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司法書士試験の流れと日程:出願から筆記・口述・合格発表まで

試験制度・キャリア 読了 約10分

司法書士試験の1年の流れを、令和8年度の受験案内書に沿って整理します。受験申請の方法と期限、筆記試験当日の時間割と持ち物、基準点と合格発表、口述試験、最終合格までの手続を、初めて受験する人向けに解説します。

司法書士試験は、4月に受験案内書が公開され、5月に受験申請、7月上旬の日曜日に筆記試験、10月に筆記の合格発表と口述試験、11月上旬に最終合格発表という流れで1年が進みます。筆記試験は年1回です。受験申請の期間は2週間ほどしかなく、ここを逃すと次の機会は1年後になります。

この記事は、初めて受験する人と、受験の手続を一度きちんと確認しておきたい受験生に向けて書いています。令和8年度の受験案内書を材料に、申請から最終合格までの各段階で何をするか、どこでつまずきやすいかを順に整理します。日付は年度ごとに変わるので、自分が受ける年度の受験案内書で必ず確かめてください。

1年の流れを先に全体でつかむ

令和8年度の日程

令和8年度の受験案内書に載っている日程は次のとおりです。

段階 令和8年度の日付 内容
受験案内書の公開・申請書類の交付開始 4月1日 法務局・地方法務局で交付
受験申請の受付 5月7日から5月18日まで 窓口または郵送
筆記試験受験票の到着期限 6月2日 届かなければ法務局に問い合わせ
筆記試験 7月5日 日曜日 午前の部と午後の部
択一式の正解と基準点の公表 8月12日 午後4時 法務省ホームページ
筆記試験の合格発表 10月1日 午後4時 掲示と法務省ホームページ
口述試験 10月13日 火曜日 筆記試験の合格者が対象
最終合格発表 11月5日 午後4時 掲示と法務省ホームページ
官報への掲載 11月27日 受験番号と氏名

出典は法務省の令和8年度司法書士試験受験案内書です。筆記試験と口述試験の日付・場所は、司法書士法施行規則2条により、法務大臣があらかじめ官報で公告することになっています。

例年の時期として覚える

日付そのものは毎年変わりますが、時期の並びはほぼ同じです。直近3年を見ると、筆記試験は令和6年度が7月7日、令和7年度が7月6日、令和8年度が7月5日で、いずれも7月上旬の日曜日でした。口述試験は令和6年度が10月15日、令和7年度が10月14日、令和8年度が10月13日で、いずれも火曜日です。

学習計画を立てるときは、次の4つの時期を押さえておけば足ります。

  • 5月上旬から中旬:受験申請
  • 7月上旬の日曜日:筆記試験
  • 10月上旬:筆記試験の合格発表
  • 10月中旬の平日:口述試験

学習の中身は7月の筆記試験に照準を合わせ、手続はこの4つの時期から逆算して予定に入れます。科目の順序や2年計画の全体像は合格ロードマップにまとめてあります。この記事では、試験の手続と当日の決まりに絞って説明します。

手続の期限は学習の期限より厳しい

学習の遅れは取り戻せますが、受験申請の期限を過ぎたら取り戻せません。受験申請の受付は令和8年度で5月7日から18日まで、土日を除けば8日間です。郵送で書類を請求した場合も、届くのが遅れたからといって受付期間は延びないと受験案内書に明記されています。

この時期は直前期の入口と重なり、学習に気を取られて手続を後回しにしがちです。4月のうちに書類を手元にそろえ、受付初日に出すくらいの気持ちで予定を組んでください。

受験申請:4月から5月の手続

申請書類の入手

受験申請書と受験案内書は、例年4月上旬から交付されます。令和8年度は4月1日から5月18日まで、土日祝日を除いて交付されました。入手の方法は2つです。

方法 手順
窓口で受け取る 全国の法務局・地方法務局の総務課で交付。午前9時から正午まで、午後1時から午後5時まで
郵送で請求する 封筒の表に「司法書士請求」と朱書きし、返送用の角形2号封筒に180円切手を貼って同封する

