出命令の申立ての却下に、必要性があることのみを理由に即時抗告できない(最決平成12年3月10日。R3 午後 問4 オ ×)
  7. 移送の決定・移送申立ての却下決定、補助参加の許否、証言拒絶の裁判には即時抗告ができる(21条・44条3項・199条2項)

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