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民事保全の手続と民事訴訟法の準用みんじほぜんのてつづきとみんじそしょうほうのじゅんよう

民事保全法 第1章 保全命令の申立てと審理 過去問で1肢

民事保全の手続には、特別の定めがある場合を除き、その性質に反しない限り民事訴訟法第一編から第四編までの規定が準用されます(7条)。疎明は即時に取り調べることができる証拠によるので(民事訴訟法188条)、文書提出命令の規定は民事保全の手続には準用されないとされています。

民事保全の手続と民事訴訟法の準用は、7条が定めています。民事保全法は保全に特有の事項だけを定め、送達・期日・証拠などの一般的な手続は民事訴訟法の規定を借りています。ただし、民事保全は迅速さを優先する手続なので、民事訴訟法の規定のうち、その性質に合わないものは使えません。

民事訴訟法の本から民事保全への矢印の途中で、文書提出命令のカードに×印
民事保全の手続に関しては、民事訴訟法の文書提出命令に関する規定は準用されないとされています
性質に反しない限り準用文書提出命令は使わない即時に調べる証拠
民事保全法 第7条第1項

特別の定めがある場合を除き、民事保全の手続に関しては、その性質に反しない限り、民事訴訟法第一編から第四編までの規定(同法第七十一条第二項、第九十一条の二、第九十二条第九項及び第十項、第九十二条の二第二項、第九十四条、第百条第二項、第一編第五章第四節第三款、第百十一条、第一編第七章、第百三十三条の二第五項及び第六項、第百三十三条の三第二項、第百五十一条第三項、第百六十条第二項、第百八十五条第三項、第二百五条第二項、第二百十五条第二項、第二百二十七条第二項、第二百三十二条の二並びに第二百六十七条第二項の規定を除く。)を準用する。この場合において、別表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。

現行7条は、性質に反しない限り民事訴訟法第一編から第四編までを準用すると定めています

現行の7条は、特別の定めがある場合を除き、民事保全の手続に関しては、その性質に反しない限り、民事訴訟法第一編から第四編までの規定を準用するとし、準用しない規定を列挙しています。R3(2021年)の出題当時の7条は「特別の定めがある場合を除き、民事保全の手続に関しては、民事訴訟法の規定を準用する。」という一文でした(e-Gov の2020年4月1日施行版)。どちらの規定のもとでも、民事訴訟法の規定は民事保全の性質に合う範囲で使われます。

疎明は即時に取り調べることができる証拠によるので、文書提出命令の規定は準用されないとされています

保全命令の要件は疎明で足り(13条2項)、疎明は即時に取り調べることができる証拠によってしなければなりません(民事訴訟法188条)。文書提出命令は、相手方や第三者に文書の提出を命じ、提出を待って取り調べる手続なので、この即時性と相いれません。「民事保全の手続に関しては,民事訴訟法の文書提出命令に関する規定は準用されない」という肢(R3 午後 問6 ウ)は正しい記述です。現行7条が列挙する準用しない規定には文書提出命令の条文が挙がっていないので、準用されない理由は手続の性質にあると解されています。

民事保全法は、審理の早さのために釈明処分の特例も設けています

9条は、裁判所が、争いに係る事実関係に関し当事者の主張を明瞭にさせる必要があるときは、口頭弁論又は審尋の期日において、当事者のため事務を処理し又は補助する者で裁判所が相当と認めるものに陳述をさせることができるとしています。会社の従業員のように事情を知る者から直接話を聞けるようにしたもので、民事訴訟法の釈明処分を民事保全向けに広げた規定です。

民事保全法 第9条第1項

裁判所は、争いに係る事実関係に関し、当事者の主張を明瞭にさせる必要があるときは、口頭弁論又は審尋の期日において、当事者のため事務を処理し、又は補助する者で、裁判所が相当と認めるものに陳述をさせることができる。

民事保全の裁判は決定で完結するので、口頭弁論を開くかどうかは裁判所が決めます

3条の任意的口頭弁論も、民事訴訟法の仕組みと結びついています。民事訴訟法87条1項は、訴訟について口頭弁論をしなければならないとしつつ、決定で完結すべき事件については、裁判所が口頭弁論をすべきか否かを定めるとしています。民事保全の手続に関する裁判はすべて決定でされるので、3条は、口頭弁論を開くかどうかを裁判所に委ねることを確認しています。

保全執行には民事執行法が、手続の細目には民事保全規則と民事訴訟規則が準用されます

保全命令に関する手続には民事訴訟法が準用されるのに対し、保全執行には、民事執行法の総則的な規定(執行官の権限、執行抗告・執行異議、第三者異議の訴えなど)が46条で準用されます。最高裁判所規則としては、民事保全の手続に関し必要な事項を民事保全規則が定め(8条)、民事保全規則6条の11は、特別の定めがある場合を除き、その性質に反しない限り民事訴訟規則第一編から第四編までの規定を準用しています。民事保全規則は最高裁判所規則で、裁判所のサイトの規則集で原文を読むことができます。

試験ではこう問われる

  1. 民事保全の手続に関しては、民事訴訟法の文書提出命令に関する規定は準用されない(7条、民事訴訟法188条。R3 午後 問6 ウ ○)
  2. 現行7条は、性質に反しない限り民事訴訟法第一編から第四編までを準用し、準用しない規定を列挙している(7条)
  3. 疎明は、即時に取り調べることができる証拠によってしなければならない(民事訴訟法188条)
  4. 裁判所は、当事者のため事務を処理し又は補助する者に期日で陳述をさせることができる(9条)

この用語が問われた肢

R3 問6 ウ正しい

民事保全の手続に関しては,民事訴訟法の文書提出命令に関する規定は準用されない。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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