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弁済の提供と供託の要否べんさいのていきょうときょうたくのようひ

供託 第2章 弁済供託 過去問で6肢

弁済の提供は債務の本旨に従って現実にするのが原則で、債権者があらかじめ受領を拒むときや債権者の行為を要するときは口頭の提供で足ります。受領拒絶の供託にどの程度の提供が要るか、提供を省いて供託できる場面はどこかが肢で突かれます。

弁済の提供は、債務者が弁済に必要な準備をして債権者の受領を求める行為で、民法493条により債務の本旨に従って現実にするのが原則です。債権者があらかじめ受領を拒み、または債務の履行に債権者の行為を要するときは、弁済の準備をしたことを通知して受領を催告する口頭の提供で足ります。提供をすると民法492条により債務者は遅滞の責任を免れ、債権者が受領を拒めば受領拒絶を原因に供託できます。肢で突かれるのは、提供の程度が場面ごとにどこまで軽くなるかと、提供した額のまま供託できるかです。

民法 第493条

(弁済の提供の方法)
弁済の提供は、債務の本旨に従って現実にしなければならない。ただし、債権者があらかじめその受領を拒み、又は債務の履行について債権者の行為を要するときは、弁済の準備をしたことを通知してその受領の催告をすれば足りる。

机に袋を置いて差し出す男性と、座ったまま手を振って断る相手
弁済の提供は現実の提供が原則で、あらかじめ拒まれれば口頭の提供、拒絶が明確なら提供なしで供託できます
現実の提供が原則口頭の提供拒絶明確なら提供不要増額請求は従来額で可

現実の提供が原則で、あらかじめ拒絶されれば口頭の提供で足ります

持参債務では、弁済期に債権者の住所に金銭を持参して受領を求めるのが現実の提供です。債権者があらかじめ受領を拒んでいるときは、準備をして受領を催告すれば口頭の提供になります。取立債務のように債権者が取りに来る必要がある債務も、準備と催告で提供になるという扱いです。提供をした後に債権者が受領しなければ、その時点で受領拒絶の供託原因が整います。

拒絶の意思が明確なときは提供なしで供託できます

判例は、債権者が契約の存在を否定するなどして受領しない意思が明確なときは、口頭の提供をしなくても債務者は遅滞の責任を負わないとします。供託実務もこれを受けて、提供をしないで受領拒絶の供託をすることを認めています。「建物賃貸借契約の賃借人が賃貸人から建物明渡請求訴訟を提起されるとともに,今後は賃料を受領しない旨をあらかじめ告げられた場合には,賃借人は,その後に弁済期の到来した賃料について,現実の提供又は口頭の提供をすることなく供託をすることができる」という肢は正しい肢です。単にあらかじめ受領を拒まれただけなら口頭の提供が要り、提供を省けるのは明渡訴訟のように提供しても受領しないことが明らかな場合です。ただし弁済期の到来は必要で、期日前の供託はできません。

増額請求を受けても従来の額の提供で足ります

賃料の増額について協議が調わないときは、借地借家法32条2項により、賃借人は増額を正当とする裁判が確定するまで相当と認める額を支払えば足ります。従来の賃料と同じ額を相当と認める額として提供し、拒まれれば受領拒絶で供託できます。「従来の賃料と同じ額を相当と認める額として賃貸人に弁済の提供をし,賃貸人からその受領を拒まれたときは,受領拒絶を原因として供託をすることができる」という肢は正しい肢です。裁判が確定して不足が生じたときは、不足額に年1割の利息を付けて支払います。

提供の時から遅滞を免れるので供託額に遅延損害金は要りません

提供をすると債務者は遅滞の責任を免れるので、提供後に供託するまでの遅延損害金は発生しません。「賃借人が毎月末日に当月分の賃料につき弁済の提供をした場合において,賃貸人が 3 か月にわたりその受領を拒んでいるときは,賃借人は,その 3 か月分の賃料について,供託日までの遅延損害金を付すことなく供託をすることができる」という肢は正しい肢です。他方で、不法行為の損害賠償債務は不法行為の時から遅滞にあるので、提供には不法行為の時からの遅延損害金を加えます。「履行の請求を受けた日から弁済の提供の日までの遅延損害金を加えた額をもって,弁済供託をすることができる」という肢は誤りです。

支払期限内の提供は本旨に従った提供です

支払日が「毎月末日まで」と定められた賃料は、月の途中に提供しても期限内の提供として本旨に従います。「賃借人が令和 8 年 6 月15日に同月分の賃料につき弁済の提供をしたものの、賃貸人がその受領を拒んだときは、賃借人は、同月分の賃料につき、受領拒絶を原因とする弁済供託をすることができる」という肢は正しい肢です。他方で支払日を特定の日と定めた賃料をその日より前に提供しても、本旨に従った提供とは扱われません。期限の定め方で答えが変わるので、問題文の支払日の書き方を読み落とさないことが大切です。

民法 第492条

(弁済の提供の効果)
債務者は、弁済の提供の時から、債務を履行しないことによって生ずべき責任を免れる。

試験ではこう問われる

  1. あらかじめ受領を拒まれているとき現実の提供は要るか(要らない。口頭の提供で足りる)
  2. 受領しないことが明らかなとき口頭の提供は要るか(要らない。単なる事前の拒絶なら口頭の提供は要る)
  3. 増額請求を受けた賃借人は従来の額の提供で供託できるか(できる)
  4. 提供後に供託するとき遅延損害金は要るか(要らない。不法行為の損害賠償は不法行為時からの遅延損害金を加える)
  5. 「毎月末日まで」の賃料を月の途中に提供して拒まれたら供託できるか(できる)

この用語が問われた肢

R2 問10 ウ正しい

建物の賃料の増額請求を受けた賃借人は,その増額について賃貸人との協議が調わない場合において,従来の賃料と同じ額を相当と認める額として賃貸人に弁済の提供をし,賃貸人からその受領を拒まれたときは,受領拒絶を原因として供託をすることができる。

R2 問10 オ正しい

賃料の支払日が「毎月末日」とされている建物の賃貸借契約において,賃借人が毎月末日に当月分の賃料につき弁済の提供をした場合において,賃貸人が 3 か月にわたりその受領を拒んでいるときは,賃借人は,その 3 か月分の賃料について,供託日までの遅延損害金を付すことなく供託をすることができる。

解説と関連先例は肢別演習で読めます。

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