民事執行の不服申立て:執行抗告・執行異議・請求異議・第三者異議
執行抗告とは何か、執行異議との違いは何か。民事執行法10条・11条・35条・38条を軸に、手続上の違法と実体上の不当の区別、1週間の期間、執行停止の仮の処分、39条・40条の停止・取消し文書まで、司法書士試験向けに比較表で整理します。

民事執行の不服申立ては、まず「何に不満があるのか」で2つに分けると迷いません。執行の手続のやり方がおかしいなら、執行抗告か執行異議。執行される請求権そのものや、差し押さえられた物の帰属がおかしいなら、請求異議の訴えか第三者異議の訴えです。前の2つは決定手続で速く、後の2つは判決手続で慎重に審理します。執行抗告は特別の定めがある裁判に限られ、1週間の不変期間内に原裁判所へ抗告状を出します(民事執行法10条)。
この記事は、民事執行法の不服申立てが4種類も出てきて区別がつかない司法書士試験の受験生向けです。各制度の対象・期間・提出先・執行停止の仕組みを条文で確認し、最後に比較表にまとめます。
不服申立ての全体像:手続上の違法か実体上の不当か
執行機関は実体を判断しない
民事執行の不服申立てを理解する出発点は、執行機関の役割です。執行裁判所や執行官は、債務名義があれば、その請求権が本当に今も存在するかを調べずに執行を進めます。判決で確定した権利をいちいち審理し直していたら、執行が速く進まないからです。
その結果、執行機関が判断できる不服と、判断できない不服が生まれます。
- 手続上の違法:執行機関の処分が民事執行法の手続に違反している。差押禁止動産を差し押さえた、送達を欠いたまま進めた、など。執行機関自身が判断できるので、決定手続で処理する
- 実体上の不当:手続は適法だが、執行の結果が実体法上の権利関係と食い違う。判決後に弁済した、差し押さえられた物が第三者の所有物だった、など。執行機関は判断しないので、別の訴えを起こして判決手続で決着をつける
4つの不服申立ての配置
この区別に沿って、4つの制度を並べると次のようになります。
| 不服の種類 | 制度 | 審理の形 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 手続上の違法 | 執行抗告 | 上級審への抗告。決定手続 | 民事執行法10条 |
| 手続上の違法 | 執行異議 | 執行裁判所への異議。決定手続 | 民事執行法11条 |
| 実体上の不当:請求権の存否・内容 | 請求異議の訴え | 訴え。判決手続 | 民事執行法35条 |
| 実体上の不当:目的物に対する第三者の権利 | 第三者異議の訴え | 訴え。判決手続 | 民事執行法38条 |
このほか、執行文の付与をめぐる不服として、執行文付与等に関する異議(民事執行法32条)と執行文付与に対する異議の訴え(民事執行法34条)があります。執行文の論点は別の機会に回し、ここでは上の4つに集中します。
執行抗告:特別の定めがある裁判だけ
対象は「特別の定め」がある裁判に限られる
民事執行法10条1項は、民事執行の手続に関する裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、執行抗告をすることができると定めています。どの裁判にも抗告できるわけではなく、条文に「執行抗告をすることができる」と書かれたものだけが対象です。
代表的な「特別の定め」は次のとおりです。
| 裁判 | 根拠 |
|---|---|
| 強制競売の申立てを却下する裁判 | 民事執行法45条3項 |
| 売却の許可・不許可の決定 | 民事執行法74条1項 |
| 強制管理の申立てについての裁判 | 民事執行法93条5項 |
| 差押命令の申立てについての裁判 | 民事執行法145条6項 |
| 転付命令の申立てについての決定 | 民事執行法159条4項 |
| 民事執行の手続を取り消す旨の決定 | 民事執行法12条1項 |
強制競売の開始決定そのものは、45条3項の対象に入っていません。開始決定に不服がある債務者は、執行抗告ではなく執行異議を使います。却下には執行抗告、開始には執行異議という組み合わせは、択一の定番です。
