株式の消却の登記かぶしきのしょうきゃくのとうき
自己株式の消却によって発行済株式の総数が減ったことを登記する申請で、登記の事由・登記すべき事項・添付書面・登録免許税の書き方が決まっています。併合や減資との違いと、添付書面の少なさが肢で突かれます。
株式の消却の登記は、会社が自己株式を消却して発行済株式の総数が減ったときに申請する変更の登記です。会社法では株式の消却は自己株式の消却に一本化されており、株主が持つ株式を直接消すことはできません。登記すべき事項は変更後の発行済株式の総数、種類株式発行会社なら種類ごとの数で、資本金の額も発行可能株式総数も変わらないのでその行はありません。添付書面は消却を決めた取締役会議事録または取締役の決定を証する書面だけで、申請書の書き方がそのまま試験の答えになります。
会社法 第178条株式会社は、自己株式を消却することができる。この場合においては、消却する自己株式の数(種類株式発行会社にあっては、自己株式の種類及び種類ごとの数)を定めなければならない。
取締役会設置会社においては、前項後段の規定による決定は、取締役会の決議によらなければならない。

登記の事由は自己株式の消却、登記すべき事項は発行済株式の総数です
申請書の登記の事由には「自己株式の消却」と記載し、登記すべき事項には消却の効力が生じた日と変更後の発行済株式の総数を記載します。種類株式発行会社では、消却した種類だけでなく全部の種類と種類ごとの数が必要です。登記実務では、株主名簿の記載を抹消するなど会社が消却の手続を終えた日を効力発生日として扱い、その日から2週間以内に申請します。資本金の額は変わらないので登記すべき事項に資本金の行はなく、併合で変更後の資本金の額を記載させる肢と同じ理屈で、消却でも資本金の額は書きません。
添付するのは取締役会議事録か取締役の決定を証する書面です
消却する自己株式の数の決定は取締役会設置会社では取締役会の決議、取締役会設置会社でない会社では取締役の過半数の一致によります。申請書には取締役会議事録、または取締役の過半数の一致があったことを証する書面を添付し、株主総会の決議は要らないので株主総会議事録と株主リストは添付しません。消却の決議では消却する株式の数を定めれば足り、消却の理由や財源を記載する必要はありません。自己新株予約権の消却で「当該自己新株予約権の消却の決議をした株主総会の議事録を添付しなければならない」という肢が誤りとされるのと同じ型です。消却する株式は会社が保有しているので、株券発行会社でも株券提出公告をしたことを証する書面は要りません。
登録免許税は3万円で、資本金の額を課税標準にしません
消却の登記は資本金の額が増えない変更の登記なので、登録免許税は申請1件につき3万円で、募集株式の発行の1000分の7とは区分が違います。同じ申請書で他の変更の登記を併せて申請するときは、区分ごとに税額を合算して記載します。同じ3万円の区分に属する変更が複数あっても、1件の申請なら3万円で済みます。消却の登記を申請しないまま放置すれば、発行済株式の総数が実際と食い違った登記が残り、登記懈怠の過料の対象です。発行済株式の総数が減った分について税が戻ることはありません。消却と同時に募集株式の発行を申請するときは、発行の分を1000分の7で計算し、3万円に満たなければ3万円として、消却の分の3万円と合算しなければなりません。
併合・減資・取得との違いを登記事項の動きで押さえます
株式の併合も発行済株式の総数を減らしますが、株主総会の特別決議が要り、株券発行会社なら株券提出公告をし、効力発生日の発行可能株式総数を定めて変わればその登記もする点で消却と違います。資本金の額の減少は資本金の額だけが減って発行済株式の総数は変わらず、債権者保護手続の書面が要ります。自己株式の取得は発行済株式の総数も資本金の額も変えないので登記はなく、取得の財源となる分配可能額の有無も登記官の審査の外です。取得した株式を消却して初めて登記が生じます。株券発行会社が消却したときも、消却した株式の株券は会社の手元にあるので、株券を無効にする公告は要りません。株主全員の同意を要する登記の株主リストには自己株式の数を記載するので、消却の前後で株主リストの記載も変わります。
商業登記規則 第61条第3項登記すべき事項につき株主総会又は種類株主総会の決議を要する場合には、申請書に、総株主(種類株主総会の決議を要する場合にあつては、その種類の株式の総株主)の議決権(当該決議(会社法第三百十九条第一項(同法第三百二十五条において準用する場合を含む。)の規定により当該決議があつたものとみなされる場合を含む。)において行使することができるものに限る。以下この項において同じ。)の数に対するその有する議決権の数の割合が高いことにおいて上位となる株主であつて、次に掲げる人数のうちいずれか少ない人数の株主の氏名又は名称及び住所、当該株主のそれぞれが有する株式の数(種類株主総会の決議を要する場合にあつては、その種類の株式の数)及び議決権の数並びに当該株主のそれぞれが有する議決権に係る当該割合を証する書面を添付しなければならない。
一 十名
二 その有する議決権の数の割合を当該割合の多い順に順次加算し、その加算した割合が三分の二に達するまでの人数
試験ではこう問われる
- 消却の登記の登記すべき事項は何か(変更後の発行済株式の総数。種類株式発行会社は種類ごとの数も)
- 消却の登記に株主総会議事録や株主リストは要るか(要らない。取締役会議事録または取締役の決定書)
- 消却の登記の登録免許税はいくらか(3万円)
- 消却で発行可能株式総数や資本金の額は変わるか(変わらない)
この用語が問われた肢
取締役会設置会社でない会社が自己新株予約権の消却を行う場合には、新株予約権の消却による変更の登記の申請書には、当該自己新株予約権の消却の決議をした株主総会の議事録を添付しなければならない。
登記すべき事項につき株主全員の同意を要する場合において,自己株式があるときは,登記の申請書に添付すべき株主リストには当該自己株式の数を記載しなければならない。
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