払渡請求の添付書類(還付を受ける権利を証する書面)はらいわたしせいきゅうのてんぷしょるい
供託規則24条と25条が定める、還付を受ける権利や取戻しをする権利を有することを証する書面と、反対給付の証明書類、承諾書に添える印鑑証明書の束です。副本ファイルで明らかなときの省略、承諾書の印鑑証明書の期限、反対給付の証明方法で肢が作られます。
払渡請求の添付書類のうち中心になるのが、供託規則24条1項の「還付を受ける権利を有することを証する書面」と25条1項の「取戻しをする権利を有することを証する書面」です。供託官は実体上の権利を審査する権限を持たず、書面だけで権利者かどうかを判断するので、誰が権利者かを示す書面が払渡しの鍵になります。副本ファイルの記録で権利が明らかなときは省略でき、反対給付があるときは供託法10条の証明書類を加えます。肢で突かれるのは、省略できる場面、承諾書に添える印鑑証明書の期限、反対給付の証明に何が使えるかです。
供託規則 第24条第1項供託物の還付を受けようとする者は、供託物払渡請求書に次の各号に掲げる書類を添付しなければならない。
一 還付を受ける権利を有することを証する書面。ただし、副本ファイルの記録により、還付を受ける権利を有することが明らかである場合を除く。
二 反対給付をしなければならないときは、供託法第十条の規定による証明書類

副本ファイルで権利が明らかなら権利を証する書面は要りません
受領拒絶を原因とする弁済供託で、供託書に記載された被供託者本人が還付請求をする場面が典型です。副本ファイルの記録で被供託者であることが明らかなので、還付を受ける権利を有することを証する書面を添付する必要がありません。取戻しも同じで、被供託者が受諾していないことを理由に供託者本人が請求するときは証明書面が要りません。「被供託者が供託を受諾しないことを理由として,供託者が供託金の取戻しを請求する場合においては,供託書上の供託者の住所及び氏名と供託物払渡請求書上の払渡請求者の住所及び氏名とが同一であっても,供託物払渡請求書に取戻しをする権利を有することを証する書面を添付しなければならない」という肢は誤りです。被供託者の相続人が請求するときは、相続を証する戸籍などが権利を証する書面になります。
債権者不確知の還付には他の被供託者の承諾書か確定判決を添えます
被供託者をAまたはBとする債権者不確知の供託でAが還付を受けるには、Aが債権者であることを証する書面が要ります。供託実務では、Bの承諾書に印鑑証明書を添えたものか、AとBの間でAが債権者であることを確定した判決の謄本が使われます。供託者の承諾書は使えず、供託者は誰が債権者か分からないから供託した立場なので、その承諾で権利を証することはできません。「債権者不確知を原因とする弁済供託に係る供託金の還付請求をする場合には,供託者の承諾書及び当該承諾書に押された印鑑に係る印鑑証明書をもって,還付を受ける権利を有することを証する書面とすることができる」という肢は誤りです。供託官が他の被供託者に異議を催告して期間経過で払い渡すような手続もありません。「被供託者をA又はBとして債権者不確知を原因とする弁済供託がされ、Aが供託物の払渡しの請求をした場合において、供託官が、一定の期間を定めてBに対して当該供託物の払渡しに異議があれば申し出るべき旨を通知し、当該期間が経過したときは、Aは、還付を受ける権利を有することを証する書面を添付することなく、供託物の払渡しを受けることができる」という肢は誤りです。
承諾書に添える印鑑証明書は作成前3か月以内か作成後のものです
利害関係人の承諾書を権利を証する書面として添付するときは、供託規則24条2項により承諾書の印鑑についての市町村長か登記所の証明書を併せて添付します。印鑑証明書は承諾書の作成前3か月以内か、作成後に作成されたものでなければなりません。「供託物の払渡請求をする者が,供託物払渡請求書に利害関係人の承諾書を添付する場合には,当該承諾書に押された印鑑につき市町村長又は登記所の作成した証明書であって,当該承諾書の作成前3か月以内又はその作成後に作成されたものを併せて添付しなければならない」という肢は正しい肢です。承諾した利害関係人が登記された法人なら代表者の資格を証する登記事項証明書も添えます。
反対給付の履行は登記事項証明書などの公の書面で証明します
供託者が反対給付を条件に供託したときは、供託法10条により、供託者の書面か裁判、公正証書その他の公正の書面で反対給付があったことを証明しなければ還付を受けられません。所有権移転登記を反対給付として売買代金が供託されている場合は、売買を原因とする所有権移転登記がされた登記事項証明書が公正の書面にあたります。「所有権の移転の登記を反対給付の内容として土地の売買代金が供託されている場合には,反対給付を履行したことを証する書面として,その売買を原因とする所有権の移転の登記がされている当該土地の登記事項証明書を供託物払渡請求書に添付して,供託物の還付請求をすることができる」という肢は正しい肢です。供託者が作成した反対給付を受けた旨の書面も、供託法10条が認める証明方法の一つです。
供託法 第10条供託物ヲ受取ルヘキ者カ反対給付ヲ為スヘキ場合ニ於テハ供託者ノ書面又ハ裁判、公正証書其他ノ公正ノ書面ニ依リ其給付アリタルコトヲ証明スルニ非サレハ供託物ヲ受取ルコトヲ得ス
試験ではこう問われる
- 副本ファイルで権利が明らかな場面で権利を証する書面を要求する肢
- 債権者不確知の還付に供託者の承諾書を使えるとする肢や、供託官の催告手続があるかのように書く肢
- 承諾書の印鑑証明書の期限を6か月などにすり替える肢
- 反対給付の証明を登記事項証明書でできるかを問う肢
この用語が問われた肢
被供託者をA又はBとして債権者不確知を原因とする弁済供託がされ、Aが供託物の払渡しの請求をした場合において、供託官が、一定の期間を定めてBに対して当該供託物の払渡しに異議があれば申し出るべき旨を通知し、当該期間が経過したときは、Aは、還付を受ける権利を有することを証する書面を添付することなく、供託物の払渡しを受けることができる。
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