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登記官の本人確認(不正登記防止)とうきかんのほんにんかくにん

商業登記 第2章 印鑑と本人確認 過去問で2肢

申請人以外の者が申請していると疑う相当な理由があるときに、登記官が出頭を求め、質問し、文書の提示を求めて申請の権限を調査する制度と、会社の代表者があらかじめ登記所に申し出る不正登記防止申出です。調査の要件と申出の方法が肢で突かれます。

登記官の本人確認は、商業登記法23条の2により、申請人となるべき者以外の者が申請していると疑うに足りる相当な理由があるときに登記官が申請の権限の有無を調査する制度です。申請人またはその代表者もしくは代理人に出頭を求め、質問をし、文書の提示その他必要な情報の提供を求める方法で調べ、却下すべき場合は調査せずに却下します。不正登記防止申出はこれと組になる手続で、会社の代表者が知らない間に役員変更などの登記がされるおそれがあるときに、あらかじめ登記所に申し出て登記官の本人確認を求めるものです。肢で突かれるのは、調査の要件と方法、申出を誰がどうやってするかです。

商業登記法 第23条第1項

登記官は、登記の申請があつた場合において、申請人となるべき者以外の者が申請していると疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、次条の規定により当該申請を却下すべき場合を除き、申請人又はその代表者若しくは代理人に対し、出頭を求め、質問をし、又は文書の提示その他必要な情報の提供を求める方法により、当該申請人の申請の権限の有無を調査しなければならない。

登記所の職員が申請に来た人物に身分証の提示を求め、調書を書いている
登記官は申請人以外の者が申請していると疑う相当な理由があるときに出頭や質問で申請の権限を調査し、代表者は不正登記防止申出ができます
疑うに足りる相当な理由出頭・質問・文書の提示他の登記所に嘱託可申出は代表者が出頭

疑うに足りる相当な理由があるときに調査します

登記官は、申請人となるべき者以外の者が申請していると疑うに足りる相当な理由があると認めるときに、申請の権限の有無を調査しなければなりません。申請人本人か代表者か代理人に出頭を求め、質問をし、文書の提示その他必要な情報の提供を求めます。不動産登記法24条の登記官による本人確認と同じ型で、商業登記では平成17年の改正で設けられました。却下すべき場合は調査をせずに却下し、調査の結果は商業登記規則38条の3により調書に記録するのが手順です。

遠隔地の申請人は他の登記所の登記官に調査を嘱託できます

出頭を求める相手が遠隔の地に居住しているときや、その他相当と認めるときは、登記官は他の登記所の登記官に調査を嘱託できます。嘱託を受けた登記官は調査の結果を記録した調書を嘱託した登記官に送付するという流れです。調査の結果、申請の権限が無いと判明すれば、申請の権限を有しない者の申請として却下されます。権限があると確かめられれば通常どおり登記が進むという扱いです。

不正登記防止申出は会社の代表者が出頭してします

不正登記防止申出は、会社の代表者が登記所に出頭して申出書を提出し、申出書や委任状に押した印鑑が届出印でなければ市町村長の印鑑証明書を添えてします。代表者が出頭できないやむを得ない事情があると認められるときは、委任による代理人が出頭して申し出ることができます。「会社の代表者が登記所に出頭することができないやむを得ない事情があると認められる場合には,委任による代理人が登記所に出頭して不正登記防止申出をすることができます」という解答は正しい解答です。登記官が申出を相当と認めて調査を要する旨を記録すると、申出の日から3か月以内にされた申出に係る登記の申請について、却下すべき場合を除いて申請の権限の有無を調査します。

添付書面の本人確認証明書とは別の制度です

登記官の本人確認は申請の権限を調べる手続で、役員の就任の登記に添付する本人確認証明書は役員の実在と住所を確かめる添付書面です。名前が似ていても根拠も場面も違い、「新任の監査役の本人確認証明書として,就任承諾書に記載した当該監査役の氏名及び住所と同一の氏名及び住所が記載されている住民票の写しを添付することができる」という肢は添付書面の話です。取締役会設置会社でない会社の取締役の就任に本人確認証明書だけで足りるとする記述は誤りで、印鑑証明書が要ります。登記官の本人確認は添付書面の形式ではなく、出頭や質問、文書の提示その他の情報の提供を求める調査によります。

印鑑と電子署名が本人確認の基礎です

登記官が申請の権限を調べる手がかりは、申請書に押された届出印と提出された印鑑との照合、オンライン申請の電子署名と電子証明書の確認です。印鑑を提出していない会社はオンライン申請の電子署名と電子証明書で本人性を示します。照合で足りないと疑われるときは、印鑑の提出の有無にかかわらず、質問や文書の提示その他の情報の提供を求める商業登記法23条の2の調査に進みます。会社の代表者の住所が令和6年10月1日施行の住所非表示措置で登記事項証明書に表示されなくなっても、登記官の調査や申出の手続は変わりません。

商業登記規則 第38条第1項

登記官は、法第二十三条の二第一項の規定により申請人の申請の権限の有無を調査したときは、その調査の結果を記録した調書を作成しなければならない。同条第二項の嘱託を受けて調査をした場合についても、同様とする。

試験ではこう問われる

  1. 登記官が申請の権限を調査するのはどんなときか(申請人以外の者が申請していると疑う相当な理由があるとき)
  2. 調査の方法は何か(出頭を求め、質問し、文書の提示を求める)
  3. 遠隔地の申請人の調査はどうするか(他の登記所の登記官に嘱託できる)
  4. 不正登記防止申出を代理人ができるか(やむを得ない事情があるときに限る)
  5. 本人確認証明書と登記官の本人確認は同じか(違う。添付書面と調査の手続)

この用語が問われた肢

R2 問28 エ正しい

【問】次に,会社の代表者がする不正登記防止申出について,委任による代理人が登記所に出頭してすることができますか。 会社の代表者が登記所に出頭することができないやむを得ない事情があると認められる場合には,委任による代理人が登記所に出頭して不正登記防止申出をすることができます。

R8 問31 イ正しい

監査役の就任の登記において、新任の監査役の本人確認証明書として、就任承諾書に記載した当該監査役の氏名及び住所と同一の氏名及び住所が記載されている住民票の写しを添付することができる。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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