供託書の記載事項きょうたくしょのきさいじこう
供託規則13条2項が列挙する供託書に記載すべき事項で、供託者、供託金額、供託の原因たる事実、根拠法令、被供託者、消滅する質権や抵当権、反対給付、裁判所名と事件番号などです。被供託者欄に誰を書くか、書かない場合はどんなときかが肢で突かれます。
供託書の記載事項は、供託規則13条2項が12の号で列挙する供託書に書くべき事項です。供託者と代理人の表示、供託金額や有価証券の表示、供託の原因たる事実、供託を義務付けまたは許容した法令の条項、被供託者が前半の6つです。後半は供託により消滅する質権や抵当権、反対給付の内容、官庁の承認を要するときの官庁名、裁判上の供託の裁判所名と事件番号、供託所の表示、供託申請年月日です。副本ファイルはこれらの記載から作られ、払渡しの審査はすべてこの記載に戻って行われます。肢で突かれるのは、被供託者欄に誰を書き、いつ空欄にするかという使い分けです。
供託規則 第13条第2項前項の供託書には、次の事項を記載しなければならない。
一 供託者の氏名及び住所、供託者が法人であるとき又は法人でない社団若しくは財団であつて、代表者若しくは管理人の定めのあるものであるときは、その名称、主たる事務所及び代表者又は管理人の氏名
二 代理人により供託する場合には、代理人の氏名及び住所、ただし、公務員がその職務上するときは、その官公職、氏名及び所属官公署の名称
三 供託金の額又は供託有価証券の名称、総額面、券面額(券面額のない有価証券についてはその旨)、回記号、番号、枚数並びに附属利賦札及びその最終の渡期
四 供託の原因たる事実
五 供託を義務付け又は許容した法令の条項
六 供託物の還付を請求し得べき者(以下「被供託者」という。)を特定することができるときは、その者の氏名及び住所、その者が法人又は法人でない社団若しくは財団であるときは、その名称及び主たる事務所
七 供託により質権又は抵当権が消滅するときは、その質権又は抵当権の表示
八 反対給付を受けることを要するときは、その反対給付の内容
九 供託物の還付又は取戻しについて官庁の承認、確認又は証明等を要するときは、当該官庁の名称及び事件の特定に必要な事項
十 裁判上の手続に関する供託については、当該裁判所の名称、件名及び事件番号
十一 供託所の表示
十二 供託申請年月日

供託の原因たる事実と根拠法令が供託の種類を決めます
供託の原因たる事実欄には、どの債務についてなぜ供託するのかを、受領拒絶なら提供の日時と拒絶の事実、執行供託なら差押命令の事件番号と差押金額のように具体的に記載します。供託根拠法令欄には民法494条や民事執行法156条1項のように、供託を義務付けまたは許容した条項を記載します。供託官はこの二つの欄を照らして供託の種類と要件を審査し、根拠法令が無い供託は受理しません。供託の種類が変わると被供託者欄や添付書類の要否も変わるので、原因と根拠法令は供託書の背骨にあたります。
被供託者欄は特定できるときに記載し、執行供託では使い分けます
被供託者は供託物の還付を請求できる者で、供託規則13条2項6号により特定できるときにその氏名と住所を記載します。差押金額に相当する金銭だけを供託する執行供託では、払渡しを受ける者が執行裁判所の配当で決まるので、被供託者欄は記載しません。「金銭債権が差し押さえられた場合において、第三債務者が差押金額に相当する金銭を供託するときは、供託書の「被供託者の住所氏名」欄には、差押債権者の氏名又は名称及び住所を記載しなければならない」という肢は誤りです。債権の一部が差し押さえられた場合に全額を供託するときは、超過部分が執行債務者への弁済供託なので、被供託者欄に執行債務者を記載します。「第三債務者は,金銭債権の一部が差し押さえられたことを原因としてその債権の全額に相当する金銭を供託するときは,供託書の「被供託者の住所氏名」欄には執行債務者の氏名又は名称及び住所を記載しなければならない」という肢は正しい肢です。
被供託者が法人なら名称と主たる事務所で足ります
被供託者が法人や代表者の定めのある社団、財団であるときは、名称と主たる事務所を記載すれば足り、代表者の氏名は記載事項ではありません。「被供託者が法人であるときは、供託書の被供託者の住所氏名欄には、その名称、主たる事務所だけでなく、代表者の氏名をも記載しなければならない」という肢は誤りです。供託者が法人のときは代表者の氏名まで記載するので、供託者と被供託者で求められる表示が違うという整理です。債権者不確知の供託では、候補者の間で帰属が分からないときは被供託者欄に「A又はB」のように並べて記載し、相続人が誰か分からないときは「亡A相続人」のように記載します。
質権や抵当権の表示と反対給付の内容は払渡しの審査に直結します
供託によって質権や抵当権が消滅するときは、供託規則13条2項7号によりその表示を記載します。記載があると供託官は民法496条2項により取戻しができない供託だと判断できます。反対給付を受けることを要するときは8号によりその内容を記載し、被供託者は供託法10条の証明書類を添えなければ還付を受けられません。「債務者は、債権者の反対給付を受けて弁済をすべき場合には、債権者からその反対給付を受ける前であっても、供託書にその反対給付の内容を記載して、その債務について供託をすることができる」という肢は正しい肢です。どちらの記載も払渡しの適否を供託官が審査するために要るもので、質権や抵当権が消滅した供託は記載の有無にかかわらず民法496条1項の取戻しができません。
裁判所名と事件番号、官庁名は後の払渡しの突合せのために記載します
裁判上の保証供託や執行供託のように裁判所の手続に関する供託では、供託規則13条2項10号により裁判所の名称、件名、事件番号を記載します。営業保証供託のように還付や取戻しに官庁の承認や証明を要する供託では、9号により官庁の名称と事件の特定に必要な事項を記載します。どちらも、後の払渡しで裁判所の証明書や官庁の承認書が出てきたときに、どの供託に対応するかを突き合わせるための記載です。供託通知書の発送を請求するときは、16条1項によりその旨も供託書に記載します。
供託規則 第16条第1項供託者が被供託者(民法(明治二十九年法律第八十九号)第四百六十六条の二第一項又は第四百六十六条の三の規定による供託をした場合にあつては、譲渡人を含む。以下この条、次条第四項、第十八条第三項及び第二十条第二項において同じ。)に供託の通知をしなければならない場合には、供託者は、供託官に対し、被供託者に供託通知書を発送することを請求することができる。この場合においては、その旨を供託書に記載しなければならない。
試験ではこう問われる
- 執行供託の被供託者欄に差押債権者を書かせる肢や、一部差押えの全額供託で執行債務者を書くことを問う肢
- 被供託者が法人のときに代表者の氏名まで求める肢
- 反対給付の内容や質権の表示を記載する意味を問う肢
- 供託根拠法令と供託の原因たる事実の記載が供託の種類を決めることを問う肢
この用語が問われた肢
金銭債権が差し押さえられた場合において、第三債務者が差押金額に相当する金銭を供託するときは、供託書の「被供託者の住所氏名」欄には、差押債権者の氏名又は名称及び住所を記載しなければならない。
被供託者が法人であるときは、供託書の被供託者の住所氏名欄には、その名称、主たる事務所だけでなく、代表者の氏名をも記載しなければならない。
債務者は、債権者の反対給付を受けて弁済をすべき場合には、債権者からその反対給付を受ける前であっても、供託書にその反対給付の内容を記載して、その債務について供託をすることができる。
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