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個人商人の登記事項(商号・支配人・未成年者の登記)こじんしょうにんのとうきじこう

会社法・商法 第14章 商法総則 過去問で1肢

個人商人の登記事項とは、会社でない商人について商法が商業登記簿に登記すべきものと定めた事項のことで、未成年者が営業を行うときの登記(商法5条)、後見人が営業を行うときの登記(6条)、支配人の選任と代理権の消滅の登記(22条)は義務であり、商号の登記は商人が任意にすることができます(11条2項)。登記した事項に変更が生じ又は消滅したときは、遅滞なく変更・消滅の登記をしなければなりません(10条)。

会社は商号も代表者も登記簿に必ず載りますが、個人で店を営む商人は、屋号を登記するかどうかを自分で決められます。登記するのは屋号を守りたい人の権利であって義務ではありません。一方、取引相手が誰と契約しているのかに直結する事柄、つまり支配人を置いたこと・辞めさせたこと、未成年者が自分で営業していることは、相手を守るために登記が義務です。いったん登記した事項が変わったら、任意で登記したものでも、遅滞なく変更の登記をしなければなりません。登記簿に古い情報を残すと、信じた人が害されるからです。

法務局の窓口の場面。先生が登記官役(札「法務局」)でカウンターに座り、向かいにエプロン姿の男性店主(札「個人商人」)が2枚の申請書を持っている。左の申請書「商号の登記」には「してもしなくてもよい(11条2項)」の付箋、右の申請書「支配人の選

個人商人の商号の登記は任意ですが、登記した商号を変更したときは変更の登記をしなければなりません

商人(会社を除く)は、その氏、氏名その他の名称をもって商号とすることができ(11条1項)、その商号の登記をすることができます(同条2項)。「することができる」という文言のとおり、個人商人の商号の登記は権利であって義務ではなく、登記をしないまま商号を使って営業することもできます。「個人商人は,その商号を定めたときは,その登記をしなければならない」という記述、「商人は、その商号を登記しなければならない」という記述、「商人は,その商号を登記しなければならない」という記述はいずれも誤りで、会社の商号は定款の絶対的記載事項で設立の登記の登記事項なので(会社法27条2号・911条3項2号)、必ず登記されます。この違いが繰り返し問われます。他方、商法の規定により登記した事項に変更が生じ、又はその事項が消滅したときは、当事者は遅滞なく変更の登記又は消滅の登記をしなければなりません(10条)。任意で登記した商号でも、いったん登記した以上は登記簿を実体に合わせる義務が生じます。

支配人の選任と代理権の消滅、未成年者の営業は登記しなければなりません

商人が支配人を選任したときはその登記をしなければならず、支配人の代理権の消滅についても同様です(22条)。支配人は商人に代わって営業に関する一切の裁判上・裁判外の行為をする包括的な代理権を持ち(21条1項)、その存否は取引相手の利害に直結するので、登記を義務づけて公示を強制したものです。選任の登記をしていなくても選任自体は有効で、登記は善意の第三者への対抗要件です(9条1項)。未成年者が商人として営業を行うときも登記をしなければならず(5条)、後見人が被後見人のために営業を行うときも登記を要します(6条1項)。

教室の場面。先生が教壇に立ち、黒板を左右に割った板書。左「会社」の下に「商号=定款に書き、設立の登記で必ず登記(会社法911条3項2号)」。右「個人商人」の下に「商号の登記=任意(商法11条2項)」「支配人・未成年者=登記義務(22条・5条

支配人の代理権に加えた制限は登記することができず、小商人には商業登記の規定が適用されません

登記できるのは法令が登記事項と定めた事項だけです。支配人の登記の登記事項(商業登記法43条1項。支配人の氏名・住所、商人の氏名・住所、支配人を置いた営業所など)に代理権の内容や範囲は含まれておらず、支配人の代理権に加えた制限は善意の第三者に対抗できないので(21条3項)、複数の支配人が代理権を共同で行使すべき旨の制限を設けても、それを登記することはできません。また、営業のために使用する財産の価額が法務省令で定める金額を超えない小商人には、未成年者登記・後見人登記、商業登記の章、商号の登記、支配人の登記などの規定が適用されません(7条)。問題文の「小商人に当たる者を除く」という断りは、この適用除外を外して登記の要否を問うためのものです。

個人商人の登記事項

  • 義務(絶対的登記事項): 未成年者の営業(5条)、後見人の営業(6条)、支配人の選任と代理権の消滅(22条)、商号の譲渡の対抗要件としての登記(15条2項。任意だが登記しなければ第三者に対抗できない)
  • 任意(任意的登記事項): 商号の登記(11条2項)。会社の商号は必ず登記される(会社法911条3項2号)
  • 変更・消滅(10条): 登記した事項に変更・消滅があれば遅滞なく登記。任意で登記した商号も同じ
  • 登記できないもの: 支配人の代理権の制限(21条3項。登記事項でない)
  • 小商人(7条): 上の登記の規定はすべて不適用
  • 登記の効力(9条): 登記前は善意の第三者に対抗できない。登記後は正当な事由がある第三者を除き対抗できる。不実の登記は故意・過失があれば善意の第三者に対抗できない
商法 第11条第2項

商人は、その商号の登記をすることができる。

商法 第22条

(支配人の登記)
商人が支配人を選任したときは、その登記をしなければならない。支配人の代理権の消滅についても、同様とする。

商法 第10条

(変更の登記及び消滅の登記)
この編の規定により登記した事項に変更が生じ、又はその事項が消滅したときは、当事者は、遅滞なく、変更の登記又は消滅の登記をしなければならない。

試験ではこう問われる

  1. 個人商人の商号の登記は任意(11条2項)。「登記しなければならない」は誤り。会社の商号は必ず登記される
  2. 登記した商号を変更したら変更の登記が要る(10条)
  3. 支配人の選任と代理権の消滅は登記義務(22条)。選任は登記が無くても有効
  4. 未成年者が営業を行うときは登記(5条)。未成年者も商人になれる
  5. 支配人の代理権を共同行使とする制限は登記できない(21条3項)
  6. 小商人には商業登記の規定が適用されない(7条)

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