司法書士試験AIブートラボ 司法書士AIブートラボ

供託官きょうたくかん

供託 第1章 供託の仕組みと管轄 過去問で12肢

法務局や地方法務局に勤務する法務事務官のうち、法務局長または地方法務局長が指定して供託所の事務を取り扱わせる者です。供託官の審査がどこまで及ぶか、供託官の処分に対する不服の手続、供託官が行う通知や届出の性質が肢で突かれます。

供託官は、供託法1条の2により、法務局・地方法務局・その支局・出張所に勤務する法務事務官で、法務局長または地方法務局長が指定した者です。供託所の事務は供託官が取り扱い、供託の受理、供託書正本の交付、払渡しの認可、供託通知書の発送などを行います。供託官の処分には行政手続法の第2章が適用されず、不服のある者は供託官を経由して監督する法務局長または地方法務局長に審査請求をします。肢で突かれるのは、供託官の審査が実体にどこまで踏み込むかと、供託官と当事者のどちらが何をするかの役割分担です。

供託法 第1条の2

供託所ニ於ケル事務ハ法務局若ハ地方法務局若ハ此等ノ支局又ハ此等ノ出張所ニ勤務スル法務事務官ニシテ法務局又ハ地方法務局ノ長ノ指定シタル者カ供託官トシテ之ヲ取扱フ

虫眼鏡で書面を調べる窓口の職員と、前で待つ供託者
供託官の審査は書面から判断できる限りで実体にも及び、通知書の調製や払渡しの認可も供託官が行います
審査は書面の範囲で実体にも及ぶ通知書は供託官が調製事情届は第三債務者不服は審査請求

審査は書面から判断できる限りで実体にも及びます

供託官の審査は、供託書と添付書類に基づく形式的審査が基本です。しかし判例は、提出された書面から判断できる限りにおいて、供託が実体上の要件を満たすかにも審査が及ぶとしています。「供託申請についての供託官の審査の対象は、手続的要件に限られるものではなく、提出された供託書及び添付書類に基づいて判断し得る限りにおいて、実体的要件にも及ぶ」という肢は正しい肢です。ただし審査の材料は書面に限られ、「供託の原因たる事実の存否について疑いがあるときは、申請者に対し、当該事実を証明する書面の提出を求めることができる」という肢は誤りです。執行供託でも「供託書に、執行裁判所の差押命令の謄本を添付しなければならない」という肢は誤りで、差押命令の謄本は添付書類ではありません。

供託通知書は供託官が調製して発送します

供託者が被供託者に供託の通知をすべき場合、供託者は供託官に通知書の発送を請求でき、請求したときは供託官が供託規則16条4項により通知書を調製します。やむを得ない事情で正副二通の供託書を提出する特則の場合を除き、供託者が添付するのは被供託者の数に応じた郵便切手付きの封筒で、通知書そのものではありません。「供託者は,被供託者の数に応じて,供託書に供託通知書を添付しなければならない」という肢は誤りです。供託官が行う通知書の発送は事実行為で、「供託者からの請求を受けて供託官が行う供託通知書の発送は,行政訴訟の対象となる処分ではない」という肢は正しい肢です。

納付情報による納付と書面の交付も供託官の仕事です

供託官は供託規則20条の3により、供託者の申出があれば告知した納付情報による供託金の納付を受けられます。「電子情報処理組織を使用してする供託以外の供託の場合であっても、申出をすることにより、供託官の告知した納付情報により供託金の納付をすることができる」という肢は正しい肢です。電子申請で金銭を供託するときは、「供託者は,供託官の告知した納付情報により供託金を納付しなければならない」という肢が正しい肢になります。供託書正本に係る電磁的記録の提供を求めた供託者は、その記録事項を記載して供託官が記名押印した書面の交付を請求でき、「請求することはできない」という肢は誤りです。

