記述式 商業登記の対策:司法書士試験の勉強法と別紙の読み方
司法書士試験の記述式・商業登記を得点源にしたい受験生向け。別紙から時系列表を作り、各決議の有効性を判定してから書くのが結論です。定款・議事録の読み方、役員変更など頻出論点、登記できない事項、時間配分を解説します。
司法書士試験の記述式・商業登記は、別紙の定款・議事録・登記記録から時系列表を作り、各決議が有効かを判定してから書き始めるのが最も確実な対策です。この科目は、決議は有効か、選ばれた役員は資格を満たすか、その機関設計は許されるか、という会社法の判断を何十回も繰り返す試験だからです。一方で、出題される論点の幅は不動産登記より狭く、役員変更を中心に同じ型が繰り返し出ます。この記事は、商業登記の記述式に苦手意識がある受験生に向けて、出題形式・別紙の読み方・頻出論点の処理手順・登記できない事項の見抜き方・申請順序・雛形の優先順位・当日の時間配分を1本にまとめました。
出題形式を正確に把握する
午後の部と基準点
午後の部は3時間で、択一式35問(105点)と記述式2問を解きます。記述式は不動産登記と商業登記から1問ずつで、令和6年度から合わせて140点満点になりました。
午前択一・午後択一・記述式のそれぞれに基準点があり、1つでも下回れば、総合点がどれだけ高くても不合格です。基準点の値は年度ごとに法務省が公表し、毎年動きます。記述式は加点を狙う科目である前に、まず基準点を確実に越えるべき科目です。仕組みは基準点と上乗せ点の仕組みで整理しています。
問題文の構成
| 構成要素 | 内容 | 読むときの注意 |
|---|---|---|
| 答案作成上の注意事項 | 解答方法の指示、擬制すべき事項、記載を要しない事項 | 最初に通読する。ここに罠がある |
| 事実関係 | 会社の概要と時系列の出来事 | 日付と登場人物を最優先で拾う |
| 別紙:登記記録 | 現在の登記事項 | 変更前の状態を確定させる |
| 別紙:定款 | 機関設計、株式の内容、任期、事業年度 | 判断の起点 |
| 別紙:議事録 | 株主総会・取締役会の決議 | 招集・定足数・決議要件を確認 |
| 別紙:株主リスト | 議決権数の多い株主の情報 | 決議が成立しているかの検算 |
| その他の別紙 | 就任承諾書、辞任届、聴取記録など | 日付と意思表示の到達を確認 |
どの問題でも出発点は「現在の登記事項がどうなっているか」の確定です。ここを誤ると以降の判断がすべて連鎖して崩れます。
解答欄で問われること
- 登記すべき事項 — 登記の事由と登記すべき事項を、登記記録に記録される文言で書く
- 登記できない事項とその理由 — 申請できない登記がある場合に、その内容と会社法上の根拠を簡潔に述べる
- 添付書面 — 名称と通数
- 登録免許税 — 区分ごとの内訳と合計額
主役は登記すべき事項です。ここを外すと添付書面も登録免許税も連鎖して崩れます。
注意事項は事実関係より先に読む
注意事項には毎年、受験生を試す指示が仕込まれます。一定の登記すべき事項の記載を要しない旨、委任状や印鑑証明書の扱い、申請日の擬制、登記期間を過ぎていても申請する旨、などです。これらを読み飛ばすと、正しい実体判断をしていながら形式で失点します。演習の段階から注意事項に線を引き、指示ごとに番号を振る習慣をつけてください。
別紙を読む技術
別紙は「情報が書いてある紙」ではなく、「判断材料が意図的に配置された紙」です。何を確かめるために置かれているかを意識して読みます。
定款は機関設計・任期・事業年度から
| 確認項目 | 見る条項 | 判断への影響 |
|---|---|---|
| 公開会社か | 株式の譲渡制限の定め | 募集株式の決定機関、任期伸長の可否、取締役会の要否 |
| 設置機関 | 取締役会・監査役・会計監査人などの設置 | 決議機関の特定、機関設計の適法性 |
| 役員の員数 | 員数の定め | 退任で員数を欠くか |
| 役員の任期 | 任期の定め | 任期満了時期の計算 |
| 事業年度 | 事業年度の定め | 定時株主総会の時期、任期計算の基準 |
| 決議要件 | 定足数・決議要件の加重 | 決議の成否 |
公開会社とは、発行する株式の全部または一部に譲渡制限を設けていない会社です。上場会社という意味ではありません。ここを誤ると、募集株式の決定機関、任期伸長の可否、取締役会の要否が一斉に崩れます。
