仮登記の抹消かりとうきのまっしょう
仮登記の登記名義人が単独で申請でき、名義人の承諾があれば利害関係人も単独で申請できる抹消登記です。単独申請のときの登記識別情報や承諾書の印鑑証明書、相続や住所変更の前提登記が肢で突かれます。
仮登記の抹消は、仮登記の登記名義人が単独で申請でき、仮登記名義人の承諾があればその仮登記について登記上の利害関係を有する者も単独で申請できる登記です。不動産登記法110条が共同申請主義の例外として定め、仮登記が順位を確保するだけの予備的な登記であることから、本登記より簡略に消せるようにしています。登記原因は解除や放棄のように仮登記の原因となった契約や請求権の消滅です。肢では、単独申請のときに登記識別情報や印鑑証明書が要るか、申請人の相続や住所変更があったときに前提の登記が要るかが突かれます。
不動産登記法 第110条(仮登記の抹消)
仮登記の抹消は、第六十条の規定にかかわらず、仮登記の登記名義人が単独で申請することができる。仮登記の登記名義人の承諾がある場合における当該仮登記の登記上の利害関係人も、同様とする。

仮登記名義人が単独で抹消するときは登記識別情報が要ります
仮登記名義人が単独で仮登記の抹消を申請するときは、仮登記のときに通知を受けた登記識別情報を提供します。単独申請でも、名義人は自分の登記を失う側なので本人確認の手段が要るからです。「Aが単独で当該仮登記の抹消を申請するときは,Aに対して通知された登記識別情報を提供しなければならない」という肢は正しい肢です。「Bが売買予約の解除を原因とする本件仮登記の抹消を単独で申請する場合には,本件仮登記が完了した際に通知された登記識別情報を提供することを要しない」という肢は誤りです。
利害関係人は仮登記名義人の承諾書で単独で抹消できます
仮登記の後に所有権を取得した第三者のような登記上の利害関係人は、仮登記名義人の承諾を証する情報を提供して単独で抹消を申請できます。「売買を原因とするAからCへの所有権の移転の登記がされた場合には,Cは,Bの承諾を証する情報を提供して,単独で,当該仮登記の抹消を申請することができる」という肢は正しい肢です。承諾書には仮登記名義人の印鑑証明書を添付します。「当該仮登記の登記上の利害関係人が単独で当該仮登記の抹消の登記を申請するときは,当該仮登記の登記名義人の印鑑に関する証明書を添付することを要しない」という肢は誤りです。仮登記名義人が元の登記義務者を登記権利者として共同で申請することもでき、「AからCへの売買を原因とする所有権の移転の登記がされている場合であっても,Bは,Aを登記権利者として,本件仮登記の抹消の申請をすることができる」という肢は正しい肢です。
相続の後に解除したなら請求権の相続の登記が先に要ります
仮登記名義人が死亡し、相続人が相続の後に売買予約を解除したときは、解除の時点の権利者は相続人です。相続人は自分の名義にしてから抹消を申請する必要があり、相続を証する情報を添えて直接抹消することはできません。「Cは,BからCへの相続を原因とする所有権移転請求権移転の登記をすることなく,相続を証する情報を提供して,本件仮登記の抹消を申請することができる」という肢は誤りです。一方、仮登記名義人の住所が変わった後に解除したときは、抹消の前提として住所の変更の登記は要らず、変更を証する情報を添えれば足ります。「Bは,住所の変更の登記をすることなく,住所の変更があったことを証する情報を提供して,本件仮登記の抹消を申請することができる」という肢は正しい肢です。
本登記の抹消と仮登記の抹消は一の申請情報でできます
仮登記に基づく本登記がされた後に契約が解除されたときは、本登記と仮登記の両方を抹消します。両方は同じ順位番号で記録されているので、同じ原因なら一つの申請情報で申請できます。「本件仮登記の抹消の申請と当該本登記の抹消の申請をする場合には,これらの申請は一の申請情報によってすることができる」という肢は正しい肢です。
解除による抹消にも第三者の承認が要ることがあります
抵当権の設定の仮登記を解除で抹消するときも、登記原因である解除について第三者の許可や承認が要れば、それを証する情報を提供します。代表取締役を同じくする会社の間で抵当権者の側が権利を手放す解除は、利益相反取引として取締役会の承認が要ります。「解除を登記原因として,当該仮登記の抹消を申請するときは,B株式会社の取締役会の承認を受けたことを証する情報を提供することを要しない」という肢は誤りです。
不動産登記法 第22条(登記識別情報の提供)
登記権利者及び登記義務者が共同して権利に関する登記の申請をする場合その他登記名義人が政令で定める登記の申請をする場合には、申請人は、その申請情報と併せて登記義務者(政令で定める登記の申請にあっては、登記名義人。次条第一項、第二項及び第四項各号において同じ。)の登記識別情報を提供しなければならない。ただし、前条ただし書の規定により登記識別情報が通知されなかった場合その他の申請人が登記識別情報を提供することができないことにつき正当な理由がある場合は、この限りでない。
試験ではこう問われる
- 仮登記名義人が単独で抹消するときに登記識別情報が要るか(要る)
- 利害関係人が単独で抹消するときに何が要るか(仮登記名義人の承諾書と印鑑証明書)
- 相続人が相続後に解除したときの抹消に相続による移転登記が要るか(要る)
- 住所変更後に解除したときの抹消に住所変更登記が要るか(要らない。変更証明情報で足りる)
- 本登記と仮登記の抹消を一の申請情報でできるか(できる)
この用語が問われた肢
Bが売買予約の解除を原因とする本件仮登記の抹消を単独で申請する場合には、本件仮登記が完了した際に通知された登記識別情報を提供することを要しない。
Aを所有権の登記名義人とする甲不動産について、AからBへの所有権の移転の仮登記がされた後、売買を原因とするAからCへの所有権の移転の登記がされた場合には、Cは、Bの承諾を証する情報を提供して、単独で、当該仮登記の抹消を申請することができる。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。
この用語で問われた肢を、解説つきでそのまま解けます。無料プランは月100問まで。