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供託の無効と錯誤取戻しきょうたくのむこうとさくごとりもどし

供託 第4章 払渡し(還付と取戻し) 過去問で3肢

法令の根拠や要件を欠く供託は無効で、供託者は供託法8条2項の「供託が錯誤に出たこと」を証明して取り戻します。供託法9条の無効、管轄違いの供託が受諾で有効になること、錯誤の証明に何が要るかが肢で突かれます。

供託の無効と錯誤取戻しは、供託として成立しているように見えても法律上の効力がない場面と、その供託金を供託者が取り戻す手続を指します。供託法9条は、供託者が供託物を受け取る権利を持たない者を指定したときはその供託は無効と定め、8条2項は供託が錯誤に出たことを証明すれば取り戻せると定めます。供託官は形式審査で受理するので、要件を欠く供託が受理されてしまうことがあり、無効な供託では債務は消えず、供託者に取戻しの道が残ります。肢で突かれるのは、どんな供託が無効か、無効な供託が有効に転じる場面はあるか、錯誤の証明に何が要るかです。

供託法 第9条

供託者カ供託物ヲ受取ル権利ヲ有セサル者ヲ指定シタルトキハ其供託ハ無効トス

会社員が供託所の窓口で頭を抱え、職員が金庫から硬貨の袋を取り出して返し、袋にバツ印の札が結ばれている
要件を欠く供託は無効で、供託者は錯誤を証明して取り戻します
受取権限のない者の指定は無効管轄違いは受諾で有効扱い錯誤を証する書面を添付

受け取る権利のない者を指定した供託は無効です

供託法9条により、債権者でない者を被供託者に指定した弁済供託は無効で、債務者の債務は消えません。口頭の提供をしても受領しないことが明らかな場合を除いて弁済の提供をせずに受領拒絶を原因として供託した場合や、法令の根拠がないのにした供託も、要件を欠くので無効です。無効な供託でも供託所が受理して保管している以上、供託者は放置せず、錯誤を理由に取り戻して正しい供託をやり直します。被供託者に指定された者が還付を受けてしまうと、供託者は不当利得として返還を求める立場に回ります。供託官は被供託者が真の債権者かどうかを審査しないので、無効な供託を受理したこと自体は供託官の過誤にはなりません。

管轄違いの供託は受諾や還付で有効なものとして扱われます

弁済供託を管轄外の供託所にした場合は本来無効ですが、被供託者が受諾したり還付請求をしたりすれば、供託実務では有効な供託として扱われます。「管轄外の供託所にされた弁済供託が誤って受理された場合には,当該弁済供託は無効であり,たとえ被供託者が当該弁済供託を受諾したとしても,当該弁済供託を有効なものとして取り扱うことはできない」という肢は誤りです。「弁済供託が供託をすべき供託所以外の供託所に供託されている場合であっても、被供託者は、当該供託に係る供託金の還付を請求することができる」という肢は正しい肢です。受諾も還付もない間は、供託者が錯誤を理由に取り戻すことができます。適法な弁済の提供があれば民法492条によりその時から不履行の責任を免れるので、管轄違いだけで遅滞の責任が残るわけではありません。

被供託者に実体のない者が混ざっても直ちに無効にはなりません

債権者不確知の供託で、被供託者として掲げた者の中に権利義務の主体となる実体を備えていない者が含まれていても、他の被供託者の中に還付請求権を持つ者がいれば供託は無効になりません。供託法9条の無効は、受け取る権利のある者が誰も指定されていない場合を想定しているからです。「債権者不確知を原因とする供託がされた場合において、被供託者の中に権利義務の帰属主体となる実体を備えていない者が含まれていたときは、その他の被供託者の中に還付請求権を有する者が含まれていたとしても、供託は無効となる」という肢は誤りです。実体のない者の部分は、真の債権者が自分の権利を証明して還付を受ける扱いです。

錯誤取戻しには供託が錯誤に出たことを証する書面を添えます

錯誤を理由に取り戻すときは、供託規則25条1項の「取戻しをする権利を有することを証する書面」として、供託が錯誤に出たことを証する書面を払渡請求書に添付します。供託実務では、被供託者が供託の無効を認めた承諾書に印鑑証明書を添えたものや、供託が無効であることを確認した確定判決の謄本、裁判上の保証供託なら裁判所の証明書などが使われます。供託者が一方的に「錯誤だった」と申し出るだけでは足りず、被供託者の利益を害さないことを供託官が書面で確かめる仕組みです。取り戻した供託は民法496条1項により供託をしなかったものとみなされ、債務は最初から消えていなかったことになる扱いです。

供託法 第8条第2項

供託者ハ民法第四百九十六条ノ規定ニ依レルコト、供託カ錯誤ニ出テシコト又ハ其原因カ消滅シタルコトヲ証明スルニ非サレハ供託物ヲ取戻スコトヲ得ス

試験ではこう問われる

  1. 受け取る権利のない者を被供託者に指定した供託の効力を問う肢
  2. 管轄違いの供託が受諾や還付で有効になることを否定する肢
  3. 不確知の被供託者に実体のない者が含まれるだけで供託全体を無効とする肢
  4. 錯誤取戻しの証明書面に何が使えるかや、副本ファイルの記録による省略の範囲を問う肢

この用語が問われた肢

R4 問10 オ正しい

弁済供託が供託をすべき供託所以外の供託所に供託されている場合であっても、被供託者は、当該供託に係る供託金の還付を請求することができる。

R7 問9 オ誤り

債権者不確知を原因とする供託がされた場合において、被供託者の中に権利義務の帰属主体となる実体を備えていない者が含まれていたときは、その他の被供託者の中に還付請求権を有する者が含まれていたとしても、供託は無効となる。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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