借地借家法上の定期借地権・事業用定期借地権ていきしゃくちけん
借地借家法の定めにより契約の更新がなく、期間の満了で確実に終わる借地権です。公正証書が要るのはどの型か、設定後の譲渡や所有者の交代で何が要るかが肢で突かれます。
定期借地権は、借地借家法の定めにより契約の更新がなく、期間の満了で確実に終わる借地権です。一般定期借地権は同法22条で存続期間50年以上、事業用定期借地権は23条で10年以上50年未満と、建物の目的と期間で型が分かれます。地上権でも賃借権でも設定でき、不動産登記法78条と81条は、こうした定めがあるときはその定めを登記事項にしています。肢で突かれるのは、公正証書が要るのはどの型か、設定後の譲渡や所有者の交代で何が要るかです。
不動産登記法 第81条第1項第8号借地借家法第二十二条第一項前段、第二十三条第一項、第三十八条第一項前段若しくは第三十九条第一項、高齢者の居住の安定確保に関する法律(平成十三年法律第二十六号)第五十二条第一項又は大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法第七条第一項の定めがあるときは、その定め

事業用定期借地権だけは公正証書が設定の要件です
借地借家法23条の事業用定期借地権は、専ら事業の用に供する建物の所有を目的とし、契約は公正証書でしなければなりません。登記の申請でも登記原因証明情報として公正証書の謄本を提供します。23条の型は、30年以上50年未満で特約を定める1項型と、10年以上30年未満で法律上当然に更新などがない2項型に分かれます。一方で22条の一般定期借地権は、特約を書面か電磁的記録で定めれば足り、公正証書に限られません。「存続期間を 60 年とし,居住の用に供するものではない専ら事業の用に供する建物の所有を目的とし,かつ,契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長がない旨の定めのあるAのための賃借権の設定の登記を申請する場合には,登記原因証明情報として,公正証書の謄本を提供することを要しない」という肢は正しい肢で、期間が60年なので22条の型です。
取壊し予定の建物の賃貸借は書面で足り、公正証書は要りません
借地借家法39条は、法令や契約で一定期間後に建物を取り壊すことが明らかな場合に、取壊し時に賃貸借が終わる旨の特約を認めます。特約は取壊し事由を記載した書面か電磁的記録でする必要がありますが、公正証書までは求められていません。私署証書の契約書でも登記原因証明情報になります。「登記原因証明情報として、甲建物を取り壊すべき事由が記載された公正証書の謄本を提供しなければならない」という肢は誤りです。同じく38条の定期建物賃貸借も書面で足り、登記事項としては81条8号の定めに当たります。
設定後の譲渡や所有者の交代に公正証書は要りません
公正証書が要るのは事業用定期借地権の設定契約で、設定後に賃借権を譲渡する契約は普通の賃借権の譲渡と同じ扱いです。「添付情報として賃借権の譲渡契約に係る公正証書の謄本等又はこれに代わるべき裁判があったことを証する情報を提供しなければならない」という肢は誤りで、要るのは賃貸人の承諾か承諾に代わる裁判所の許可を証する情報で、譲渡を許す定めの登記があればそれも要りません。設定契約の後に登記をしないまま土地が売られ、新しい所有者が契約を承認して登記する場合も、原因日付は元の契約の日にできます。「AとBの当該契約の締結の日を登記原因の日付とすることができる」という肢は正しい肢とされています。
登記事項は目的・存続期間に加えて借地借家法の定めです
定期借地権を地上権で設定するときは、不動産登記法78条3号の存続期間の定めと、4号の事業用の建物所有である旨を登記します。賃借権で設定するときは81条6号から8号で、建物所有の目的、事業用の建物である旨、22条や23条の定めが対象です。一般定期借地権の特約は、更新がないこと、建物の築造による期間の延長がないこと、建物買取請求をしないことの三つです。申請情報には「特約 借地借家法第22条の特約」のように根拠条文を示す形で記載するのが実務の型です。期間の定めは普通の借地権と同じ欄に書き、事業用の2項型は10年以上30年未満の範囲で定めます。
不動産登記法 第78条第1項第3号存続期間又は借地借家法(平成三年法律第九十号)第二十二条第一項前段若しくは第二十三条第一項若しくは大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法(平成二十五年法律第六十一号)第七条第一項の定めがあるときは、その定め
試験ではこう問われる
- 事業用定期借地権と一般定期借地権で公正証書の謄本は要るか(事業用は要る。一般定期は要らない)
- 取壊し予定の建物の賃貸借の登記原因証明情報は公正証書か(公正証書でなくてよい)
- 事業用定期借地権の譲渡の登記に公正証書は要るか(要らない。賃貸人の承諾が要る)
- 所有者が代わった後に契約を承認して登記するときの原因日付はいつか(元の契約日にできる)
この用語が問われた肢
法令又は契約により一定の期間を経過した後に甲建物を取り壊すべきことが明らかな場合において、甲建物を取り壊すこととなる時に当該建物の賃貸借が終了する旨を定めた賃借権の設定の登記を申請するときは、登記原因証明情報として、甲建物を取り壊すべき事由が記載された公正証書の謄本を提供しなければならない。
事業用定期借地権である賃借権が譲渡された場合において、賃借権の移転の登記を申請するときは、添付情報として賃借権の譲渡契約に係る公正証書の謄本等又はこれに代わるべき裁判があったことを証する情報を提供しなければならない。
解説と関連先例は肢別演習で読めます。
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