営業保証供託えいぎょうほしょうきょうたく
宅地建物取引業者や旅行業者のように、法律が営業の開始に供託を義務付けている事業者が、取引の相手方の損害を担保するためにする供託です。営業主以外が供託できないこと、主たる事務所の最寄りの供託所が管轄であること、保管替えと差替えの可否が肢で突かれます。
営業保証供託は、宅地建物取引業法25条のように個別の法律が営業の条件として義務付けている供託で、事業者と取引した相手方の損害を担保します。裁判上の保証供託と同じく担保のための供託ですが、裁判所ではなく監督官庁が担保官庁として関与し、供託者は営業主に限られます。被供託者は供託の時点では特定できず、後に事業者との取引で損害を受けた者が還付請求権を持ちます。肢で突かれるのは、第三者が供託できるか、どこの供託所にするか、事務所を移したときに保管替えができるか、供託金の利息をいつ受け取れるかです。
供託法 第4条供託所ハ供託物ヲ受取ルヘキ者ノ請求ニ因リ供託ノ目的タル有価証券ノ償還金、利息又ハ配当金ヲ受取リ供託物ニ代ヘ又ハ其従トシテ之ヲ保管ス但保証金ニ代ヘテ有価証券ヲ供託シタル場合ニ於テハ供託者ハ其利息又ハ配当金ノ払渡ヲ請求スルコトヲ得

供託者は営業主本人に限られ、第三者はできません
営業保証供託は営業主が自分の営業の資格要件として義務付けられている供託です。供託実務では営業主以外の第三者が供託者になることは認められておらず、担保官庁の承認があっても変わりません。「営業主以外の第三者が営業保証供託をすることは,できない」という肢は正しい肢です。「営業保証供託については,担保官庁の承認があれば,営業主以外の第三者が供託者となることができる」という肢は誤りです。裁判上の保証供託で第三者の供託が認められるのと正反対の結論なので、対で覚えます。
宅地建物取引業者は主たる事務所の最寄りの供託所にします
宅地建物取引業法は、営業保証金を主たる事務所の最寄りの供託所に供託すると定めます。事務所が複数あっても事務所ごとに供託するのではなく、主たる事務所の最寄りの供託所に全部をまとめます。「宅地建物取引業者がすべき営業保証金の供託は,当該宅地建物取引業者が複数の事務所を有している場合には,それぞれの事務所の最寄りの供託所にしなければならない」という肢は誤りです。「宅地建物取引業者が事業の開始後新たに事務所を設置したときの営業保証金の供託は,主たる事務所の最寄りの供託所にしなければならない」という肢は正しい肢です。管轄は供託根拠法令である業法が決め、供託法や民法の履行地の考え方は使いません。
保管替えは金銭と振替国債に限られ、差押え中はできません
主たる事務所を移転して最寄りの供託所が変わったときは、供託規則21条の3により供託金の保管替えを請求でき、21条の6により振替国債も保管替えができますが、有価証券は対象外です。有価証券を供託している事業者は保管替えができず、新しい供託所に供託し直してから元の供託物を取り戻します。「供託根拠法令において主たる事務所の最寄りの供託所に営業保証供託をしなければならないとされている場合において,有価証券を供託している事業者がその主たる事務所を移転したために主たる事務所の最寄りの供託所に変更が生じたときは,当該事業者は,移転後の主たる事務所の最寄りの供託所への供託物の保管替えを請求することができる」という肢は誤りです。取戻請求権に差押えがされているときは保管替えも差替えもできません。「営業保証供託に係る供託金の差替えは,供託金の取戻請求権が差し押さえられているときは,することができない」という肢は正しい肢です。
担保の効力は利息に及ばず、利息は毎年払渡しを受けられます
営業保証供託の担保の効力は供託金の元本に及び、利息には及びません。だから供託者は元本の払渡しを待たずに利息を受け取ることができ、供託規則34条2項により毎年供託した月の応当月の末日後に利息の払渡請求ができます。「営業上の保証供託における担保の効力は,その目的物である供託金の元本のほか,供託金利息にも及ぶ」という肢は誤りです。「営業保証供託の供託者は,その供託金全額についての払渡しと同時に,又はその後でなければ,当該供託金の供託金利息の払渡請求をすることができない」という肢も誤りです。有価証券を供託した場合も、供託法4条ただし書により供託者が利息や配当金の払渡しを請求できます。
官庁が配当するときは還付請求ではなく支払委託によります
営業保証金について取引の相手方が複数いて官庁が配当を実施するときは、供託規則30条により官庁が供託所に支払委託書を送付し、払渡しを受ける者に証明書を交付します。官庁自身が被供託者として還付請求をするのではありません。「供託された営業保証金について,官庁又は公署が配当を実施するときは,当該官庁又は公署は,配当金の支払をするため,被供託者として供託金の還付請求をすることができる」という肢は誤りです。登記された法人が支払証明書を添えて還付請求するときは、額が10万円未満でも印鑑証明書を省略できません。「登記された法人が営業保証供託に係る供託金について官庁から交付を受けた支払証明書を添付して還付請求をする場合には,その額が 10 万円未満であっても,供託物払渡請求書に,供託物払渡請求書又は委任による代理人の権限を証する書面に押された印鑑に係る印鑑証明書を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。
供託規則 第34条(供託金利息の払渡し)
供託金利息は、元金と同時に払い渡すものとする。ただし、元金の受取人と供託金利息の受取人とが異なる等元金と同時に払い渡すことができないときは、元金を払い渡した後に払い渡すものとする。
保証として金銭を供託した場合には、前項の規定にかかわらず、毎年、供託した月に応当する月の末日後に、同日までの供託金利息を払い渡すことができる。
試験ではこう問われる
- 営業主以外の第三者が供託者になれるかを問う肢
- 宅地建物取引業者の管轄を事務所ごとの最寄りに置き換える肢
- 有価証券の保管替えや、取戻請求権差押え中の差替えを認める肢
- 担保の効力が利息に及ぶとする肢や、利息を元本と同時でなければ受け取れないとする肢
- 官庁が配当するときに被供託者として還付請求できるとする肢
この用語が問われた肢
営業保証供託については、担保官庁の承認があっても、営業主以外の第三者が供託者となることはできない。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。
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