役員の任期は「選任後○年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで」で決まるので(会社法332条1項・336条1項)、事業年度の末日が分からなければ計算できません。定款を読んだら、事業年度と定時株主総会の時期を余白にメモする作業を機械的にしてください。
議事録は5つの窓で確認する
- 日付 — いつの決議か。効力発生日との関係はどうか
- 招集手続 — 招集通知の期間、招集権者、全員出席総会か
- 出席者と定足数 — 議決権の過半数、または定款所定の定足数を満たすか
- 決議要件 — 普通決議で足りるか、特別決議が要るか。賛成数は要件を満たすか
- 決議の内容 — 何をいつから効力発生させるか。条件や期限が付いていないか
特別決議は、議決権の過半数を有する株主が出席し(定款で3分の1まで下げられる)、出席株主の議決権の3分の2以上で可決します(309条2項)。議事録に「3分の2以上の賛成で可決」とあっても、定足数を満たしていなければ決議は成立しません。賛成数だけを見て安心しないのが鉄則です。決議の種類と対象事項は株主総会の決議要件で一覧にしています。
取締役会議事録では、特別利害関係取締役が頻出です。決議に特別の利害関係を有する取締役は議決に加われず、定足数の算定からも除かれます(369条2項)。代表取締役の解職決議での当該代表取締役が典型です。
株主リストは議決権数の検算に使う
株主リストは、登記すべき事項に株主総会の決議や株主全員の同意を要する場合の添付書面です(商業登記規則61条2項・3項)。記述式では添付書面としての要否だけでなく、議決権数を計算させる材料として置かれます。自己株式に議決権がないこと、単元未満株式に議決権がないこと、相互保有株式などの議決権制限を反映し、議事録の出席議決権数・賛成議決権数と突き合わせてください。
就任承諾書と辞任届は日付を見る
- 就任承諾書がない — 就任の効力が生じていないので、就任の登記はできません
- 辞任届 — 辞任は会社への意思表示の到達で効力を生じます。作成日と到達日が別に示されていたら要注意です
- 代表取締役の辞任届 — 登記所に提出した印鑑を押していない場合などに、個人の実印の印鑑証明書の添付が必要になります(商業登記規則61条8項)
別紙として置かれた書面には必ず意図があります。「なぜこの紙が入っているのか」を自問する癖をつけてください。
頻出論点を型で攻略する
出題の大半は、役員変更、募集株式の発行、機関設計の変更、商号・目的・本店の変更の4グループです。それぞれに処理の型があります。会社法の実体の学び方は会社法・商業登記法の勉強法で扱っています。
役員変更1:任期は事業年度カレンダーで計算する
役員変更は出題されない年がほぼない論点です。任期計算は頭の中でやらず、余白に時系列を書きます。
- 選任決議の日を確定する
- 事業年度の末日を確認する
- 「選任後○年以内に終了する事業年度」のうち最終のものを特定する
- その事業年度に関する定時株主総会の日を特定する
- その総会の終結時が任期満了
事業年度が4月1日から翌年3月31日、定時株主総会が毎年6月の会社で、令和4年6月20日に選任された取締役(任期2年)なら、最終の事業年度は令和6年3月31日に終わる事業年度で、令和6年6月の定時株主総会の終結時に任期が満了します。非公開会社は定款で10年まで伸長できます(332条2項・336条2項)。詳しい計算は取締役の任期で扱っています。
役員変更2:定款変更で任期が満了する場合
最も落としやすいのが、定款変更によって任期が満了する場合です。条文に列挙された定款変更をすると、その効力が生じた時に任期が満了します。
| 定款変更 | 任期が満了する役員 | 根拠 |
|---|---|---|
| 監査等委員会または指名委員会等を置く | 取締役・監査役 | 332条7項1号、336条4項2号 |
| 監査等委員会または指名委員会等を置く定めを廃止する | 取締役 | 332条7項2号 |
| 株式の譲渡制限の定めを廃止する(公開会社になる) | 取締役・監査役。会計参与も同じ | 332条7項3号、336条4項4号、334条1項 |
| 監査役を置く旨の定めを廃止する | 監査役 | 336条4項1号 |
| 監査役の監査の範囲を会計に限定する定めを廃止する | 監査役 | 336条4項3号 |