売却許可決定には、74条2項で理由の制限もかかります。71条各号の売却不許可事由があることか、売却許可決定の手続に重大な誤りがあることを理由にしなければなりません。
1週間の不変期間と原裁判所への提出
執行抗告は、裁判の告知を受けた日から1週間の不変期間内に、抗告状を原裁判所に提出してしなければなりません(民事執行法10条2項)。押さえるべき要素は3つです。
- 期間:1週間の不変期間。起算点は裁判の告知を受けた日
- 提出先:原裁判所。抗告裁判所ではない
- 理由:抗告状に理由がなければ、抗告状を提出した日から1週間以内に執行抗告の理由書を原裁判所に提出する(民事執行法10条3項)
抗告状を上級の裁判所に直接出さない点と、理由書の期間の起算点が狙われます。

原裁判所による却下と執行停止効がない原則
手続の引き延ばしを防ぐため、原裁判所は、次の場合には執行抗告を却下しなければなりません(民事執行法10条5項)。
- 抗告人が執行抗告の理由書を提出しなかったとき
- 理由の記載が明らかに最高裁判所規則に違反しているとき
- 執行抗告が不適法で、その不備を補正できないことが明らかなとき
- 民事執行の手続を不当に遅延させることを目的としてされたとき
この却下決定に対しては、さらに執行抗告ができます(民事執行法10条8項)。
もう1つ大事なのが、執行抗告をしても手続は当然には止まらないことです。止めるには、抗告裁判所が原裁判の執行の停止や民事執行の手続の停止を命じる必要があります。事件の記録が原裁判所にある間は、原裁判所も停止を命じられます(民事執行法10条6項)。この停止の決定には不服を申し立てられません(民事執行法10条9項)。
ただし、裁判の側に「確定しなければ効力を生じない」と定められているものがあります。売却許可決定(民事執行法74条5項)、転付命令(民事執行法159条5項)、手続を取り消す旨の決定(民事執行法12条2項)などです。これらは執行抗告が出されると確定しないので、結果として効力の発生が止まります。
執行異議:執行抗告ができない処分と執行官の処分
対象と申立先
民事執行法11条1項は、執行裁判所の執行処分で執行抗告をすることができないものに対しては、執行裁判所に執行異議を申し立てることができると定めています。執行官の執行処分とその遅怠に対しても、同じく執行異議を申し立てます。
整理すると、執行異議の対象は次の2つです。
- 執行裁判所の執行処分のうち、執行抗告の特別の定めがないもの
- 執行官の執行処分と、執行官が処分をしないこと・遅らせていること
執行官の処分に対する異議も、申立先は執行裁判所です。執行官が行う執行処分については、その執行官の所属する地方裁判所が執行裁判所になります(民事執行法3条)。上級審に持ち上げるのではなく、同じ地方裁判所の中で是正するのが執行異議です。

期間の定めがなく、停止は裁判所が命じる
11条には、執行抗告の1週間のような申立期間の定めがありません。この違いは比較の肢として頻出です。
執行停止の仕組みは執行抗告とそろえてあります。執行異議の申立てがあった場合には10条6項前段と9項が準用され、執行裁判所は担保を立てさせ、または立てさせないで執行の停止などを命じることができ、その決定には不服を申し立てられません(民事執行法11条2項)。執行異議を申し立てただけでは手続は止まらない点も、執行抗告と同じです。
請求異議の訴え:請求権そのものを争う
異議の対象と除外される債務名義
民事執行法35条1項は、債務名義に係る請求権の存在または内容について異議のある債務者は、その債務名義による強制執行の不許を求めるために、請求異議の訴えを提起することができると定めています。裁判以外の債務名義の成立について異議のある債務者も同様です。
ただし、次の債務名義で確定前のものは、請求異議の訴えの対象から除かれています(民事執行法35条1項かっこ書)。
- 仮執行の宣言を付した判決(民事執行法22条2号)
- 仮執行の宣言を付した損害賠償命令・届出債権支払命令(同条3号の2・3号の3)