法務省の「よくあるお問合せ」によると、支局や出張所では原則として交付していません。本局まで行くか、郵送で請求します。受験案内書そのものは法務省のホームページにも掲載されるので、内容の確認はそちらで先にできます。

提出書類と受験手数料

提出するのは、受験申請書の1枚目と2枚目、写真票、筆記試験受験票の4点です。受験手数料は8,000円で、収入印紙を受験申請書の所定欄に貼って納めます。現金・切手・登記印紙では納められず、受験しなかった場合も返還されません。この扱いは司法書士法施行規則3条にも定められています。

写真は、申請前6か月以内に撮影した縦4.5センチ・横3.5センチのカラー写真です。無帽・正面・上半身・背景なしが条件です。試験で眼鏡を使う人は、眼鏡をかけた写真を貼ります。氏名と生年月日は戸籍等の記載どおりに書きます。旧姓で受験することもでき、その場合は合格証書も旧姓で発行されます。

窓口で出すか、郵送で出すか

受験申請の方法も、窓口と郵送の2つです。

方法 注意点
窓口 受付期間中の平日、午前9時から正午まで・午後1時から午後5時まで。時間外は受け付けない
郵送 封筒の表に「司法書士受験」と朱書きし、必ず書留で送る。筆記試験受験票のはがきに85円切手を貼る。締切日の消印まで有効

郵送の場合、受付期間より前に法務局に届くと返送されることがあります。早く出しすぎるのも失敗の原因になります。平日の日中に動けない人は郵送を選び、受付期間に入ってから書留で出してください。代理人や使者が窓口に出すこともでき、委任状は不要とされています。

受験地の選び方

筆記試験の受験地は、東京・横浜・さいたま・千葉・静岡・大阪・京都・神戸・名古屋・広島・福岡・那覇・仙台・札幌・高松の15か所です。住所と関係なく、都合の良い受験地を選べます。ただし受付後は、災害などの場合を除いて変更できません。

受験地を決めると、筆記に合格したときの口述試験の場所も決まります。口述試験は8か所で行われ、横浜・さいたま・千葉・静岡で筆記を受けた人は東京、京都・神戸の人は大阪、那覇の人は福岡で口述を受けます。筆記の会場だけでなく、10月の平日に移動できるかも考えて選んでください。

筆記試験当日:7月上旬の日曜日

時間割と指定時刻

令和8年度の時間割は次のとおりです。

区分 着席時刻 指定時刻 試験時間
午前の部 午前9時00分 午前9時15分 午前9時30分から午前11時30分まで
午後の部 午後0時30分 午後0時45分 午後1時00分から午後4時00分まで

注意したいのは指定時刻です。司法書士法施行規則6条1項は、指定された時刻までに試験室に出頭しない受験者は試験を受けられないと定めています。受験案内書では、いったん着席しても指定時刻の時点で試験室にいなければ受験できない場合があるとしています。指定時刻の直前にトイレへ立つのは危険です。

午前の部を受けずに午後の部だけを受けることはできません。試験時間の途中で答案を出して退席することも認められていません。

持ち物と机の上に置けるもの

携行品は、筆記試験受験票と筆記具です。筆記具の使い分けには決まりがあります。

用途 使える筆記具
択一式の答案用紙 B または HB の鉛筆のみ
記述式の答案用紙 黒インクの万年筆またはボールペン。消せるインクは不可
問題用紙への書き込み 上記に加えて、シャープペンシル・ラインマーカー・色鉛筆など

択一式の答案用紙に鉛筆以外で書いた場合、記述式の答案用紙に鉛筆やシャープペンシルで書いた場合は、採点されません。

机に置けるのは、受験票、計時機能だけの時計、筆記具、キャップ付きペットボトル1本、目薬、ハンカチ、ティッシュ、膝掛けなどに限られます。スマートウォッチは時刻の確認にも使えず、耳栓も使えません。会場に時計がない場合もあるので、腕時計は必ず持参してください。貸与はありません。

