払渡請求と印鑑証明書の省略はらいわたしせいきゅうといんかんしょうめいしょのしょうりゃく
供託物払渡請求書や委任状に押した印鑑について市町村長か登記所の証明書を添付する供託規則26条1項の原則と、同条3項が列挙する省略できる場合です。本人確認書類の提示、官庁の証明書と10万円未満の特則、登記された法人には特則が使えないことで肢が作られます。
払渡請求と印鑑証明書の省略は、供託規則26条の規則です。1項は、払渡しを請求する者が供託物払渡請求書か委任による代理人の権限を証する書面に押した印鑑について、市町村長か登記所の作成した証明書を添付すると定めます。供託物が供託所から出ていく場面なので、請求者が本人であることを印鑑で確かめる仕組みです。3項が省略できる6つの場合を列挙し、肢で突かれるのは、どの場合に省略でき、どの場合には使えないかという線引きです。
供託規則 第26条第1項供託物の払渡しを請求する者は、供託物払渡請求書又は委任による代理人の権限を証する書面に押された印鑑につき市町村長又は登記所の作成した証明書を供託物払渡請求書に添付しなければならない。ただし、供託所が法務大臣が指定した法務局若しくは地方法務局若しくはこれらの支局又はこれらの出張所である場合を除き、その印鑑につき登記官の確認があるときは、この限りでない。

本人確認書類の提示と写しの添付で印鑑証明書を省略できます
請求者が個人であれば、運転免許証や個人番号カード、在留カードなど官庁が交付した写真付きの書類を提示し、その写しを添付すれば印鑑証明書は要りません。供託規則26条3項2号の定めで、有価証券の払渡請求書を除き、請求書への押印そのものも26条4項により不要になります。「供託物払渡請求者が外国人である場合において,その者が提示した在留カードにより,その者が本人であることを確認することができるときは,供託物払渡請求書に市区町村長の作成した印鑑証明書を添付することを要しない」という肢は正しい肢です。法人の代表者には使えず、個人として請求する場合に限られます。
供託時に提示した委任状と同じ印鑑なら取戻しで省略できます
供託をするときに供託官に提示した委任状を取戻しの請求書に添付し、その委任状の印鑑と払渡請求書や払渡しの委任状に押した印鑑が同一であるときは、印鑑証明書を省略できます。供託規則26条3項3号の定めで、供託時に提示した印鑑と照合できるからです。還付請求には使えず、取戻しの請求に限られる特則です。供託と払渡しを同じ代理人に委任する実務では、印鑑証明書を二度取り直す手間を省く規定として働きます。
官庁の証明書による特則は印鑑を登記所に提出できる者には使えません
官庁から交付を受けた供託原因が消滅したことを証する書面を添付した取戻しの請求は、供託規則26条3項4号により印鑑証明書を省略できます。供託規則30条1項の支払委託に係る証明書を添付して10万円未満の払渡しを請求するときも、同項5号により省略できます。どちらも「法令の規定に基づき印鑑を登記所に提出することができる者以外の者」に限られるので、登記された法人には使えません。「登記された法人が,供託物の取戻請求をする場合において,官庁又は公署から交付を受けた供託の原因が消滅したことを証する書面を供託物払渡請求書に添付したときは,当該請求書に押された印鑑につき登記所の作成した証明書を添付することを要しない」という肢は誤りです。「登記された法人が営業保証供託に係る供託金について官庁から交付を受けた支払証明書を添付して還付請求をする場合には,その額が 10 万円未満であっても,供託物払渡請求書に,供託物払渡請求書又は委任による代理人の権限を証する書面に押された印鑑に係る印鑑証明書を添付しなければならない」という肢は正しい肢です。
官庁や公署、裁判所が選任した者にも省略の定めがあります
払渡しを請求する者が官庁や公署であるときは、供託規則26条3項1号により印鑑証明書を添付しません。破産管財人のように裁判所によって選任された者が職務として請求するときは、同項6号により裁判所書記官が作成した印鑑の証明書を添付すれば市町村長や登記所の証明書に代えられます。法定代理人や支配人、法人の代表者が本人のために請求するときは、26条2項によりその代理人や代表者について印鑑証明書の要否を判断する仕組みです。印鑑証明書は委任による代理人の権限を証する書面に押した印鑑についても要るので、委任状の印鑑を本人の実印にします。
供託規則 第26条第3項前二項の規定は、次の場合には適用しない。
一 払渡しを請求する者が官庁又は公署であるとき。
二 払渡しを請求する者が個人である場合において、運転免許証(道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第九十二条第一項に規定する運転免許証をいう。)、個人番号カード(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号)第二条第七項に規定する個人番号カードをいう。)、在留カード(出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第十九条の三に規定する在留カードをいう。)その他の官庁又は公署から交付を受けた書類その他これに類するもの(氏名、住所及び生年月日の記載があり、本人の写真が貼付されたものに限る。)であつて、その者が本人であることを確認することができるものを提示し、かつ、その写しを添付したとき。
三 供託物の取戻しを請求する場合において、第十四条第四項前段の規定により供託官に提示した委任による代理人の権限を証する書面で請求者又は前項に掲げる者が供託物払渡請求書又は委任による代理人の権限を証する書面に押した印鑑と同一の印鑑を押したものを供託物払渡請求書に添付したとき。
四 法令の規定に基づき印鑑を登記所に提出することができる者以外の者が供託物の取戻しを請求する場合において、官庁又は公署から交付を受けた供託の原因が消滅したことを証する書面を供託物払渡請求書に添付したとき。
五 前号に規定する者が供託金の払渡しを請求する場合(その額が十万円未満である場合に限る。)において、第三十条第一項に規定する証明書を供託物払渡請求書に添付したとき。
六 裁判所によつて選任された者がその職務として供託物の払渡しを請求する場合において、供託物払渡請求書又は委任による代理人の権限を証する書面に押された印鑑につき裁判所書記官が作成した証明書を供託物払渡請求書に添付したとき。
試験ではこう問われる
- 在留カードや運転免許証の提示で印鑑証明書を省略できるかを問う肢
- 供託時に提示した委任状の添付による省略が還付にも使えるかのように書く肢
- 10万円未満の特則や原因消滅証明の特則を登記された法人に使わせる肢
- 官庁や公署、裁判所選任者の請求で印鑑証明書の扱いを問う肢
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