- 仮執行の宣言を付した支払督促(同条4号)
確定前なら控訴や督促異議で争えるからです。
典型的な異議事由は、弁済・免除・相殺などで請求権が消滅したこと、期限の猶予を受けたことなど、請求権の存在や内容を変える事実です。
確定判決は口頭弁論終結後の事由に限る
確定判決についての異議の事由は、口頭弁論の終結後に生じたものに限られます(民事執行法35条2項)。口頭弁論終結前の事由は、確定判決の既判力によって遮断されるからです。既判力の基準時の考え方は判決の効力:既判力・執行力・形成力と同じ理屈です。
判例は、口頭弁論終結前から相殺適状にあった債権でも、終結後に相殺の意思表示をしたときは、相殺を異議事由として主張できるとしています。これに対して、取消権は終結後に行使しても異議事由にならないとしています。相殺の要件そのものは相殺:要件・禁止・差押えとの関係で確認してください。
また、異議の事由が数個あるときは、債務者は同時に主張しなければなりません(民事執行法35条3項・34条2項)。後から小出しにして、執行を何度も止めることを防ぐ趣旨です。

執行証書の場合
執行証書は公証人が作成する公正証書で、裁判ではありません。そのため請求異議の訴えでの扱いが確定判決と違います。
| 比較項目 | 確定判決 | 執行証書 |
|---|---|---|
| 異議事由の時的制限 | 口頭弁論終結後に生じたものに限る | 35条2項の制限は及ばない。作成前の事由も主張できる |
| 成立についての異議 | 主張できない | 主張できる。無権代理人による作成の嘱託など |
| 管轄 | 第一審裁判所 | 債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所 |
管轄は、35条3項が準用する33条2項によって、債務名義の種類ごとに決まります。執行証書には既判力がないので、請求権の発生原因から争えます。成立について異議を述べられるのも、裁判以外の債務名義に限られた扱いです。
第三者異議の訴え:目的物が自分のものだと争う
原告・被告・管轄
民事執行法38条1項は、強制執行の目的物について所有権その他目的物の譲渡または引渡しを妨げる権利を有する第三者は、債権者に対し、その強制執行の不許を求めるために、第三者異議の訴えを提起することができると定めています。
構造を分解すると次のとおりです。
- 原告:目的物について所有権など譲渡・引渡しを妨げる権利を持つ第三者
- 被告:債権者。債務者ではない
- 併合:第三者は、債務者に対する目的物についての訴えを併合して提起できる(民事執行法38条2項)
- 管轄:執行裁判所(民事執行法38条3項)。民事執行法に規定する管轄は専属である(民事執行法19条)
被告が債権者になるのは、強制執行を進めているのが債権者だからです。債務者に返還も求めたいときは、2項の併合を使います。
異議事由になる権利
異議事由の典型は所有権です。条文の「譲渡又は引渡しを妨げる権利」は、執行の目的物が債務者の責任財産に属さないことを主張できる権利を指します。判例は、譲渡担保権者も、目的物に対する強制執行について第三者異議の訴えを提起できるとしています。
請求異議の訴えとの違いは、誰が何を争うかです。請求異議は債務者が請求権を争い、第三者異議は第三者が目的物の帰属を争います。債務名義の効力は否定せず、特定の目的物への執行だけを止める点が第三者異議の特徴です。

執行の停止と取消し:仮の処分と39条・40条の文書
訴えを起こしただけでは執行は止まらない
請求異議の訴えや第三者異議の訴えを起こしても、それだけで強制執行は止まりません。判決が出るまで時間がかかるので、その間の執行を止める仮の処分が用意されています。
請求異議の訴えの提起があった場合、異議のため主張した事情が法律上理由があるとみえ、かつ事実上の点について疎明があったときは、受訴裁判所は、申立てにより、終局判決までの間、強制執行の停止などを命じることができます(民事執行法36条1項)。
- 担保を立てさせ、または立てさせないで強制執行の停止を命じる
