組合財産と組合債務(675条〜677条・債権者の権利行使・団体の比較)くみあいざいさんとくみあいさいむ
組合財産とは、各組合員の出資その他の組合の財産で、総組合員の共有に属します(668条)。組合員は持分の処分を組合と取引の相手方に対抗できず、清算前に分割を求められません(676条)。組合の債権者は組合財産と各組合員に権利を行使できますが(675条)、組合員の債権者は組合財産に権利を行使できません(677条)。
仲間で店を開くために出し合ったお金や道具は、組合員みんなの共有です。ただ、普通の共有と違い、店を続けるための財産なので、一人が勝手に自分の分を売ったり分けろと言ったりはできません。店の借金については、取引先は店の財産からも、組合員一人一人からも、決まった割合で取り立てられます。反対に、組合員個人の借金のために店の財産を差し押さえることはできません。

組合財産は総組合員の共有ですが、共同の事業のための財産なので、持分の処分は組合と取引の相手方に対抗できず、清算前の分割も求められません
各組合員の出資その他の組合財産は、総組合員の共有に属します(668条)。もっとも、共同の事業を営むための財産なので、通常の共有と違う制限がかかります。組合員は、組合財産について持分を処分しても、その処分を組合及び組合と取引をした第三者に対抗できません(676条1項)。組合財産である債権について、組合員は持分についての権利を単独で行使できません(同条2項)。組合員は清算前に組合財産の分割を求められません(同条3項)。過半数の同意があっても同じです。他方、組合財産である不動産に不実の登記がある場合、その抹消を求めることは妨害排除で保存行為に当たるので、組合員の一人が単独で請求できます(最判昭和33年7月22日)。組合は法人格がないので、組合名義で所有権移転登記をすることはできません。不動産を組合に出資するときは、出資を原因として組合員の名義に移します。「A,B及びCが民法上の組合契約を締結し,Aを業務執行組合員とした場合において,A,B及びCが所有権の登記名義人である甲土地の所有権を当該組合契約のために出資するときは,B及びCは,各自が有する持分について,「民法第 667 条第 1 項の出資」を登記原因としてAに対する持分の全部の移転の登記を申請することができる」という肢(R3 午後 問18 ア)は正しいです。
組合の債権者は組合財産のほか各組合員にも、損失分担の割合か等しい割合で権利を行使でき、組合員は連帯して全部の責任を負うのではありません
組合の債権者は、組合財産について権利を行使できます(675条1項)。さらに、その選択に従い、各組合員に対して損失分担の割合又は等しい割合で権利を行使できます。ただし、債権の発生の時に各組合員の損失分担の割合を知っていたときは、その割合によります(同条2項)。損失分担の割合を知らなかったときは、債権者は個々の組合員に等しい割合で請求でき、割合を知っていたときは等しい割合を選べません。組合員の個人責任は割合で分けた責任なので、連帯責任ではなく、各組合員が固有財産で債務の全部を履行する責任を負うわけでもありません。

組合員の債権者は組合財産に権利を行使できず、組合の債務者が組合員に対する債権で相殺することもできません
組合員の債権者は、組合財産についてその権利を行使することができません(677条)。組合財産は組合の債権者のための引当てだからです。「組合員の債権者は、組合財産についてその権利を行使することができない」という肢(R6 問19 ウ)は正しく、その組合員の持分の限度でも行使できません。同じ理由で、組合に対して債務を負う者は、その債務と、組合員の一人に対して持っている債権とを相殺できません。出題当時の旧677条はこの相殺の禁止を明文で定めており、現行677条の下でも同じ結論になります。一般社団法人の債権者は社員に請求できず、権利能力なき社団の債権者も構成員に請求できないこととの比較は、前半の権利能力なき社団の語に書きました。
- 組合財産(668条)総組合員の共有。ただし共同事業の目的に拘束されます
- 持分の処分(676条1項)組合と取引の相手方に対抗できません
- 組合財産の債権(676条2項)持分に応じた単独行使はできません
- 分割(676条3項)清算前は求められません
- 組合の債権者(675条)組合財産と、各組合員に損失分担の割合又は等しい割合で。割合を知っていればその割合
- 組合員の債権者(677条)組合財産に権利を行使できません。相殺もできません
民法 第675条第2項組合の債権者は、その選択に従い、各組合員に対して損失分担の割合又は等しい割合でその権利を行使することができる。ただし、組合の債権者がその債権の発生の時に各組合員の損失分担の割合を知っていたときは、その割合による。
民法 第676条第1項組合員は、組合財産についてその持分を処分したときは、その処分をもって組合及び組合と取引をした第三者に対抗することができない。
民法 第677条(組合財産に対する組合員の債権者の権利の行使の禁止)
組合員の債権者は、組合財産についてその権利を行使することができない。
試験ではこう問われる
- 組合員の債権者は、組合財産について権利を行使できず、持分の限度でもできない(677条。R6 問19 ウ ○)
- 組合員は持分の処分を組合と取引の相手方に対抗できず、組合財産の債権を持分に応じて単独で行使できない(676条1項・2項)
- 組合員は清算前に組合財産の分割を求められず、過半数の同意があっても同じである(676条3項)
- 組合の債権者は組合財産のほか各組合員にも、損失分担の割合又は等しい割合で権利を行使でき、割合を知っていたときはその割合による(675条)
- 組合名義の登記はできず、不動産の出資は「民法第667条第1項の出資」を原因として業務執行組合員などへの移転の登記をする(R3 午後 問18 ア ○)