譲渡制限の定めを廃止する定款変更をすると、任期を伸長していたかどうかに関係なく、取締役の任期はその定款変更の効力が生じた時に満了します(332条7項3号。監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社がする場合を除く)。監査役は336条4項4号で同じく満了し、会計参与も334条1項による332条7項の準用で満了します。会計参与は、会計参与を置く旨の定めを廃止した場合にも任期が満了します(334条2項)。一方、監査の範囲を会計に限定する定めを「設ける」定款変更は、336条4項に列挙されていません。定款変更の議案を見たら、機関設計の変更だけでなく役員の任期に跳ね返らないかを必ず確認してください。
役員変更3:退任事由の書き分けと権利義務役員
退任の原因は、任期満了による「退任」、「辞任」、「解任」、「死亡」、欠格事由に当たるなどの「資格喪失」を書き分けます。
役員の員数を欠くことになった場合、任期満了または辞任により退任した役員は、後任者が就任するまでなお役員としての権利義務を有します(346条1項)。
- 権利義務が生じるのは任期満了と辞任の場合だけです。解任・死亡・資格喪失では生じません
- 権利義務役員がいる間は退任の登記ができません。後任者の就任時に、退任と就任の登記を同時に申請します
- 退任の年月日は、権利義務が終わった日ではなく、本来の退任事由が生じた日です
員数は、定款所定の員数と会社法上の最低員数の両方で判断します。取締役会設置会社の取締役は3人以上です(331条5項)。
役員変更4:印鑑証明書と本人確認証明書
| 書面 | 要求される場面の概要 |
|---|---|
| 就任承諾書についての印鑑証明書 | 取締役会非設置会社の取締役、取締役会設置会社の代表取締役の就任(再任を除く) |
| 選定議事録についての印鑑証明書 | 代表取締役を選定した議事録に、変更前の代表取締役の登記所届出印が押されていない場合など |
| 本人確認証明書 | 取締役・監査役・執行役の就任で、就任承諾書について印鑑証明書を添付しない場合 |
| 辞任届についての印鑑証明書 | 代表取締役等の辞任届に登記所届出印が押されていない場合 |
「誰の、どの書面についての」印鑑証明書かを意識し、対象者と対象書面の組でカウントする訓練をしておくと、通数を問われても答えられます。役員変更の添付書面は役員変更登記の添付書面で就任・退任・重任ごとに整理しています。
募集株式の発行:7つの判断
- 決定機関 — 非公開会社は株主総会の特別決議(199条2項)。特別決議で取締役・取締役会に委任できる(200条)。公開会社は取締役会(201条1項)
- 有利発行か — 該当すれば公開会社でも株主総会の特別決議と取締役の説明が必要
- 募集事項 — 払込金額、払込期日または期間、増加する資本金・資本準備金
- 出資の履行 — 引受人から会社への相殺はできない(208条3項)
- 現物出資 — 検査役の調査が要るか、免除事由に当たるか
- 効力発生日 — 払込期日を定めたらその日、期間を定めたら出資の履行をした日
- 資本金の額 — 払込額の2分の1を超えない額は資本準備金にできる(445条2項・3項)
機関設計の変更:変更後の形が許されるか
- 公開会社・監査役会設置会社・監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社は、取締役会を置かなければならない(327条1項)
- 取締役会設置会社は監査役を置かなければならない。ただし公開会社でない会計参与設置会社を除く(同条2項)。会計監査人設置会社も監査役が必要(同条3項)
- 監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社は監査役を置けない(同条4項)
- 大会社は会計監査人が必要で、公開会社である大会社は監査役会も必要(328条)
「取締役会を廃止する」「監査役を廃止する」といった議案が出たら、変更後の機関設計が会社法上許されるかを必ず検証します。許されなければ、その定款変更に基づく登記は登記できない事項になります。機関設計の組み合わせは取締役会設置会社と非設置会社の違いで表にしています。
派生する登記も忘れないでください。取締役会を廃止すれば代表取締役の定め方が変わることがあり、監査役を置く旨の定めを廃止すれば監査役は任期満了で退任します。定款変更の登記だけ書いて役員の登記を書き忘れる、が最も多い失点パターンです。
商号・目的・本店の変更
- 商号 — ローマ字やアラビア数字、一定の符号を使えます。符号は字句を区切る場合に限り、先頭と末尾には使えません(ピリオドは省略を表す場合に末尾に使えます)。会社の種類を示す文字も必須です
- 目的 — 適法性・営利性・明確性が要件です。記述式で正面から問われることは多くありません