- 担保を立てさせて強制執行の続行を命じる
- 担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命じる
- 急迫の事情があるときは、裁判長もこれらの処分を命じられる
- 申立てについての裁判は口頭弁論を経ないですることができ、不服を申し立てられない(民事執行法36条2項・5項)
急迫の事情があるときは、執行裁判所も、受訴裁判所の裁判の正本を提出すべき期間を定めて停止などを命じられます。この裁判は訴えの提起前でもできます(民事執行法36条3項)。受訴裁判所は終局判決でも停止などの処分を命じたり、既にした裁判を取り消し・変更・認可したりでき、この裁判には仮執行の宣言をしなければなりません(民事執行法37条1項)。
第三者異議の訴えにも、36条・37条が準用されます(民事執行法38条4項)。

39条の停止文書と40条の取消し
執行機関は実体を判断しないので、執行を止めるには、執行機関に一定の文書を提出する必要があります。民事執行法39条1項は、次の文書の提出があったときは強制執行を停止しなければならないと定めています。
| 号 | 文書の内容 | 既にした執行処分 |
|---|---|---|
| 1号 | 債務名義または仮執行の宣言を取り消す旨、または強制執行を許さない旨を記載した執行力のある裁判の正本など。執行証書を除く | 取り消す |
| 2号 | 和解・認諾・調停・労働審判の効力がないことを宣言する確定判決の正本など | 取り消す |
| 3号 | 債務名義が訴えの取下げなどで効力を失ったことを証する調書の正本など | 取り消す |
| 4号・4号の2 | 強制執行をしない旨または申立てを取り下げる旨を記載した和解調書・調停調書などの正本 | 取り消す |
| 5号 | 強制執行を免れるための担保を立てたことを証する文書 | 取り消す |
| 6号 | 強制執行の停止および執行処分の取消しを命ずる旨を記載した裁判の正本など | 取り消す |
| 7号 | 強制執行の一時の停止を命ずる旨を記載した裁判の正本など | 取り消さない |
| 8号 | 債務名義の成立後に、弁済を受け、または弁済の猶予を承諾した旨を記載した文書 | 取り消さない |
1号から6号までの文書が提出されたときは、執行裁判所または執行官は、既にした執行処分も取り消さなければなりません(民事執行法40条1項)。この取消しには12条が適用されません(民事執行法40条2項)。つまり、取消しに対する執行抗告はできず、取消しは確定を待たずに効力を生じます。請求異議や第三者異議の認容判決が出れば1号の文書になり、36条の一時停止の裁判は7号の文書になります。
8号の文書は、裁判所の文書である必要はありません。その代わり停止には上限があり、弁済を受けた旨の文書による停止は4週間に限られます(民事執行法39条2項)。弁済の猶予を承諾した旨の文書による停止は、2回に限り、かつ通じて6月を超えることができません(民事執行法39条3項)。
試験での出題ポイント
択一式ではこう問われる
民事執行法は午後の部で例年1問です。不服申立ては、強制執行の手続の流れと並ぶ頻出テーマで、次の比較表がそのまま肢になります。
| 比較項目 | 執行抗告 | 執行異議 | 請求異議の訴え | 第三者異議の訴え |
|---|---|---|---|---|
| 不服の内容 | 手続上の違法 | 手続上の違法 | 請求権の存否・内容 | 目的物に対する第三者の権利 |
| 対象 | 特別の定めがある裁判 | 執行抗告ができない執行処分・執行官の処分 | 債務名義の執行力 | 特定の目的物への強制執行 |
| 申立人・原告 | 不利益を受ける者 | 不利益を受ける者 | 債務者 | 第三者 |
| 提出先・管轄 | 原裁判所に抗告状 | 執行裁判所 | 債務名義に応じて33条2項の裁判所 | 執行裁判所 |
| 期間 | 告知の日から1週間の不変期間 | 定めなし | 定めなし | 定めなし |
