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一部供託・条件付供託いちぶきょうたくじょうけんつききょうたく

供託 第2章 弁済供託 過去問で8肢

債務の一部だけの供託は原則として無効で、債権者の反対給付を条件とする供託は反対給付を受ける権利がある場合に限って有効です。一部供託が例外的に効力を持つ場面と、反対給付を履行したことの証明の方法が肢で突かれます。

一部供託は債務の一部だけを供託することで、債務の本旨に従った弁済にならないので原則として無効です。条件付供託は債権者の反対給付を条件として供託することで、民法498条2項により債務者が債権者の給付に対して弁済をすべき場合に限って認められます。一部供託は債権者が一部弁済として留保を付して受諾すれば有効になり、執行供託では一部差押えのときに全額を供託する扱いから一部供託の問題が派生します。肢で突かれるのは、一部の供託を誰がどう受け入れられるかと、反対給付の証明の方法です。

民法 第498条第2項

債務者が債権者の給付に対して弁済をすべき場合には、債権者は、その給付をしなければ、供託物を受け取ることができない。

硬貨の袋と家の鍵を載せた天秤を見守る職員と、両側に立つ売主と買主
一部供託は受諾されれば一部弁済として有効になり、条件付供託は反対給付の内容を供託書に書いてします
一部供託は留保付き受諾で有効反対給付は供託書に記載履行の証明は公正の書面一部差押えの全額供託

一部供託は債権者が留保を付して受諾すれば有効です

債務の一部の供託は本来無効ですが、債権者が一部弁済として受け入れる限りで効力を持ちます。金額に争いがあり債務者が全額と考えて供託したとき、債権者は債権の一部弁済として受領する旨の留保を付して受諾できます。「債権者は,債権の一部弁済として受領する旨の留保を付して供託を受諾することはできない」という肢は誤りです。不法行為の損害賠償額に争いがある場合の還付請求でも、「被供託者が還付請求をするときは、損害賠償金の一部として受領する旨の留保を付すことはできない」という肢は誤りです。

反対給付を受ける前でも供託書に内容を記載して供託できます

売主が代金と引換えに所有権の移転の登記をすべき場合のように、債務者が債権者の給付に対して弁済をすべきときは、反対給付の内容を供託書に記載して供託できます。「債務者は、債権者の反対給付を受けて弁済をすべき場合には、債権者からその反対給付を受ける前であっても、供託書にその反対給付の内容を記載して、その債務について供託をすることができる」という肢は正しい肢です。供託規則13条2項は、反対給付を受けることを要するときはその内容を供託書の記載事項としています。債務者が反対給付を受けていなくても、供託によって自分の債務からは解放されます。

反対給付の履行は公正な書面で証明します

供託法10条により、反対給付をすべき者は供託者の書面、裁判、公正証書その他の公正の書面で給付があったことを証明しなければ供託物を受け取れません。所有権の移転の登記を反対給付とする供託では、その登記がされた登記事項証明書が公正な書面にあたります。「その売買を原因とする所有権の移転の登記がされている当該土地の登記事項証明書をもって,反対給付を履行したことを証する書面とすることができる」という肢は正しい肢です。供託規則24条1項は、還付の添付書類として供託法10条の証明書類を挙げています。

一部差押えで全額を供託すれば超過部分は弁済供託です

金銭債権の一部が差し押さえられた第三債務者は、民事執行法156条1項により債権の全額を供託できます。差押金額を超える部分は執行の対象ではなく、執行債務者を被供託者とする弁済供託の性質を持ちます。「執行債務者は、当該差押えに係る金額を超える部分について、供託を受諾して、還付請求をすることができる」という肢は正しい肢です。超過部分は弁済供託なので、第三債務者は執行債務者に供託の通知をしなければならず、「第三債務者は,執行債務者に供託の通知をしなければならない」という肢も正しい肢です。

供託法 第10条

供託物ヲ受取ルヘキ者カ反対給付ヲ為スヘキ場合ニ於テハ供託者ノ書面又ハ裁判、公正証書其他ノ公正ノ書面ニ依リ其給付アリタルコトヲ証明スルニ非サレハ供託物ヲ受取ルコトヲ得ス

試験ではこう問われる

  1. 金額に争いのある債権の供託を一部弁済として留保を付して受諾できるか(できる)
  2. 反対給付を受ける前に供託できるか(できる。供託書に反対給付の内容を記載)
  3. 反対給付を履行した証明に登記事項証明書を使えるか(使える。公正の書面にあたる)
  4. 一部差押えで全額供託したとき超過部分を執行債務者が還付請求できるか(できる。受諾して還付)

この用語が問われた肢

R4 問10 イ誤り

不法行為に基づく損害賠償債務について、債務者及び債権者の間で損害賠償の額に争いがあるために受領拒絶を原因とする弁済供託がされた場合において、被供託者が還付請求をするときは、損害賠償金の一部として受領する旨の留保を付すことはできない。

R8 問9 イ正しい

債務者は、債権者の反対給付を受けて弁済をすべき場合には、債権者からその反対給付を受ける前であっても、供託書にその反対給付の内容を記載して、その債務について供託をすることができる。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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