問題は持ち帰れる

筆記試験の問題は、試験時間の終了後に持ち帰れます。自分の解答を問題用紙に書き写しておけば、8月に公表される正解で自己採点ができます。記述式も、答案の骨格を問題用紙にメモしておくと、後で出題の趣旨と照らし合わせられます。

もう1つ、試験場で配られる成績通知用の封筒に住所と氏名を書いておくことを忘れないでください。成績通知は希望者にだけ送られ、後から希望に変えることはできません。

筆記試験の後:8月から10月

8月:択一式の正解と基準点

令和8年度は8月12日の午後4時に、筆記試験の問題、択一式の正解、択一式の基準点が法務省のホームページに掲載されました。基準点は午前の部が105点中84点、午後の部が105点中75点です。

この時点で、自分の択一式が基準点に届いているかはほぼ分かります。記述式の基準点と筆記試験の合格点は、まだ公表されていません。基準点と合格点の仕組み、上乗せ点の考え方は基準点と上乗せ点の仕組みで詳しく扱っています。

10月上旬:筆記試験の合格発表

令和8年度の筆記試験の合格発表は10月1日の午後4時でした。筆記試験を実施した法務局・地方法務局で合格者の受験番号が掲示され、同時に法務省のホームページにも掲載されます。記述式の基準点と筆記試験の合格点もこのときに公表され、記述式問題の出題の趣旨も後日公表されます。

合格者への通知は、口述試験を実施する法務局から口述試験受験票を送る形で行われます。成績通知は、筆記試験の合格発表日の翌日に法務省から発送されます。電話で合否を問い合わせることはできません。

筆記試験に届かなかったとき

成績通知には、午前の択一式・午後の択一式・記述式の得点が載ります。どこが基準点に届かなかったか、合格点まで何点足りなかったかが分かるので、翌年の計画を立てる材料になります。

8月の時点で択一式の基準点に届かなかったと分かった人は、10月を待たずに翌年の準備に入れます。筆記試験の結果を受けた立て直し方は司法書士試験に落ちたときの立て直し方にまとめています。

口述試験から最終合格、その先

口述試験は10月中旬の平日

司法書士法6条2項ただし書は、口述試験は筆記試験に合格した者について行うと定めています。令和8年度の口述試験は10月13日の火曜日でした。内容は、不動産登記と商業登記に関する知識、それに司法書士法3条1項1号から5号の業務を行うのに必要な知識と能力です。

平日に行われるので、働いている人は休暇の手配が要ります。口述試験受験票は筆記の合格発表の後に届き、令和8年度は10月8日までに届かなければ問い合わせるよう案内されていました。試験の中身と準備の仕方は司法書士試験の口述試験で扱います。

最終合格発表と官報

令和8年度の最終合格発表は11月5日の午後4時です。筆記試験を実施した法務局・地方法務局で受験番号が掲示され、法務省のホームページにも掲載されます。受験番号と氏名は11月27日の官報に載ります。

最終合格者には合格証書が交付されます。交付の方法は法務局ごとに異なり、窓口または郵送です。合格証書は再発行できないので、大切に保管してください。紛失した場合は、合格を証明する書面の発行手続があります。

筆記試験の免除と、合格後の登録

筆記試験に合格した人は、司法書士法6条3項により、申請すれば次回の筆記試験が免除されます。申請は通常の受験申請と同じ5月の受付期間に行い、前年度の口述試験受験票の原本と写しを添えます。免除されるのは次回の1回だけです。

最終合格しても、それだけで司法書士として業務ができるわけではありません。司法書士法8条により、日本司法書士会連合会の司法書士名簿に登録を受けて初めて司法書士になります。登録の申請は、事務所を設けようとする地の司法書士会を経由して行います。

