株主総会の招集手続の省略かぶぬしそうかいのしょうしゅうてつづきのしょうりゃく
株主全員の同意があれば、会社法300条により招集通知を出さずに株主総会を開ける仕組みです。書面投票や電子投票を定めた総会では省略できないこと、登記官が招集手続を審査しないこと、決議の省略との違いが要点です。
株主総会の招集手続の省略は、会社法300条により、株主全員の同意があるときに招集の手続を経ないで株主総会を開催できる仕組みです。会社法299条1項の招集通知は公開会社で2週間前、公開会社でない会社で1週間前までに発しますが、株主全員が同意すれば通知なしで総会を開けます。書面投票や電子投票ができると定めた総会では省略できません。総会そのものは開くので、株主総会を開かずに決議があったものとみなす会社法319条の決議の省略とは別の仕組みです。登記では招集手続の適法性を審査しないので、同意書を添付することはありません。
会社法 第300条(招集手続の省略)
前条の規定にかかわらず、株主総会は、株主の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる。ただし、第二百九十八条第一項第三号又は第四号に掲げる事項を定めた場合は、この限りでない。

株主全員の同意があれば招集通知なしで総会を開けます
会社法300条本文により、株主全員の同意があるときは招集の手続を経ずに株主総会を開催できます。会社法299条の招集通知の手続を省く仕組みで、株主が少ない会社向けです。招集事項を定める会社法298条の決定とは別の手続です。同意は事前に書面で取るのが通常ですが、株主全員が出席して異議なく開催すれば、招集手続の瑕疵は治癒されると解されています。議決権のない株主は招集通知の相手方ではないので、同意する株主の範囲も議決権を行使できる株主です。ただし書により、書面投票や電子投票ができる旨を定めた株主総会では、出席しない株主の議決権行使の機会を守るために省略できません。
招集期間は公開会社で2週間、非公開会社で1週間です
会社法299条1項により、招集通知は株主総会の日の2週間前までに発し、公開会社でない会社では1週間前までで足ります。取締役会設置会社でない非公開会社は定款でさらに短くできます。書面投票や電子投票を定めた総会は非公開会社でも2週間前です。取締役会設置会社や書面投票を定めた総会では通知を書面か(株主の承諾を得て)電磁的方法でしなければならず、それ以外の取締役会設置会社でない会社では口頭でも足ります。招集期間を守らない通知で開いた総会の決議は取消しの対象になりますが、全員の同意があれば期間の不足も問題にならないものです。会社法298条4項により取締役会設置会社では招集の決定は取締役会の決議で行い、その議事録も登記の添付書面にはなりません。
登記官は招集手続を審査せず、同意書も添付しません
商業登記の添付書面は株主総会議事録と株主リストで、招集通知の写しや招集手続の省略についての株主全員の同意書を添付する定めはありません。議事録には招集手続を省略した旨や全員出席の旨を記載するのが通例ですが、登記官はその記載がなくても却下しないのが原則です。招集手続の瑕疵は決議取消しの訴えで争う実体の問題で、登記官は登記簿・申請書・添付書面から登記事項の無効や取消しの原因を審査するにとどまります。決議があったものとみなされる会社法319条の場合だけ、商業登記法46条3項により議事録に代わる書面の添付が要るものです。
取締役会の招集手続も全員の同意で省略できます
会社法368条2項により、取締役会は取締役(監査役設置会社では監査役も)の全員の同意があれば招集の手続を経ないで開催できるものです。取締役会の招集通知は会社法368条1項により1週間前までで、定款で短縮できます。取締役会の決議の省略は会社法370条により定款の定めと、議決に加われる取締役全員の書面または電磁的記録による同意が要り、監査役設置会社では監査役が異議を述べないことも要件です。招集手続の省略は定款の定めなしで全員の同意だけで足ります。株主総会でも取締役会でも、招集手続を省くことと決議を省くことは別の要件で動くと覚えます。
会社法 第299条第1項株主総会を招集するには、取締役は、株主総会の日の二週間(前条第一項第三号又は第四号に掲げる事項を定めたときを除き、公開会社でない株式会社にあっては、一週間(当該株式会社が取締役会設置会社以外の株式会社である場合において、これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間))前までに、株主に対してその通知を発しなければならない。
試験ではこう問われる
- 株主全員の同意で招集手続を省略できるか、書面投票を定めた総会でも省略できるかを問う肢
- 招集期間(2週間・1週間・定款による短縮)を公開会社と非公開会社ですり替える肢
- 招集手続の省略についての同意書や招集通知を登記の添付書面にさせる肢
- 招集手続の省略と決議の省略(みなし決議)の要件を取り違えさせる肢
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