事情届をするのは第三債務者で、供託官ではありません

金銭債権を差し押さえられた第三債務者が供託したときは、民事執行法156条により第三債務者がその事情を執行裁判所に届け出ます。「第三債務者が差押金額に相当する金銭を供託したときは、供託官は、その事情を執行裁判所に届け出なければならない」という肢は誤りです。供託官が事情届をするのは、供託物払渡請求権そのものが差し押さえられて競合した場合で、このとき供託官は第三債務者の立場に立ちます。「供託物払渡請求権に対する差押えが競合した場合には、供託物の払渡しは、供託官による事情の届出を受けた執行裁判所の配当等の実施としての支払委託に基づいてする」という肢は正しい肢です。

登記法人の資格証明は会社法人等番号で省略できます

登記された法人が供託するときは、供託規則14条1項により代表者の資格を証する登記事項証明書を提示します。供託実務では、電子申請で会社法人等番号を申請書情報と併せて送信し、供託官が登記情報を直ちに確認できるときは提示を要しないと扱われています。「登記所の作成した代表者の資格を証する書面を提示することを要しない」という肢は正しい肢です。確定日付の無い譲渡通知書が供託所に届いたときは、供託官が受付の旨と年月日時分を記載することで確定日付のある証書と同じ扱いになり、「譲受人は,当該譲渡を供託所以外の第三者に対抗することができない」という肢は誤りです。

供託法 第1条の4

供託官ノ処分ニ不服アル者又ハ供託官ノ不作為ニ係ル処分ノ申請ヲ為シタル者ハ監督法務局又ハ地方法務局ノ長ニ審査請求ヲ為スコトヲ得

試験ではこう問われる

  1. 供託官の審査は実体的要件に及ぶか(書面から判断できる限りで及ぶ。証明書面の追加提出は求められない)
  2. 供託通知書は誰が作るか(供託官が調製する。供託者は封筒と切手を添付)
  3. 供託官の通知書発送は行政処分か(処分ではない)
  4. 第三債務者の供託の事情届は誰がするか(第三債務者。払渡請求権の差押えが競合したときは供託官)
  5. 供託官の処分に不服があるときはどうするか(供託官を経由して監督法務局長等に審査請求)

この用語が問われた肢

R7 問10 ア正しい

供託申請についての供託官の審査の対象は、手続的要件に限られるものではなく、提出された供託書及び添付書類に基づいて判断し得る限りにおいて、実体的要件にも及ぶ。

R7 問10 イ誤り

供託官は、供託申請があった場合において、供託書に記載された供託の原因たる事実の存否について疑いがあるときは、申請者に対し、当該事実を証明する書面の提出を求めることができる。

R7 問10 ウ誤り

金銭債権が差し押さえられた場合において、第三債務者が差押金額に相当する金銭を供託するときは、供託書に、執行裁判所の差押命令の謄本を添付しなければならない。

R5 問10 エ誤り

供託官に対し、被供託者に供託通知書を発送することを請求するときは、供託者は、被供託者の数に応じて、供託書に供託通知書を添付しなければならない。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

供託を肢別で解く

この用語で問われた肢を、解説つきでそのまま解けます。無料プランは月100問まで。

関連する用語

供託の仕組みと管轄

供託所

供託物を受け入れて保管し、払渡しをする国の機関で、金銭と有価証券は法務局・地方法務局・その支局・指定された出張所が...
供託の仕組みと管轄

供託物(金銭・有価証券・振替国債)

供託の目的物で、供託規則が手続を定めるのは金銭・有価証券・振替国債の三つです。有価証券に固有の手続と、電子申請で扱...
供託の仕組みと管轄

代理人による供託

供託や払渡請求を代理人が行うときの手続で、供託の申請では代理権限を証する書面を提示し、払渡請求では添付します。提示...
弁済供託

供託通知

弁済供託をした者が民法495条3項により遅滞なく債権者にしなければならない通知で、供託規則16条により供託官に通知...