| 執行停止 | 当然には止まらない。10条6項の停止命令 | 当然には止まらない。11条2項で準用 | 当然には止まらない。36条の仮の処分 | 当然には止まらない。38条4項で36条準用 |
これに加えて、次のような肢が出ます。
- 強制競売の申立てを却下する裁判には執行抗告、開始決定には執行異議
- 執行抗告の抗告状は抗告裁判所ではなく原裁判所に提出する
- 理由書は抗告状を提出した日から1週間以内に原裁判所へ
- 確定判決に対する請求異議の事由は口頭弁論終結後のものに限る。執行証書にはこの制限がない
- 確定前の仮執行宣言付判決・仮執行宣言付支払督促は請求異議の訴えの対象外
- 第三者異議の訴えの被告は債権者で、管轄は執行裁判所
- 弁済受領文書による停止は4週間、弁済猶予文書による停止は2回・通じて6月まで
担保権の実行では実体の主張が執行抗告・執行異議に入る
手続上の違法と実体上の不当の区別には、大きな例外があります。不動産担保権の実行の開始決定に対する執行抗告または執行異議では、債務者または不動産の所有者は、担保権の不存在または消滅を理由とすることができます(民事執行法182条)。
担保権の実行は債務名義を経ずに始まるので、担保権の存在について裁判所の判断がありません。そのため、実体上の事由を決定手続の中で主張することを認めています。担保権の実行の停止も、39条ではなく183条の文書によります。強制執行と担保権の実行の入口の違いは、強制執行の種類:不動産・動産・債権執行の全体像で整理しています。
全体の時間配分はマイナー科目の勉強法を、保全側の手続は仮差押えと仮処分を参照してください。
まとめ
- 不服申立ては、手続上の違法なら執行抗告・執行異議、実体上の不当なら請求異議の訴え・第三者異議の訴え
- 執行抗告は特別の定めがある裁判に限り、告知の日から1週間の不変期間内に原裁判所へ抗告状を出す。理由書は提出から1週間以内
- 執行抗告ができない執行処分と執行官の処分には執行異議。申立先は執行裁判所で、期間の定めはない
- 請求異議の訴えは債務者が請求権を争う。確定判決は口頭弁論終結後の事由に限られ、執行証書には時的制限がない
- 第三者異議の訴えは、所有権など譲渡・引渡しを妨げる権利を持つ第三者が、債権者を被告として執行裁判所に起こす
- どの不服申立ても、申し立てただけでは執行は止まらない。停止命令や36条の仮の処分を得て、39条の文書を執行機関に出す
- 39条1項1号から6号の文書なら既にした執行処分も取り消す。7号・8号は停止だけ
よくある質問
執行抗告と執行異議は、どうやって見分ければよいですか
まず条文に「執行抗告をすることができる」と書かれているかを見ます。書かれていれば執行抗告、書かれていない執行裁判所の執行処分なら執行異議です。執行官の処分は、条文を見るまでもなく執行異議になります。期間の有無も対応していて、執行抗告には1週間の不変期間があり、執行異議には期間の定めがありません。
判決の後に全額を弁済したのに強制執行されそうです。何をすればよいですか
請求異議の訴えを起こします。弁済は確定判決の口頭弁論終結後に生じた請求権の消滅事由なので、民事執行法35条2項の制限にかかりません。ただし訴えの提起だけでは執行は止まらないので、36条1項の執行停止の裁判を申し立て、その正本を執行機関に提出します。債権者が作成した弁済受領書があれば、39条1項8号の文書として提出して停止を求めることもできます。この場合の停止は4週間に限られるので、その間に請求異議の訴えと停止の裁判を進めることになります。
自分の物が他人の借金のために差し押さえられたら、誰を相手に訴えるのですか
差押えをした債権者を被告として、第三者異議の訴えを起こします(民事執行法38条1項)。管轄は執行裁判所です。債務者から物を取り戻したいときは、債務者に対する訴えを併合して提起できます(同条2項)。訴えを起こしただけでは執行は止まらないので、38条4項で準用する36条の執行停止の裁判を申し立てます。請求異議の訴えと違い、争うのは債務名義ではなく、その物が債務者の財産かどうかです。

