不動産に対する仮差押えの執行ふどうさんにたいするかりさしおさえのしっこう
不動産に対する仮差押えの執行は、仮差押えの登記をする方法又は強制管理の方法により行い、二つの方法は併用することができます(47条1項)。仮差押えの登記をする方法では、仮差押命令を発した裁判所が保全執行裁判所となり(同条2項)、仮差押えの登記は裁判所書記官が嘱託します(同条3項)。
不動産に対する仮差押えの執行には、登記で処分を止める方法と、管理人に収益を管理させる方法があります。仮差押えは財産を換価せずに押さえておく手続なので、強制競売のような売却の方法はとりません。

民事保全法 第47条第1項民事執行法第四十三条第一項に規定する不動産(同条第二項の規定により不動産とみなされるものを含む。)に対する仮差押えの執行は、仮差押えの登記をする方法又は強制管理の方法により行う。これらの方法は、併用することができる。
不動産の仮差押えの執行は、仮差押えの登記か強制管理の方法により、併用もできます
47条1項は、民事執行法43条1項に規定する不動産に対する仮差押えの執行は、仮差押えの登記をする方法又は強制管理の方法により行い、これらの方法は併用することができるとしています。「土地に対する仮差押えの執行は、強制管理の方法によってすることができる」という肢(R8 午後 問6 ウ)は正しい記述です。強制管理の方法による仮差押えの執行では、管理人は、配当等に充てるべき金銭を供託し、その事情を保全執行裁判所に届け出なければなりません(47条4項)。債権者に配当するのではなく供託するのは、本案で債権の存在がまだ確定していないからです。
仮差押えの登記は、仮差押命令を発した裁判所の裁判所書記官が嘱託します
仮差押えの登記をする方法による仮差押えの執行は、仮差押命令を発した裁判所が保全執行裁判所として管轄し(47条2項)、仮差押えの登記は裁判所書記官が嘱託します(47条3項)。債権者が自分で登記を申請するのではありません。民事執行法46条2項(差押えは債務者が通常の用法に従って不動産を使用・収益することを妨げない)や、登記官が登記事項証明書を執行裁判所に送付する民事執行法48条2項などの規定が準用されます(47条5項)。仮差押えの登記がされても、債務者は不動産を通常の用法に従って使い続けられます。

民事保全法 第47条第3項仮差押えの登記は、裁判所書記官が嘱託する。
仮差押えの申立てが取り下げられたり執行が取り消されたりすると、仮差押えの登記も嘱託で抹消されます
47条5項は、仮差押えの登記をする方法による仮差押えの執行について、民事執行法53条と54条を準用しています。保全執行の申立てが取り下げられたとき、又は保全執行の手続を取り消す決定が効力を生じたときは、裁判所書記官が仮差押えの登記の抹消を嘱託します(47条5項・民事執行法54条1項)。不動産の滅失など移転を妨げる事情が明らかになったときは、手続が取り消されます(47条5項・民事執行法53条)。
船舶は登記又は船舶国籍証書等の取上げで、第三者異議の訴えは所在地の地方裁判所が扱うこともあります
船舶に対する仮差押えの執行は、仮差押えの登記をする方法又は執行官に船舶国籍証書等を取り上げて保全執行裁判所に提出させる方法により行い、併用することもできます(48条1項)。仮差押えの目的物の所有者などの第三者は、民事執行法38条の第三者異議の訴えで保全執行の不許を求めることができ(46条)、高等裁判所が保全執行裁判所としてした保全執行に対する第三者異議の訴えは、仮に差し押さえるべき物又は係争物の所在地を管轄する地方裁判所が管轄します(45条)。
試験ではこう問われる
- 土地に対する仮差押えの執行は、強制管理の方法によってすることができる(47条1項。R8 午後 問6 ウ ○)
- 不動産の仮差押えの執行では、仮差押えの登記をする方法と強制管理の方法を併用できる(47条1項)
- 仮差押えの登記をする方法では、仮差押命令を発した裁判所が保全執行裁判所となる(47条2項)
- 仮差押えの登記は裁判所書記官が嘱託する(47条3項)
- 強制管理の方法では、管理人は配当等に充てるべき金銭を供託して保全執行裁判所に届け出る(47条4項)
この用語が問われた肢
土地に対する仮差押えの執行は、強制管理の方法によってすることができる。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。