- 本店移転 — 定款に最小行政区画だけを定めていれば、その範囲内の移転は取締役会(非設置会社では取締役の過半数)で決められます。範囲を超える移転は定款変更、つまり株主総会の特別決議が必要です。定款上の本店所在地の記載の細かさを必ず確認します
登記できない事項の見抜き方
発生源は5つ
| 分類 | 典型例 |
|---|---|
| 決議の瑕疵 | 定足数不足、特別決議事項を普通決議で可決、招集手続の瑕疵、特別利害関係人の議決参加、招集通知にない議題の決議(取締役会設置会社) |
| 資格・員数 | 取締役会設置会社で取締役が3人未満、法人が取締役に就任、定款所定の資格を満たさない選任 |
| 機関設計 | 公開会社が取締役会を廃止する、監査等委員会設置会社が監査役を置く |
| 効力発生の未了 | 効力発生日が未到来、債権者異議手続が未了、就任承諾がない、払込みがない |
| 形式的制限 | 使用できない文字を含む商号、同一本店所在場所での同一商号 |
問題文をこの5つの網でスキャンすると、見落としが減ります。
登記期間の経過は登記できない理由ではない
変更の登記は効力発生から2週間以内にしなければなりませんが(会社法915条1項)、期間を過ぎても登記はできます。過料の問題が生じるだけです。申請日が決議の2か月後という事実があっても、それを理由に「登記できない」と書いてはいけません。
理由は4段で書く
良い例は「当該定款変更は特別決議事項であるところ、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成を得ていないため、決議は成立しておらず、登記を申請することができない」です。何の登記ができないかを特定し、適用されるルールを述べ、事実がそれを満たさないことを示し、結論を述べる。この4段を10回ほど手で書いて体に入れておきます。登記できない事項がない場合に明記が要るかは、注意事項で確認してください。
申請順序と本店移転
順序を決める原理
順序は「実体上の前後関係」と「登記記録上の連続性」で決まります。先に効力が生じた事項を先に、後の登記の前提となる登記を先に申請します。同じ日に複数の事由がある場合は、その日のうちの前後関係で判断します。定時株主総会で任期満了をもたらす定款変更、任期満了、後任の就任が続けば、定款変更、任期満了、就任の順に効力が生じています。議事録の議案の順序も参考になります。
管轄外の本店移転
本店を他の登記所の管轄区域内に移転する場合、新本店所在地での登記の申請は、旧本店所在地を管轄する登記所を経由して、旧所在地での申請と同時にします(商業登記法51条1項・2項)。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請先 | 旧本店所在地の登記所に、旧所在地宛と新所在地宛の申請書を同時に提出 |
| 新所在地宛の添付書面 | 委任状を除き添付を要しない(同条3項) |
| 登録免許税 | 旧・新それぞれの登記所分が必要 |
| 決議機関 | 定款所定の所在地を超えるなら定款変更と、移転場所・移転日の決定 |
支店所在地における登記は、2021年の会社法改正により2022年9月1日から廃止されています。古い教材で学んでいる場合は注意してください。
雛形の優先順位と登録免許税
ABCの3段階
- A:毎年のように出る — 取締役・代表取締役・監査役の就任と退任、募集株式の発行、商号変更、目的変更、本店移転、取締役会設置会社・監査役設置会社の定めの設定と廃止、発行可能株式総数の変更
- B:数年に一度出る — 資本金の額の減少、準備金の資本組入れ、株式の譲渡制限の定めの変更、会計監査人・会計参与、支配人、新株予約権、株式の分割・併合、単元株式数
- C:直前期に確認 — 組織再編、解散・清算・継続、特例有限会社、複雑な種類株式
Aを完璧にすれば基準点が見え、Bまで固めれば合格点が視野に入ります。組織再編は記述の雛形としてより、択一の知識として押さえる価値があります。
4点セットで覚える
雛形は、登記の事由、登記すべき事項、添付書面、登録免許税の4点セットで覚えます。主な登録免許税は次のとおりです(登録免許税法別表第一第24号)。
| 区分 | 登記 | 税額 |
|---|---|---|
| ニ | 資本金の額の増加 | 増加額の1000分の7。3万円に満たないときは3万円 |
| ヌ | 新株予約権の発行 | 9万円 |
| ヲ | 本店の移転 | 1箇所につき3万円 |