日程から逆算する学習の区切り

手続の期限と学習の区切りを重ねる

1年の流れを、学習の区切りと重ねると次のようになります。

時期 手続 学習の区切り
前年11月から3月 なし 全科目を回し、弱点科目を特定する
4月 受験案内書の確認、書類の入手 直前期に入る。新しい教材を増やさない
5月 受験申請 年度別過去問を本番の時間割で解く
6月 受験票の到着を確認 午後の部の時間配分を固める
7月上旬 筆記試験 本番
7月から8月 択一式の自己採点、基準点の公表 結果を待たずに登記法の知識を保つ
10月 筆記合格発表、口述試験 合格なら口述の準備、不合格なら翌年の計画

直前期の3か月の組み立ては直前期の基準点戦略で扱っています。

法令の基準日は4月1日

受験案内書は、筆記試験と口述試験の解答に当たって適用すべき法令を、その年の4月1日時点で施行されているものと定めています。令和8年度なら、4月1日に施行された住所等の変更登記の申請義務化も含まれます。

4月1日の施行分までが対象で、それより後に施行される改正は対象外です。4月に受験案内書が出たら、この基準日を確かめてください。改正論点の拾い方は法改正への対応で扱います。

試験での出題ポイント

択一式ではこう問われる

試験の流れそのものは出題されませんが、午後の部の司法書士法では、司法書士になる資格と登録の手続が問われることがあります。司法書士法4条は、司法書士試験の合格者のほか、裁判所書記官や法務事務官などとして通算10年以上の職務経験があり、法務大臣の認定を受けた者に資格を認めています。そのうえで、資格を持つ人が司法書士になるには8条の登録が必要で、登録申請は9条により司法書士会を経由して日本司法書士会連合会に提出します。

「試験に合格すれば司法書士になる」という肢は誤りです。資格と登録を分けて押さえておいてください。

記述式との接続

法令の基準日が4月1日であることは、記述式に直結します。記述式は登記申請書の作成に関する知識を問うので、その年の4月1日までに施行された不動産登記法や商業登記法の改正は、申請すべき登記や添付情報の判断に影響します。4月以降に新しい教材を読むときも、基準日時点の法令で書かれているかを確認してください。答案の組み立ては記述式・不動産登記法の対策を参照してください。

まとめ

  • 受験申請は5月上旬から中旬の約2週間。期限を逃すと1年待つことになる。
  • 申請は窓口か書留郵送。受験手数料8,000円は収入印紙で納め、返還されない。
  • 筆記試験は7月上旬の日曜日。指定時刻までに試験室にいないと受験できない。
  • 択一式の答案は鉛筆、記述式の答案は消せない黒インクのペン。筆記具を間違えると採点されない。
  • 8月に択一式の基準点、10月上旬に筆記の合格発表、10月中旬の平日に口述試験、11月上旬に最終合格発表。
  • 筆記に合格すれば翌年の筆記は1回免除される。最終合格後は登録を受けて司法書士になる。
  • 法令の基準日はその年の4月1日。

よくある質問

インターネットで受験申請はできますか

令和8年度の受験案内書と法務省の「よくあるお問合せ」が案内している申請方法は、法務局・地方法務局の窓口に出す方法と、書留郵便で送る方法の2つです。平日の日中に窓口へ行けない人は郵送を選んでください。受付期間より前に届くと返送されることがあるので、期間に入ってから発送します。

受験地は住んでいる都道府県で選ぶ必要がありますか

選ぶ必要はありません。受験地は、申請する人の都合の良い場所を選べます。ただし受付後は、災害などの場合を除いて変更できません。筆記の受験地によって口述試験の場所も決まるので、両方を考えて選んでください。

筆記試験に合格したのに口述試験を受けられなかった場合はどうなりますか

司法書士法6条3項により、筆記試験に合格した人は、申請すれば次回の筆記試験が免除されます。翌年の受験申請の期間に免除を申請し、口述試験から受け直すことになります。免除は次回の1回だけなので、翌年の口述試験を逃すと、再び筆記試験から受けることになります。

読んだあとに、今日の1問を

過去問ベースの肢別演習で、読んだ内容をそのまま演習に移せます。

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