仮登記担保かりとうきたんぽ
金銭債務を担保するために代物弁済の予約や停止条件付代物弁済契約をし、その所有権移転の請求権を仮登記で保全しておく担保の方法です。清算期間と清算金、本登記ができる時期が肢で突かれます。
仮登記担保は、金銭債務を担保するために代物弁済の予約や停止条件付代物弁済契約をし、その所有権移転の請求権を仮登記で保全しておく担保の方法です。債務者が履行しなければ、債権者が不動産の所有権を取得して債権の回収に充てます。昭和53年に制定された仮登記担保契約に関する法律が、債権者が目的物を丸取りする暴利を抑えるため、清算金の支払と2か月の清算期間を義務づけました。登記の形は所有権移転請求権の仮登記か条件付所有権移転仮登記で、不動産登記法105条2号の仮登記です。肢で突かれるのは、本登記の原因日付がいつになるか、非金銭債務の担保なら法の適用を受けないかという点です。
不動産登記法 第105条第1項第2号第三条各号に掲げる権利の設定、移転、変更又は消滅に関して請求権(始期付き又は停止条件付きのものその他将来確定することが見込まれるものを含む。)を保全しようとするとき。

所有権が移るのは清算金の見積額の通知から2か月後です
債権者が仮登記担保権を実行するには、契約の相手方である債務者または物上保証人に清算金の見積額を通知します。通知には目的物の見積価額と債権額の内訳も記載し、債務者が清算金の額の当否を判断できるようにします。通知が到達した日から2か月の清算期間が過ぎたときに、初めて所有権が債権者に移ります。清算期間が経過する前に本登記をすることはできません。清算金がないときはその旨を通知し、同じく2か月の経過で所有権が移ります。登記の原因日付は予約完結の日ではなく、清算期間が経過した日です。
債権者は目的物の価額と債権額の差額を清算金として払います
仮登記担保契約に関する法律は、目的物の価額が債権額を超えるときにその差額を清算金として債務者に支払うことを債権者に義務づけています。債務者は清算金の支払を受けるまで目的物の引渡しを拒め、清算金の支払と所有権移転の本登記は同時履行の関係にあります。登記実務では、本登記の申請に清算金を支払ったことを証する情報までは求めていません。
本登記は仮登記の原因日付から2か月が過ぎていなければできません
代物弁済の予約を原因とする所有権移転請求権の仮登記の本登記は、登記原因の日付が仮登記の原因日付から2か月を経過した後の日でなければ受理されないと扱われています。金銭債務の担保であれば清算期間を経なければ所有権が移らないからです。非金銭債務を担保する代物弁済の予約には法の適用がないので、そのことを証する情報を提供すれば2か月以内の日付でも本登記ができます。「代物弁済の予約を仮登記原因とする所有権移転請求権保全の仮登記の本登記の申請は,非金銭債務を担保するためにされたものであることを証する情報を提供すれば,登記原因の日付が仮登記原因の日付として登記されている日から2か月の期間の経過後の日でなくても,することができる」という肢は正しい肢です。
後順位の担保権者は清算金を差し押さえられます
仮登記担保の後に抵当権の設定を受けた後順位の担保権者は、仮登記担保権者が本登記をするときにその抵当権の登記を抹消され、担保を失います。担保を失う代わりに、債務者が受け取る清算金に物上代位でき、清算金が払い渡される前に差し押さえることで自分の債権を回収します。清算期間内であれば、後順位の担保権者が自ら目的物の競売を請求することも認められています。競売が開始されれば、仮登記担保権者は本登記をせずに、担保仮登記のときに抵当権の設定の登記がされたものとみなした順位で配当を受ける立場です。
債務者は清算金の支払を受けるまで受戻しができます
債務者は、清算金の支払を受けるまでは、債権額に相当する金銭を債権者に提供して目的物の所有権を取り戻せます。清算期間が経過してから5年が過ぎたとき、または第三者が所有権を取得したときは受戻しができません。受戻しがあれば、担保仮登記は解除などを原因として抹消する流れです。
民法 第482条(代物弁済)
弁済をすることができる者(以下「弁済者」という。)が、債権者との間で、債務者の負担した給付に代えて他の給付をすることにより債務を消滅させる旨の契約をした場合において、その弁済者が当該他の給付をしたときは、その給付は、弁済と同一の効力を有する。
試験ではこう問われる
- 仮登記担保で所有権が移るのはいつか(清算金の見積額の通知が到達してから2か月の経過後)
- 代物弁済予約の仮登記の本登記の原因日付に制約があるか(仮登記原因の日付から2か月経過後の日)
- 非金銭債務の担保なら2か月以内の本登記ができるか(できる。その旨を証する情報を提供)
- 後順位の担保権者はどう保護されるか(払渡し前の清算金への物上代位と清算期間内の競売請求)
- 債務者はいつまで受戻しができるか(清算金の支払を受けるまで。5年経過や第三取得で不可)
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