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受領拒絶じゅりょうきょぜつ

供託 第2章 弁済供託 過去問で14肢

債務者が債務の本旨に従った弁済の提供をしたのに、債権者がその受領を拒んだことで、民法494条1項1号の供託原因です。何が本旨に従った提供か、どこまで拒まれれば拒絶と言えるかが肢で突かれます。

受領拒絶は、弁済の提供をした場合に債権者がその受領を拒んだことで、民法494条1項1号が定める弁済供託の原因です。前提となる弁済の提供は債務の本旨に従って現実にする必要があり、全額を、弁済期に、履行地で提供して初めて拒絶が供託原因になります。債権者があらかじめ受領を拒んでいるときは口頭の提供で足り、拒絶の意思が明確なときは提供をしないで供託できることもあります。肢で突かれるのは、提供の内容が本旨に従っているかの当てはめと、どの時点から供託できるかです。

民法 第494条第1項第1号

弁済の提供をした場合において、債権者がその受領を拒んだとき。

玄関先で封筒を差し出す男性と、腕を組んで顔をそむける家の主人
受領拒絶は、本旨に従った弁済の提供をしたのに債権者が受け取らないことです
受取証書拒否も拒絶共同相続人の一人への全額提供は不可遅延損害金は不要拒絶が明確なら提供なしで可

受取証書の交付を拒まれたときも受領拒絶です

弁済をする者は民法486条により弁済と引換えに受取証書の交付を請求でき、受取証書の交付と弁済は同時履行の関係にあります。賃貸人が賃料は受け取ろうとしながら受取証書の交付を拒んだときは、賃借人は弁済を拒んでよく、受領拒絶を原因に供託できます。「賃貸人が賃料は受領しようとしたものの、受取証書の交付を拒んだときは、受領拒絶を原因とする弁済供託をすることができる」という肢は正しい肢です。同じ場面で「受領拒絶を原因とする弁済供託をすることはできない」とした肢は誤りです。

共同相続人の一人への全額の提供は本旨に従いません

賃貸人が死亡して共同相続人が地位を承継すると、賃料債権は相続分に応じて各相続人に分かれます。一人の相続人に全額を提供しても他の相続人の分は本旨に従った提供になりません。「賃貸人の死亡後に発生した賃料全額を当該共同相続人のうちの一人に提供し,その受領を拒まれたとしても,賃料全額について,受領拒絶を原因とする弁済供託をすることはできない」という肢は正しい肢です。各相続人にそれぞれの相続分に応じた額を提供する必要があります。

提供の時から遅滞を免れるので遅延損害金は要りません

債務者は民法492条により、弁済の提供の時から債務を履行しないことによる責任を免れます。毎月末日に提供を続けて3か月拒まれた賃借人は、提供の日に遅滞を免れているので、供託日までの遅延損害金を付ける必要がありません。「賃借人は,その 3 か月分の賃料について,供託日までの遅延損害金を付すことなく供託をすることができる」という肢は正しい肢です。家賃に電気料を含む契約では合計額が債務の全額なので、「賃借人は,電気料と家賃の合計額を供託することができる」という肢も正しい肢です。

不法行為の損害賠償も自ら算定した額を提供して供託できます

不法行為の加害者は、損害額が確定していなくても、自ら算定した損害額に不法行為の時からの遅延損害金を加えて提供できます。「不法行為の加害者は,自ら算定した損害賠償額と不法行為発生時から提供日までの遅延損害金の合計額を被害者に提供した場合において,被害者がその受領を拒んだときは,受領拒絶を原因とする弁済供託をすることができる」という肢は正しい肢です。不法行為の損害賠償債務は不法行為の時から遅滞に陥るので、遅延損害金の起算点を請求の日にすると不足が出ます。「履行の請求を受けた日から弁済の提供の日までの遅延損害金を加えた額をもって,弁済供託をすることができる」という肢は誤りです。

拒絶の意思が明確なら提供なしで供託できます

債権者があらかじめ受領を拒んでいるときは民法493条ただし書により口頭の提供で足ります。さらに判例は、債権者の拒絶の意思が明確なときは口頭の提供すら要らないとします。「賃借人が賃貸人から建物明渡請求訴訟を提起されるとともに,今後は賃料を受領しない旨をあらかじめ告げられた場合には,賃借人は,その後に弁済期の到来した賃料について,現実の提供又は口頭の提供をすることなく供託をすることができる」という肢は正しい肢です。ただし弁済期が来ていない賃料は供託できず、係争中で受領しないことが明らかでも「毎月末日の家賃支払日の前に当月分の家賃につき弁済供託をすることができる」という肢は誤りです。

民法 第492条

(弁済の提供の効果)
債務者は、弁済の提供の時から、債務を履行しないことによって生ずべき責任を免れる。

試験ではこう問われる

  1. 受取証書の交付を拒まれたとき受領拒絶供託できるか(できる)
  2. 共同相続人の一人に全額を提供して拒まれたら全額を供託できるか(できない)
  3. 提供を続けた賃料の供託に遅延損害金は要るか(要らない。提供の時から遅滞を免れる)
  4. 不法行為の損害賠償を自ら算定した額で供託できるか(できる。遅延損害金は不法行為時から)
  5. 明渡訴訟中で受領しないと告げられていれば提供なしで供託できるか(できる。単なる事前の拒絶なら口頭の提供が要る。弁済期前は不可)

この用語が問われた肢

R4 問10 ア正しい

建物の賃貸借における賃借人は、債務の本旨に従って賃料を賃貸人に提供し、賃料の受領と引換えに受取証書の交付を請求した場合において、賃貸人が賃料は受領しようとしたものの、受取証書の交付を拒んだときは、受領拒絶を原因とする弁済供託をすることができる。

R2 問10 オ正しい

賃料の支払日が「毎月末日」とされている建物の賃貸借契約において,賃借人が毎月末日に当月分の賃料につき弁済の提供をした場合において,賃貸人が 3 か月にわたりその受領を拒んでいるときは,賃借人は,その 3 か月分の賃料について,供託日までの遅延損害金を付すことなく供託をすることができる。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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