中間省略登記ちゅうかんしょうりゃくとうき
AからB、BからCと順に移った所有権について、Bを飛ばしてAからCへ直接する移転の登記で、物権変動の過程を忠実に公示する原則に反するため申請できないのが原則です。判決や数次相続の例外と、最初から直接移転になる契約の形が肢で突かれます。
中間省略登記は、AからB、BからCへと所有権が順に移ったのに、中間者Bの登記を省いてAからCへ直接する移転の登記です。登記は物権変動の過程をそのまま公示する建前で、不動産登記法61条が登記原因証明情報を求める以上、存在しないAC間の売買を原因にした申請は受け付けられません。登録免許税を一回分節約するための中間省略は、AとCが共同で申請しても却下されます。例外として、AからCへの移転の登記手続を命ずる確定判決による申請や、数次相続で中間の相続が単独相続であるときの登記は認められます。肢で突かれるのは、どの形が省略に当たり、どの形が最初から直接の移転なのかです。
不動産登記法 第60条(共同申請)
権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない。

登記は物権変動の過程を忠実に公示するのが原則です
民法176条で所有権はAからB、BからCへと順に移り、登記も二段階で公示するのが建前です。AからCへ直接の移転の登記を申請しても、AとCの間には登記原因となる法律行為がなく、61条の登記原因証明情報を作れません。登記官は申請情報と登記原因証明情報の内容が合致しないとして却下します。ABCの三者が合意しても同じで、合意は中間省略の実体を作らず、登録免許税を免れる目的の申請は通りません。登記官は実体の変動を調べませんが、申請情報と登記原因証明情報の食い違いは25条8号の却下事由です。令和6年4月1日に相続登記が義務化されてからは、放置された数次相続を整理する場面で例外の出番が増えた形です。
判決で命じられた直接の移転は登記できます
CがAを被告として、AからCへ直接所有権の移転の登記手続をせよという確定判決を得たときは、その判決に基づいて単独で申請できます。登記官は判決の当否を審査できず、不動産登記法63条1項の判決による登記として処理するからです。判決による登記では登記原因証明情報が判決書の正本になるので、AC間の契約書がなくても申請できる仕組みです。判決の主文が中間者Bを経由する形になっていれば、AからB、BからCと二段階で申請します。訴訟で中間省略登記請求が認められるにはBの同意が要るというのが判例ですが、登記手続としては判決の主文に従うだけです。
数次相続は中間が単独相続なら直接最終の相続人名義にできます
Aが死亡してBが相続し、相続の登記をしないままBが死亡してCが相続する場面が数次相続です。昭和30年民事甲第2670号通達により、中間のBの相続が単独相続であれば、AからCへ直接相続の登記ができます。中間の相続が遺産分割や相続放棄によって結果として単独になった場合も同じ扱いです。登記原因は「年月日B相続 年月日相続」のように、中間の相続と最終の相続を並べて記載します。中間の相続が共同相続のままなら、AからBら共同相続人への登記を経てからCへの登記をします。
第三者のためにする契約や地位の譲渡なら最初から直接の移転です
登記実務では、AB間の売買でBが所有権をCに直接移転させる第三者のためにする契約を結び、Cが受益の意思表示をする形が認められています。BがAに対する買主の地位をCに譲渡し、AからCへ所有権が移る形も同じです。どちらも所有権はAからCへ直接移っているので、中間省略ではなく実体どおりの登記で、登記原因証明情報に契約の内容を記載して申請します。真正な登記名義の回復を原因とする移転の登記も、登記名義を実体に合わせる別の仕組みで、中間省略とは区別して整理します。
不動産登記法 第61条(登記原因証明情報の提供)
権利に関する登記を申請する場合には、申請人は、法令に別段の定めがある場合を除き、その申請情報と併せて登記原因を証する情報を提供しなければならない。
試験ではこう問われる
- ABCの合意があれば中間省略登記を申請できるか(できない。登記原因証明情報を作れず却下)
- 判決があれば直接の移転を登記できるか(できる。主文の形に従う)
- 数次相続で直接登記できるのはどんなときか(中間の相続が単独相続のとき。共同相続なら経由する)
- 第三者のためにする契約や買主の地位の譲渡は中間省略か(違う。所有権が直接移るので実体どおり)
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