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特別清算とくべつせいさん

商業登記 第11章 解散・清算・継続

清算の遂行に著しい支障がある事情や債務超過の疑いがある清算株式会社について、裁判所の監督の下で行う清算手続です。開始原因と申立権者、登記がすべて嘱託であることが問われます。

特別清算は、清算株式会社に清算の遂行に著しい支障を来すべき事情か債務超過の疑いがあるときに、裁判所が申立てにより開始を命じ、裁判所の監督の下で進める清算手続です。会社法510条が開始原因を、511条が申立権者を定め、破産より簡易な手続で債権者との協定による処理ができます。登記の側では、開始・取消し・終結の登記も清算人の選任や解任の裁判の登記も、すべて裁判所書記官の嘱託で行われます。肢で突かれるのは、通常の清算との違い、申立ての義務、嘱託と申請の区別、終結の登記と登記記録の閉鎖の関係です。

会社法 第510条

(特別清算開始の原因)
裁判所は、清算株式会社に次に掲げる事由があると認めるときは、第五百十四条の規定に基づき、申立てにより、当該清算株式会社に対し特別清算の開始を命ずる。
一 清算の遂行に著しい支障を来すべき事情があること。
二 債務超過(清算株式会社の財産がその債務を完済するのに足りない状態をいう。次条第二項において同じ。)の疑いがあること。

裁判官が壇上から清算人と債権者の集会を見下ろし、清算人が債権者と協定の書面に手を重ねる。裁判所の職員が登記所へ書類を運ぶ
特別清算は裁判所の監督下の清算で、開始・終結などの登記はすべて裁判所書記官の嘱託です
開始原因は著しい支障・債務超過の疑い申立ては債権者・清算人・監査役・株主登記は全部嘱託結了による終結だけ登記記録を閉鎖

開始原因は清算の著しい支障と債務超過の疑いの二つです

裁判所が特別清算の開始を命じるのは、清算の遂行に著しい支障を来すべき事情があると認めるときか、債務超過の疑いがあると認めるときです。対象は清算株式会社に限られ、解散して通常の清算に入った会社が前提になります。持分会社には特別清算の制度がなく、債務超過なら破産手続によります。裁判所は開始原因があっても、手続の費用の予納がない場合や清算結了の見込みがないことが明らかな場合には開始を命じません。特別清算によることが債権者の一般の利益に反することが明らかな場合も同じです。

申立権者は債権者・清算人・監査役・株主の四者です

特別清算開始の申立ては、債権者、清算人、監査役、株主がすることができます。清算株式会社に債務超過の疑いがあるときは、清算人は申立てをしなければなりません。清算中に財産が債務を完済するのに足りないことが明らかになったときは、清算人は直ちに破産手続開始の申立てをする義務も負います。特別清算の開始が命じられた後は破産手続開始の申立てができず、破産に移るときは裁判所が職権で破産手続開始の決定をします。

特別清算の登記はすべて裁判所書記官の嘱託です

特別清算開始の命令があったときは特別清算開始の登記、開始を取り消す決定が確定したときは取消しの登記、終結の決定が確定したときは終結の登記を、裁判所書記官が職権で登記所に嘱託します。特別清算の開始後に清算人や代表清算人の選任・解任の裁判があったときや、一時清算人の職務を行うべき者が選任されたときの登記も嘱託です。会社の財産に関する保全処分の登記も嘱託で、会社が申請することはありません。登記の嘱託に登録免許税はかからず、会社が申請書を作ることはありません。

債権者との協定は債権者集会で可決し、裁判所の認可で効力が生じます

特別清算では、清算株式会社が債権者集会に協定の申出をし、出席した議決権者の過半数で議決権の総額の3分の2以上の同意があれば可決されます。可決した協定は裁判所の認可の決定が確定した時に効力を生じ、すべての協定債権者を拘束します。破産のように管財人が財産を換価して配当するのではなく、清算人がそのまま清算を進める点が特別清算の軽さです。協定の見込みがないときや協定が否決されたときなどに破産手続開始の原因があると認めるときは、裁判所が職権で破産手続開始の決定をします。

清算の結了による終結の登記だけが登記記録を閉鎖します

特別清算終結の登記のうち、特別清算の結了による終結の決定の場合は登記記録区に登記され、登記記録が閉鎖される扱いです。結了以外の理由で終結したときは閉鎖されず、登記官は特別清算開始の登記に抹消の記号を記録して通常の清算に戻す形です。特別清算の開始中も清算株式会社としての登記記録は続いていて、清算人の変更などは裁判の登記として嘱託で入ります。特別清算開始の取消しの登記をしたときと、特別清算中に破産手続開始の登記をしたときも、開始の登記に抹消の記号が記録される扱いです。終結の登記という同じ名前でも、登記記録の行き先が違うので理由を読む必要があります。

会社法 第938条

(特別清算に関する裁判による登記の嘱託)
次の各号に掲げる場合には、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、清算株式会社の本店の所在地を管轄する登記所に当該各号に定める登記を嘱託しなければならない。
一 特別清算開始の命令があったとき 特別清算開始の登記
二 特別清算開始の命令を取り消す決定が確定したとき 特別清算開始の取消しの登記
三 特別清算終結の決定が確定したとき 特別清算終結の登記
次に掲げる場合には、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、清算株式会社の本店の所在地を管轄する登記所にその登記を嘱託しなければならない。
一 特別清算開始後における第四百七十九条第四項において準用する第三百四十六条第二項又は第四百八十三条第六項において準用する第三百五十一条第二項の規定による一時清算人又は代表清算人の職務を行うべき者の選任の裁判があったとき。
二 前号の裁判を取り消す裁判があったとき。
三 特別清算開始後における清算人又は代表清算人の選任又は選定の裁判を取り消す裁判があったとき。
四 特別清算開始後における清算人の解任の裁判があったとき。
五 前号の裁判を取り消す裁判が確定したとき。
次に掲げる場合には、裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、当該保全処分の登記を嘱託しなければならない。
一 清算株式会社の財産に属する権利で登記されたものに関し第五百四十条第一項又は第二項の規定による保全処分があったとき。
二 登記のある権利に関し第五百四十二条第一項又は第二項の規定による保全処分があったとき。
前項の規定は、同項に規定する保全処分の変更若しくは取消しがあった場合又は当該保全処分が効力を失った場合について準用する。
前二項の規定は、登録のある権利について準用する。
前各項の規定は、その性質上許されないものを除き、第八百二十二条第一項の規定による日本にある外国会社の財産についての清算について準用する。

試験ではこう問われる

  1. 特別清算の開始原因は何か(清算の遂行に著しい支障がある事情、債務超過の疑い)
  2. 特別清算を申し立てられるのは誰か(債権者・清算人・監査役・株主。債務超過の疑いなら清算人は義務)
  3. 特別清算開始の登記は会社が申請するか(しない。裁判所書記官の嘱託)
  4. 持分会社に特別清算はあるか(ない。清算株式会社だけ)
  5. 特別清算終結の登記で登記記録は閉鎖されるか(結了による終結のときだけ閉鎖される)
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