| ワ | 取締役会・監査役会などに関する事項の変更 | 3万円 |
| カ | 役員に関する事項の変更 | 3万円。資本金1億円以下の会社は1万円 |
| ツ | その他の登記事項の変更(商号・目的など) | 3万円 |
区分が異なれば合算します。1000分の7の最低額3万円と、役員変更の資本金1億円以下の1万円は、計算ミスの定番です。
書くより思い出す回数を増やす
1周目はテキストを見ながら一度書いて構造を理解し、2周目以降は登記の事由だけを見て残り3点を想起します。週1回はAを10〜15分で総ざらいし、月1回はAとBを通しで確認します。想起を軸にした反復設計は、択一の肢別演習と同じ原理です。
答案構成と時間配分
7ステップ
- 注意事項を読む(2分) — 記載を要しない事項、擬制される事項に印をつける
- 会社の現状を把握する(3分) — 商号、本店、機関設計、役員、発行済株式の総数、資本金の額を余白に一覧にする
- 時系列表を作る(5分) — 日付、出来事、効力発生日、登記事項の4列
- 有効性を判定する(8分) — 各行の決議要件・資格・機関設計・効力発生を検証し、有効なら丸、登記できないならバツと理由を書く
- 申請順序を確定する(2分) — 効力発生日と前提関係で並べ、管轄外本店移転なら申請書を分ける
- 答案を書く(30〜35分) — 登記の事由、登記すべき事項、添付書面、登録免許税の順
- 登記できない事項を書く(5分) — 4段の型で書く
合計55〜60分が目安です。最重要はステップ4で、答案の質はここで決まります。
午後3時間の配分
記述式に1問55分前後を回すなら、午後の択一35問は60分前後で抜ける必要があります。1問あたり2分を切る速度なので、商業登記法8問を含む手続法の択一は「知識の反射」で解ける水準まで仕上げておきます。通過時刻の決め方と撤退ルールは午後の部の時間配分で扱っています。
どちらの記述から解くかは、事前に決めて模試で固定します。商業登記は処理量が読みやすいので先に解いて得点を確保する型、不動産登記が得意ならそちらを先にする型、どちらでも構いません。決めた順序で「○時○分になったら次へ移る」を厳守し、途中答案を出さない設計にします。分からない欄は空けて先に進み、登記すべき事項を優先して、登録免許税は最後にまとめて計算すると速くなります。
直前期の仕上げ
- Aランクの雛形を週1回、想起で全項目チェック
- 一度解いた過去問を、時間を計って解き直す
- 答案を書かず、時系列表と有効性判定だけを15分で行う演習を1日1問
失点の型を記録して再発を防ぐ方法は記述式でよくあるミスで、不動産登記の記述式との違いは記述式(不動産登記)の対策で扱っています。
まとめ
- 注意事項を最初に読み、定款から機関設計・任期・事業年度を、議事録から5つの窓を確認する
- 任期計算は事業年度カレンダーで行い、任期を満了させる定款変更は条文の列挙で覚える
- 権利義務役員がいる間は退任の登記ができない
- 機関設計の変更は、変更後の形が327条・328条に合うかを検証する
- 登記できない事項は5つの発生源でスキャンし、理由は4段で書く
- 雛形はAランクから4点セットで、想起中心に回す
- 答案構成7ステップと時間配分を事前に固定する
よくある質問
商業登記の記述式はいつから始めればよいですか
会社法の機関と役員変更の登記を学び終えた段階から始めてください。役員変更はほぼ毎年出題されるので、この段階で過去問を1問通すと、会社法の知識がどう使われるかが見え、以降の学習の精度が上がります。
任期計算でいつも間違えます。どうすればよいですか
頭の中で計算せず、事業年度の末日と定時株主総会の月を余白に書いてから、選任日、最終の事業年度、その定時総会の3点を線で結んでください。そのうえで、議案に任期を満了させる定款変更(譲渡制限の廃止、監査役を置く旨の定めの廃止など)がないかを必ず確認します。
登記できない事項は毎年必ず出ますか
出題の形は年度によって違いますが、登記できない事項の判断を求める設計は繰り返し見られます。注意事項に「登記できない事項がない場合」の扱いが書かれていることもあるので、最初に確認してください。
商業登記の記述式に何分かければよいですか
1問55〜60分が目安です。答案構成に20分、記入に30〜35分、登記できない事項に5分程度を配分します。午後の択一を60分前後で抜けることが前提になるので、択一の速度も合わせて鍛えてください。
商業登記法の記述式(オリジナル再現)。別紙を読んで第1欄・第2欄を書き、模範と枠ごとに比べます。