信託目録しんたくもくろく
信託の登記の登記事項を登記記録の本体とは別に記録する目録で、登記官が作成し目録番号で信託の登記と結びます。申請人が何を提供するか、目録の記録を誰がどう変えるかが肢で突かれます。
信託目録は、信託の目的や信託財産の管理方法、信託の終了の事由など、不動産登記法97条1項の登記事項を記録する目録です。信託の条項は長文になるので、登記記録の権利部に全部を書かず、登記官が97条3項と不動産登記規則176条により目録を作成して目録番号を付け、信託の登記の末尾にその番号を記録します。申請人は申請情報と併せて信託目録に記録すべき情報を提供し、以後は信託の変更の登記のたびに目録の記録が改められます。肢で突かれるのは、目録に何を書くか、目録の変更が申請によるのか職権によるのか、申請なら誰がするかです。
不動産登記法 第97条第3項登記官は、第一項各号に掲げる事項を明らかにするため、法務省令で定めるところにより、信託目録を作成することができる。

申請人は信託目録に記録すべき情報を提供し、登記官が目録を作ります
信託の登記を申請するときは、97条1項各号の登記事項を記録した信託目録に記録すべき情報を提供します。登記官はこれをもとに信託目録を作成し、目録番号を付けて信託の登記の末尾に記録します。受益者の定めのない信託では、受益者の氏名と住所の代わりに受益者の定めのない旨が登記事項になるので、「受益者の定めのない旨を信託目録に記録すべき情報として提供しなければならない」という肢は正しい肢です。同じ趣旨で「信託目録に記録すべき情報として受益者の定めのない旨を提供しなければならない」という肢も正しい肢です。
登記事項が変わったら受託者が単独で信託の変更の登記を申請します
信託目録に記録された信託の目的や管理方法、受益者などの登記事項に変更があったときは、不動産登記法103条により、受託者が遅滞なく信託の変更の登記を申請しなければなりません。受託者だけが申請人で、受益者と共同でする必要はありません。「信託財産の管理方法に変更が生じた場合には,AとBとが共同で信託の変更の登記を申請しなければならない」という肢は誤りです。受託者が申請しないときは、99条の準用により受益者または委託者が受託者に代わって申請できます。登記官は変更の登記をするとき、規則176条3項により信託目録の記録を変更します。
受託者の住所変更は登記官が職権で目録を変えます
受託者である登記名義人の氏名や住所の変更の登記または更正の登記をするときは、不動産登記法101条3号により、登記官が職権で信託の変更の登記をします。申請人が信託目録の受託者の住所についてまで変更の登記を申請する必要はありません。「Aは,信託目録に記録されている受託者の住所についても変更の登記を申請しなければならない」という肢は誤りです。受託者の変更による権利の移転の登記や、受託者が複数のときの任務終了による変更の登記をするときも、101条1号と2号により登記官が職権で目録の受託者を改めます。
裁判所書記官や主務官庁の嘱託で目録が変わることもあります
受託者の解任の裁判、信託管理人や受益者代理人の選任・解任の裁判、信託の変更を命ずる裁判があったときは、裁判所書記官が動きます。不動産登記法102条1項により、職権で遅滞なく信託の変更の登記を登記所に嘱託するのです。主務官庁が受託者を解任したり信託の変更を命じたりしたときも、102条2項により主務官庁が嘱託します。受託者が自ら申請する103条の変更の登記、登記官の職権による101条の変更の登記と並ぶ三つ目の経路です。どの事由がどの経路かを対応させておくと、申請人を問う肢に答えられます。
分筆や分割があれば目録番号も改められます
信託の登記がある土地を分筆し、または建物を分割・区分したときは、分筆後や分割後の不動産にも信託の登記が転写されます。不動産登記規則176条2項により、登記官は分筆後または分割後・区分後の信託目録の目録番号を変更します。信託目録は不動産ごとに番号で結ばれているので、不動産の個数が増えれば目録の番号付けも増えるという仕組みです。申請人が目録について別に何かを申請する必要はありません。
不動産登記規則 第176条第1項登記官は、信託の登記をするときは、法第九十七条第一項各号に掲げる登記事項を記録した信託目録を作成し、当該目録に目録番号を付した上、当該信託の登記の末尾に信託目録の目録番号を記録しなければならない。
試験ではこう問われる
- 信託目録は誰が作るか(登記官。申請人は記録すべき情報を提供する)
- 受益者の定めのない信託で目録に記録すべき情報に何を書くか(受益者の定めのない旨)
- 信託の目的や管理方法が変わったとき誰が変更の登記を申請するか(受託者の単独申請。受益者との共同ではない)
- 受託者の住所変更で信託目録の変更も申請するか(しない。登記官が職権で変える)
この用語が問われた肢
甲土地について、受益者の定めのない信託についての所有権の移転の登記及び信託の登記を申請する場合には、信託目録に記録すべき情報として受益者の定めのない旨を提供しなければならない。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。
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