保管供託・没取供託ほかんきょうたく・ぼっしゅきょうたく
供託物そのものを安全に保管すること自体が目的の保管供託と、一定の事由が生じたときに供託物を国などに帰属させる没取供託をまとめた語です。選挙供託の管轄が全国どこでもよいことが肢で突かれます。
保管供託・没取供託は、弁済供託・執行供託・保証供託に続く供託の種類で、どちらも供託法1条の「法令ノ規定ニ依リテ供託スル」場面です。保管供託は、財産の散逸を防いで保管すること自体を目的とし、保険業法や銀行法に基づく監督官庁の供託命令が代表例です。没取供託は、公職選挙法92条の選挙供託のように、一定の事由が生じたときに供託物を国や地方公共団体に帰属させることを目的とします。肢で突かれるのは、他の供託との目的の違いと、選挙供託の管轄が全国いずれの供託所でもよいことです。
供託法 第1条法令ノ規定ニ依リテ供託スル金銭及ヒ有価証券ハ法務局若ハ地方法務局若ハ此等ノ支局又ハ法務大臣ノ指定スル此等ノ出張所カ供託所トシテ之ヲ保管ス

保管供託は財産を守って保管すること自体が目的です
保管供託は、債務を消すためでも損害を担保するためでもなく、財産をいったん供託所に預けて散逸を防ぐことを目的とします。保険会社や銀行の財産状況が悪化したときに監督官庁が財産の供託を命じる場合が代表例です。被供託者は存在せず、事由が解消すれば供託者が取り戻します。取戻しには供託を命じた官庁の承認や証明が要るのが通常で、供託規則13条2項は官庁の承認を要する供託では供託書にその官庁の名称と事件の特定に必要な事項を記載させています。供託の種類を問う肢では、目的が保管そのものであることを捉えておけば、弁済供託や保証供託との区別がつきます。
没取供託は供託物が国などに帰属することを予定した供託です
没取供託は、一定の事由が生じたときに供託物を国や地方公共団体に帰属させる仕組みを前提とする供託です。公職選挙法92条の選挙供託が代表例で、候補者の得票が法定の数に達しないと供託物が没収されます。没収の事由が生じなければ供託者が取り戻すので、担保のための供託とは違って相手方となる被供託者がいません。没収されたときは供託物が国庫や地方公共団体に帰属し、供託者には取戻請求権が残りません。供託書の被供託者欄は空欄で、供託の原因たる事実欄に選挙の種類と候補者の氏名が入ります。
供託の5つの種類は目的で見分けます
供託は根拠法令ごとにばらばらに見えますが、目的で分けると5つに整理できます。弁済供託は債務を消すため、執行供託は誰に払うかを執行裁判所の配当に委ねるため、保証供託は相手方の損害を担保するための供託です。保管供託は財産を守って保管するため、没取供託は一定の事由で供託物を国などに帰属させるための供託です。種類が決まると、供託者が誰か、被供託者がいるか、管轄がどこか、取戻しに何が要るかが連鎖して決まります。肢は根拠条文ではなく場面を書いて種類を問うので、場面から目的を読み取る練習が要ります。
選挙供託は全国どこの供託所にもできます
選挙供託には供託所を限定する法令の定めがないので、全国いずれの供託所にも供託することができます。「選挙供託は,全国いずれの供託所にもすることができる」という肢は正しい肢です。「衆議院小選挙区選出議員の選挙の候補者の届出をするためにする選挙供託は,候補者の選挙区又はその最寄りの供託所にしなければならない」という肢は誤りです。弁済供託は債務の履行地、裁判上の保証供託は担保を命じた裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内、営業保証供託は主たる事務所の最寄りで決まります。管轄の制限がない点が選挙供託の特徴です。供託物は金銭のほか国債証書でもよいと公職選挙法が定めています。
選挙供託の取戻しには選挙管理委員会の証明書を添えます
没収の事由が生じなかったときは、供託者が選挙の後に供託物を取り戻します。取戻しをする権利を証する書面は、供託の原因が消滅したことを証する選挙長の証明書です。供託の原因が消滅したことによる取戻しなので、供託法8条2項の取戻しの一つにあたります。届出を取り下げたり立候補を辞退したりした場合は没収の事由にあたるのが原則で、取戻しの対象になるのは公職選挙法が返還を定める場合に限られます。没収されたときは国や地方公共団体が歳入として払渡しを受けるので、供託者の取戻請求は認められません。
供託規則 第13条第1項金銭又は有価証券の供託をしようとする者は、供託の種類に従い、第一号から第十一号までの様式による供託書を供託所に提出しなければならない。
試験ではこう問われる
- 供託の種類を目的で分ける肢で、保管供託と没取供託を弁済供託や保証供託と混ぜる肢
- 選挙供託の管轄を候補者の選挙区の最寄りの供託所に限定する肢
- 没取供託に被供託者がいるかのように書く肢
- 選挙供託の取戻しに何を添えるかを問う肢
この用語が問われた肢
衆議院小選挙区選出議員の選挙の候補者の届出をするためにする選挙供託は,候補者の選挙区又はその最寄りの供託所にしなければならない。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。
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