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裁判上の保証供託さいばんじょうのほしょうきょうたく

供託 第3章 執行供託と保証供託 過去問で9肢

訴訟費用の担保や仮執行の担保、保全命令の担保のように、裁判所が立てさせる担保を供託の方法で提供する供託です。管轄が裁判所の所在地で決まること、第三者が供託できること、担保権利者が還付で払渡しを受けることが肢で突かれます。

裁判上の保証供託は、民事訴訟法76条や民事保全法4条のように裁判所が担保を立てることを命じた場合に、金銭や裁判所が相当と認める有価証券を供託所に供託して担保を提供する供託です。相手方に生じるかもしれない損害や訴訟費用を確保するためのもので、担保権利者は供託物の上に他の債権者に先立って弁済を受ける権利を持ちます。弁済供託と違って債務を消すためではなく、将来の損害に備えて質権に近い権利を相手方に与えるための供託です。肢で突かれるのは、管轄が裁判所を基準に決まること、第三者が供託者になれること、払渡しが配当ではなく還付によることです。

民事訴訟法 第76条

(担保提供の方法)
担保を立てるには、担保を立てるべきことを命じた裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所に金銭又は裁判所が相当と認める有価証券(社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)第二百七十八条第一項に規定する振替債を含む。次条において同じ。)を供託する方法その他最高裁判所規則で定める方法によらなければならない。ただし、当事者が特別の契約をしたときは、その契約による。

法廷の前で原告が硬貨の袋を供託所の金庫に預け、被告がその袋に結ばれた紐の端を握り、裁判官が壇上から見ている
裁判上の保証供託は、担保を命じた裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の区域内の供託所にします
管轄は裁判所の所在地第三者も供託できる担保権利者は還付で受け取る

管轄は担保を命じた裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の区域内です

民事訴訟法76条は、担保を立てるべきことを命じた裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所に供託すると定めます。区域内であればどの供託所でもよく、特定の一つの供託所に限られません。「裁判上の担保供託は,担保を立てるべきことを命じた裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内のいずれの供託所にもすることができる」という肢は正しい肢です。「民事訴訟の訴訟費用の担保のために行う担保供託は,担保を立てるべきことを命じた裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならない」という肢も正しい肢です。民事保全法4条と民事執行法15条は保全執行裁判所や執行裁判所の所在地も加えます。保全命令の担保は、通常の供託所に遅滞なく供託することが困難な事由があるときに限り、民事保全法14条2項により裁判所の許可を得て債権者の住所地などの供託所にもできます。

金銭のほか裁判所が相当と認める有価証券も供託できます

担保として供託できるのは金銭と、裁判所が相当と認める有価証券です。社債、株式等の振替に関する法律の振替債も含まれます。「民事訴訟における当事者が供託する方法により仮執行免脱の担保を立てる場合には,当事者が特別の契約をしたときを除き,裁判所が相当と認める有価証券を供託物とすることができる」という肢は正しい肢です。「民事訴訟における当事者が供託する方法により仮執行免脱の担保を立てる場合には、有価証券を供託物とすることができない」という肢は誤りです。仮差押解放金が金銭に限られるのと違う点です。当事者が特別の契約をしたときはその契約によります。

第三者も供託者になれ、相手方の同意は要りません

裁判上の保証供託は、担保を命じられた当事者本人のほか第三者も供託者になれると供託実務で扱われています。担保の目的は相手方の損害を確保することなので、誰の財産で確保するかは問われないからです。「当事者以外の第三者は,相手方の同意がない場合には,裁判上の保証供託をすることができない」という肢は誤りです。「民事訴訟における原告が供託所に金銭を供託する方法により訴訟費用の担保を立てる場合には、被告の同意がない限り、原告以外の第三者が供託者となることはできない」という肢も誤りです。営業保証供託で第三者の供託が認められないのと対比して覚えます。

担保権利者は配当ではなく還付請求で払渡しを受けます

民事訴訟法77条は、被告が供託された金銭や有価証券について他の債権者に先立って弁済を受ける権利を持つと定めます。担保権利者は被供託者として、損害賠償請求権を証する確定判決などを添えて供託所に直接還付請求をします。「民事訴訟における被告が訴訟費用の担保として供託された供託金の払渡しを受けようとする場合には、裁判所の配当手続によらず、供託所に対して還付を請求する方法によらなければならない」という肢は正しい肢です。「民事訴訟における被告が訴訟費用の担保として供託された金銭の払渡しを受けるには,裁判所の配当手続によらなければならない」という肢は誤りです。執行供託が執行裁判所の配当と支払委託で払い渡されるのと違います。

供託者の取戻しには担保取消決定か原因消滅の証明が要ります

担保の事由が消滅したときは、民事訴訟法79条により供託者は裁判所に担保取消しの決定を求め、決定の正本と確定証明書を添えて取戻請求をします。訴訟の完結後に担保権利者が権利行使の催告に応じないときも同意があったものとみなされて取消しができます。「保全命令に係る担保供託について,担保の事由が消滅し,その供託物の取戻請求をするときは,供託者は,供託物払渡請求書に担保取消決定正本及びその確定証明書又はこれに代えて供託原因の消滅を証する裁判所の証明書を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。保証として金銭を供託した場合は、供託規則34条2項により毎年供託した月の応当月の末日後に利息だけの払渡しを受けることもできます。

民事訴訟法 第77条

(担保物に対する被告の権利)
被告は、訴訟費用に関し、前条の規定により供託した金銭又は有価証券について、他の債権者に先立ち弁済を受ける権利を有する。

試験ではこう問われる

  1. 管轄を債務の履行地や相手方の住所地に置き換える肢
  2. 有価証券を供託物にできないとする肢や、仮差押解放金と混ぜる肢
  3. 第三者が供託者になるのに相手方の同意を要求する肢
  4. 担保権利者の払渡しを裁判所の配当手続によるとする肢
  5. 取戻しの添付書類として担保取消決定正本と確定証明書を問う肢

この用語が問われた肢

R2 問11 イ正しい

裁判上の担保供託は,担保を立てるべきことを命じた裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内のいずれの供託所にもすることができる。

R6 問9 ウ誤り

民事訴訟における当事者が供託する方法により仮執行免脱の担保を立てる場合には、有価証券を供託物とすることができない。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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