供託書の作成と供託官の審査きょうたくしょのさくせいときょうたくかんのしんさ
供託をしようとする者が供託規則13条の様式に従って作成し、供託物に添えて供託所に提出する申請書です。供託金額の訂正ができないこと、法人の記載の仕方、添付書類の省略、供託官の審査の範囲で肢が作られます。
供託書の作成と供託官の審査は、供託法2条が「法務大臣カ定メタル書式ニ依リテ供託書ヲ作リ供託物ニ添ヘテ之ヲ差出タス」と定める、供託の申請書です。供託規則13条1項が供託の種類ごとの様式を指定し、2項が供託者、供託金額、供託の原因たる事実、根拠法令、被供託者などの記載事項を列挙します。供託書は副本ファイルの記録のもとになり、後の払渡しで還付を受ける権利を証する書面と突き合わせて誰が権利者かを判断する資料になるので、記載の正確さが厳しく求められます。肢で突かれるのは、記載した金額の訂正、法人の表示の仕方、添付書類の省略、供託官がどこまで審査するかです。
供託規則 第13条第1項金銭又は有価証券の供託をしようとする者は、供託の種類に従い、第一号から第十一号までの様式による供託書を供託所に提出しなければならない。

供託金額と有価証券の枚数は訂正も加入も削除もできません
供託規則6条6項は、供託書に記載した供託金額、有価証券の枚数と総額面については訂正、加入、削除をしてはならないと定めます。金額を書き換えられると供託の同一性が崩れ、副本ファイルの記録と食い違うからです。「供託書に記載した供託金額については,訂正,加入又は削除をしてはならない」という肢は正しい肢です。「供託書に記載した有価証券の枚数については、訂正、加入又は削除をしてはならない」という肢も正しい肢です。金額、枚数、総額面以外の文字は6条4項と5項の方式で訂正でき、二線を引いて正書し字数を欄外に記載します。払渡請求書の金額は訂正できるので、供託書との違いを対で覚えます。
法人が供託するときは名称・主たる事務所・代表者を記載します
供託者が法人のときは、供託規則13条2項1号により名称、主たる事務所、代表者の氏名を供託書に記載します。「法人が金銭又は有価証券の供託をするときは,供託書には,当該法人の名称,主たる事務所及び代表者の氏名を記載しなければならない」という肢は正しい肢です。被供託者が法人のときは同項6号により名称と主たる事務所を記載すれば足り、代表者の氏名は要りません。「被供託者が法人であるときは、供託書の被供託者の住所氏名欄には、その名称、主たる事務所だけでなく、代表者の氏名をも記載しなければならない」という肢は誤りです。供託者は申請の主体なので代表者まで特定し、被供託者は払渡しの相手を特定できれば足りるという違いです。
同時にする数個の供託では添付書類を一通にまとめられます
供託規則15条により、同一の供託所に同時に数個の供託をする場合で添付書類に内容の同一のものがあるときは、一個の供託書に一通を添付すれば足り、他の供託書にその旨を記載します。「同一の供託所に対して同時に数個の供託をする場合には、供託書の添付書類に内容が同一のものがあるときであっても、供託書ごとに当該添付書類を添付しなければならない」という肢は誤りです。供託書が二枚以上にわたるときは、13条5項により所定の欄に総枚数と何枚目かを記載します。「供託書(OCR用)が二葉以上にわたるときは,作成者は,毎葉のつづり目に契印をしなければならない」という肢は誤りで、現行の規則は契印ではなく枚数の記載で足ります。
供託官は書面の範囲で実体も審査し、証明書面は求めません
供託官の審査は形式審査と呼ばれますが、手続の要件だけを見るのではなく、提出された供託書と添付書類から判断できる限りで実体的要件にも及びます。「供託申請についての供託官の審査の対象は、手続的要件に限られるものではなく、提出された供託書及び添付書類に基づいて判断し得る限りにおいて、実体的要件にも及ぶ」という肢は正しい肢です。ただし供託の原因たる事実の存否に疑いがあっても、供託官が申請者に証明書面の提出を求めることはできません。「供託官は、供託申請があった場合において、供託書に記載された供託の原因たる事実の存否について疑いがあるときは、申請者に対し、当該事実を証明する書面の提出を求めることができる」という肢は誤りです。執行供託で差押命令の謄本を添付させる定めもなく、「金銭債権が差し押さえられた場合において、第三債務者が差押金額に相当する金銭を供託するときは、供託書に、執行裁判所の差押命令の謄本を添付しなければならない」という肢は誤りです。
反対給付を受ける前でも、その内容を記載して供託できます
債務者が債権者の反対給付と引換えに弁済すべき場合は、供託規則13条2項8号により反対給付の内容を供託書に記載して供託します。反対給付を受ける前に供託でき、被供託者は供託法10条の証明書類を添えなければ還付を受けられません。「債務者は、債権者の反対給付を受けて弁済をすべき場合には、債権者からその反対給付を受ける前であっても、供託書にその反対給付の内容を記載して、その債務について供託をすることができる」という肢は正しい肢です。所有権移転登記を反対給付とする売買代金の供託が代表例です。
供託規則 第6条第6項供託書、供託通知書、代供託請求書、附属供託請求書、供託有価証券払渡請求書又は供託有価証券利札請求書に記載した供託金額、有価証券の枚数及び総額面又は請求利札の枚数については、訂正、加入又は削除をしてはならない。
試験ではこう問われる
- 供託書の金額や有価証券の枚数を訂正できるとする肢
- 供託者と被供託者で法人の記載事項を入れ替える肢
- 同時にする数個の供託で添付書類を供託書ごとに求める肢や、契印を求める肢
- 供託官の審査を手続的要件に限る肢や、証明書面の提出を求められるとする肢
- 反対給付を受ける前の供託や、差押命令の謄本の添付を問う肢
この用語が問われた肢
供託書に記載した有価証券の枚数については、訂正、加入又は削除をしてはならない。
被供託者が法人であるときは、供託書の被供託者の住所氏名欄には、その名称、主たる事務所だけでなく、代表者の氏名をも記載しなければならない。
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